GPS機能は諸刃の剣|真夜中のインターネット案内所|ブログ|Computerworld

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真夜中のインターネット案内所

GPS機能は諸刃の剣

Posted by 佐橋慶信 ( 2011年07月05日 )

7月5日、本ブログの筆者である佐橋慶信さんが急逝されました。これが本サイトにとって佐橋慶信さんの最新の、そして最後のエントリとなってしまいました。心よりご冥福をお祈り致します。 (Computerworld編集部 一同)

蓄積された位置情報は、ライフログには欠かせない要素である。スマートフォンなどの最新デバイスでは、GPS機能はほぼ必須の条件になっている。究極のライフログとも言えるが、言い方を変えれば最重要の個人情報なのかもしれない。

●すっかり身近になったGPS機能

近年、GPS機能を使った位置情報は、生活や仕事の中でも重要性を増している。最近では携帯電話で110番発信すると、電話機が搭載するGPS機能を使って発信場所を警察に知らせる機能があることをご存じだろうか。これは、総務省が2006年に改正した事業用電気通信設備規則に対応したもので、緊急連絡時にはGPSの測位情報も通知することが義務づけられている。

もちろん、発信番号非通知の「184」で匿名通報することもできるが、利用者が明示的に指定しなければならないので、あまり使われていない。2007年以降のGPS機能付き携帯電話なら、必然的にこのシステムが組み込まれている。もちろん、この手の機能には限界や制限があり、iPhoneなどのスマートフォンやGPS機能が付いていない端末では、基地局情報までしか通知されない場合がある。このあたりは携帯電話事業者などが詳細な情報を公開している。

緊急通報位置通知(NTTドコモ)

緊急通報位置通知(KDDI)

緊急通報位置通知(ソフトバンク モバイル)

2011年4月17日に神戸で発生した女子大生殺傷事件では、この機能を使って警察官が犯行現場に駆け付けた。GPSと緊急電話が効果的に使われた卑近な例だ。

このGPSだが、使われている衛星はもともとはアメリカが軍事目的で打ち上げたものであることはよく知られている。日本独自にGPS衛星を打ち上げるプロジェクトも着々と進行しており、2010年には準天頂衛星「みちびき」の初号機打ち上げに成功した。日本独自の精密なGPS機能が利用できるようになる可能性が高まっているのである。

財団法人衛生測位利用推進センター(SPAC)では、位置情報を利用した「あっ!!っと驚く位置利用サービス」のアイデアを募集しており、現在は2010年度の結果が発表されている。2011年度も公募されるようなので、斬新なアイデアを思いついた人はぜひ投稿してみてほしい。

●GPSの利便性

先日、バイクのツーリング用に「GPSロガー」なるものを買ってみた。位置情報を定期的に記録して、マップ上にルートを記録できる。大きさはマッチ箱の半分ほどで、電池も内蔵されており小さくて軽い。内部に記録された位置情報はPC上のソフトウェアでCSV情報などで保存できる。

圧巻は「Google Earth」と組み合わせたルート情報の保存だ。正確な時刻に合わせてあるデジカメがあれば、そのデータと組み合わせて、マップ上に写真を貼り付けられる。iPhoneのようにExifデータに位置情報を持つ画像ではなく、どんなデジカメのデータでも位置情報を付加できるのがポイントだ。

GPSロガーは旅行やツーリングなどに使われることが多いが、流行の火付け役となったのは、登山やハイキングなどで、自分が歩いたルートを記録するためだったようだ。電子デバイスと相性のよいクルマやバイクでは、ナビゲーション機能を追加するのはそれほど面倒なことではないが、徒歩での移動となると、ナビまでは求めなくとも足跡くらいは記録したいという欲求は確かにある。

このGPSロガーだが、アマゾンで購入する際にレビューを見たところ、予想通りというか、予想を越えたレビューが目にとまった。登山やツーリングでのレビューだけでなく、素行調査を行う探偵がクルマの中に取り付けた結果をレビューしているものまであったのである。

GPSロガーを使うと、いつ、どこに、どのような速度で移動したのか、そして、どの場所にどの程度の時間とどまったのかが一目瞭然である。設置と回収という問題をクリアすれば、手間も費用も必要とせずに、探偵を数人雇う程度の情報が手に入るのだ。その方面でははすでに常識となっている話のようだが、やはりアマゾンのレビューで読むと、改めて考えさせられる。

●漏れ出す位置情報

改めて周囲を見渡してみると、スマートフォンやカーナビはもとより、従来の携帯電話、GPSロガーなど位置情報を発信するデバイスには事欠かない。ワイヤレス通信を行うさまざまな機器、たとえばノートパソコンやゲーム機などについても、GPSよりアバウトながら、同様の位置特定の機能があると考えてもよかろう。Firefoxなどのブラウザには位置情報通知機能があるため、これを切らずに運用しているとWebサイトに位置情報を提供していることになるので、切り方を解説しているページが存在する。

iPhoneが位置情報をサーバに蓄えているという情報は、一部のユーザーには寝耳に水だったかもしれないが、以前から何かおかしいと感じている人々にとって、「さもありなん」という話ではなかろうか。iPhoneを「塩漬け」にして一切の通信を行わない状態でも幾ばくかの通信費が発生するのに疑惑を感じていた人は多いはずだ。ただ、位置情報を蓄積したデータはMacintoshでしか参照できなかったため騒ぎはさほど大きくならなかった。Windows版が存在していれば、かなり尾を引いたのではないかと思われる。もちろんその後AppleはiOSのアップデートを行い、最新バージョンでは位置情報の蓄積や送信は行われていないという。

iPhoneの例はユーザーが解析ソフトを公開したことから有名になったものだが、実態のわからないサービスが存在している疑念は誰もが持つのではなかろうか。位置情報がコワイという人のために、それを本当に停止する機能が今後は必要になってくるかもしれない。

●危険を認識しておこう

海外では、犯罪者の再犯防止のために、GPSと通信機能を搭載したデバイスを常時携行させることを義務づけている国があるらしく、日本でも導入が検討されているという話も聞いたことがある。このような例をひかなくても、累積した位置情報の持つ意味というのはそれほどまでに大きいことは自明だ。

ところが、個人情報の重要性をベールに隠したまま、位置情報をカジュアルに利用するサービスが増えつつある。チェックインやタッチといったサービス、NTTドコモの「iコンシェル」、最近ではYahoo!が「Yahoo!ロコ」を提供している。

位置情報を利用したゲーム、位置情報から周辺の利便性を追求するサービス、TwitterやFacebookでの位置情報、撮影した画像に付加される位置情報などなど、気づいてみれば身のまわりにはこの手のサービスだらけだ。

誰がどこで見ているのか、どんなサーバにその情報が蓄積されているのか、あれこれと想像を巡らせたとき、気軽に位置情報を送信することについてのリスクには配慮したい。それはまだ事件や事故にならないだけで、近い将来、取り沙汰されるのは確実だろう。

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