企業イメージとブランド戦略――誰がイメージを作るのか|企業クライアント戦略|ブログ|Computerworld

header_cwr_head_mid_fl_logo

CW_ウルトラバナー_Topics04

CW_ウルトラバナー_Topics05

CW_ウルトラバナー_Topics06

CW_ウルトラバナー_Topics07

CW_ウルトラバナー_Topics08

企業クライアント戦略

企業イメージとブランド戦略――誰がイメージを作るのか

Posted by 横山哲也 ( 2011年11月28日 )

▲ソニーのノートPC「VAIOのロゴ。「先進的」「オシャレ」と感じるか、「よく分からない機能が多い」と感じるか…

■前回の反省

前回の記事「ソニー製品に見るユーザーインタフェースの『あったらいい…な?』」が、11/20〜11/26の週間総合ランキングトップ10に入ったらしい。ありがたい話である。ランキング入りの要因は「ソニー」という具体的な企業と具体的な製品を扱ったことにあると分析しているが、これが誤読の原因になったことも確かである。筆者が主張したかったのは、妙な付加機能や使いにくいユーザーインタフェースについてであって、企業イメージの比較は本質ではない。

Twitterでは「例に出した製品が古い」という趣旨の指摘もいただいた。確かに紹介したのは30年以上前の製品である。しかし、企業イメージはそれほど変わっていないのではないだろうか。そこで、今回は(開き直って)企業イメージについて書いてみよう。

■家電メーカーの企業イメージ

ソニー製品に対しては、先進的なイメージを持つ人が多いが、賛否はある。肯定的なイメージを持つ人は「時代を先取りしている」と感じるが、否定的なイメージを持つ人は「新しすぎてよく分からない機能が多い」と思うようだ。

実際、ソニーにはCD(フィリップス社と共同開発)や3.5インチフロッピーディスクなどの成功例も多いが、Lカセットのような失敗例も多い。VHSに敗北したベータマックスは、起死回生をかけて「EDベータ」という高画質規格を送り出すが、一般消費者には見向きもされなかった。

それにしても、賛否いずれの立場にあっても、ソニー製品に対する一定のイメージがあるのは驚くべきことである。

一方のパナソニックのイメージは、何といっても安定性と信頼感である。家電製品の開発現場には早くから既婚者も含めた女性技術者が投入されていたようで、筆者の出身学部(電気・電子工学部)ではずっと女性の就職希望ナンバーワンだった。実際に家電製品を使う人を開発現場に投入することで、使いやすい製品ができたというもっぱらの噂である(あくまでも「イメージ」の話である)。

では、その他の家電メーカーはどうだろう。シャープは、古くは電子レンジ、現在では液晶テレビで有名であるが、正直言って製品としての統一イメージは感じない。

サンヨーはニッケルカドミウム電池(商品名「カドニカ」)の他、冷蔵庫や洗濯機で有名だし、日立はモーターで、東芝は日本で最初に白熱電球を実用化し、真空管やトランジスタ(そしてアニメ「サザエさん」のスポンサー)で有名だ。しかし、いずれの企業も製品全体の統一イメージはあまり感じられない。

■誰がイメージを作るのか

企業イメージと言えば、やはりアップルについて語らないわけにはいかない。アップル社の製品は、全く新しく開発した技術がほとんど皆無であるにもかかわらず、すべての製品に先進的なイメージがあるのは非常に不思議である。

イメージを作り出している最大の要因が、創業者の1人で、先頃亡くなったスティーブ・ジョブズであるのは皆さんも同意してもらえるだろう(参考「スティーブ・ジョブズからのプレゼント『知的自転車』」)。

Macintosh以降、ジョブズがアップルに在籍中に発売されたあらゆる製品にはジョブズの思いが込められているという。ジョブズはエンジニアではないが、製品に対する思い入れは必要以上(従業員が嫌になるくらい)に大きかったと言われている。

そういえば、「ソニーは(創業者の)盛田昭夫と井深大のアイデアを実現する会社だった」という記述が、書籍「世界を変えた1枚のディスク 3.5インチフロッピーディスク開発物語」に登場する。同書によると、創業者以外からアイデアが出た最初の製品が3.5インチフロッピーディスクだという。もしこの記述が本当なら、実に30年以上も個人のアイデアだけで仕事をしていたことになる(ソニーの前身である東京通信工業の創業は1946年、3.5インチフロッピーディスクの発表が1981年)。

パナソニックの創業者、松下幸之助も長い間グループ各社に強い影響力を持っていた。家庭用ビデオテープの規格にベータマックスではなくVHSを選んだのも松下幸之助だとされている。以前は社内各所に松下幸之助の胸像が設置されていた。たぶん今でもあると思う。

一方で、サンヨーや日立の創業者を知らない人は多いだろう。シャープの創業者が知られているとしたら、家電製品ではなく「シャープペンシル」の元祖「早川式繰出鉛筆」のほうだ。

こうして見ると、創業者の影響力が強い会社ほど、製品全体の統一イメージが構築されることが分かる。考えたら当たり前の話ではある。

■ジョブズ亡きあとの企業イメージ戦略

技術が進歩し、製造技術が発達すると、製品ごとの差が付けにくくなる。そうなると、売り上げを伸ばすにはイメージ戦略が重要である。もちろん「技術力が同程度の場合は」という前提である。圧倒的な技術力をアピールできれば、それに越したことはない。

ところが、今見てきたように、統一されたイメージを作るには強力なリーダーシップ、というより、他の誰の意見も聞かないくらい強力な専制君主が必要である(スティーブ・ジョブズは専制君主の代表だ)。今の企業にそれができるだろうか。せいぜい、事業部ごとのブランディングが精一杯ではないだろうか。

さて、これからの企業イメージ戦略、どうしたらよいのだろうか。
 

ページの先頭へ戻る