新人研修で何を教えるか|企業クライアント戦略|ブログ|Computerworld

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企業クライアント戦略

新人研修で何を教えるか

Posted by 横山哲也 ( 2012年01月23日 )

■新人研修

筆者の会社は教育サービスを提供している。新人研修は期間が長く、1社向け研修が多いので、その会社の目的に合った教育コースを組み合わせたりカスタマイズしたりする。

プログラマ養成とIT管理者の要請では内容が変わってくるし、同じ管理者でもネットワーク担当とサーバー担当でも多少の差が出てくる。

■ネットワークの基礎技術

昨年「Publickey」というWebサイトに「さよなら、僕が知っていたイーサネット」という記事が掲載された。イーサネットの最大の特徴は「CSMA/CD」というシンプルな通信規約にあったのだが、現在のイーサネットではほとんど使われていない」という内容である。

参考までに、CSMA/CDの原理を紹介しておこう。

  1. 通信を開始しようとする機器(ステーション)は、他のステーションが通信中かどうかを確認(CS: キャリアセンス)
  2. 誰も通信していなければ、他の誰でも自由にアクセスできる(MA: マルチプルアクセス)
  3. (ほぼ同時に通信を開始するなどの原因で)万一同時アクセスが発生したら、それを検知して通信を一時的に中断する(CD: コリジョンディテクト: 衝突検出)
  4. 通信中断後、乱数時間だけ待ってキャリアセンスから再開
▲CSMA/CDを使ったイーサネットは通信媒体を共有する。現在でもこういう図を書くが厳密には誤り。
 

CSMA/CDは会議中の発言のようなものである。会議中は、他の人が発言していないことを確かめれば(CS)、誰でも自由に発言できる(MA)。同時に発言した人が他にいるといったん黙り(CD)、様子を見て発言を再開する。

CSMA/CDはLANの基本中の基本。そもそもイーサネットは「CSMA/CDの実装形態の例」として生まれた規格である。CSMA/CDとイーサネットは同じ意味で使われるくらい一般的だった。

ところが、現在のイーサネットはスイッチングハブを使っているため、実際の通信は1対1で行なわれ、場を共有する「マルチプルアクセス」ではない。衝突も発生しないため、キャリアセンスの必要もない。さまざまな条件が重なれば衝突が発生する可能性もあるので、CSMA/CDがなくなったわけではないが、ほとんど使われることはない。10ギガビットイーサネット規格ではCSMA/CDが完全に廃止される。こうした技術を、新人研修で本当に教える価値があるのだろうか。

▲スイッチングハブを使ったイーサネットはハブ内で通信ポート同士が直結される(切ったりつないだりするから「スイッチ」と呼ぶ)。

■筆記体の授業

日本の中学では、英語の時間に筆記体を習う。当たり前だと思っている人が多いが、実は筆記体を教えている国はほとんどないそうである。

筆記体は、日本でいえば行書体のようなもので、一種のカリグラフィなんだそうである。日本の高校生が米国に留学し、自分のノートに筆記体で文字を書いたら教師に感動されたという話を聞いた。そりゃ、日本に留学している米国人が行書体でメモしていれば驚くだろう。

つまり、筆記体を知っていても、相手をちょっと驚かせるくらいの価値しかないのである。しかも、驚くだけで相手に読んでもらえない。たとえば大文字のGの筆記体などビル・ゲイツ氏のサインでしか見たことがない。さすがに無意味なので、現在では指導要綱に入っていない。

■ネットワークの基礎技術何を学ぶべきか

結局、筆者の会社ではCSMA/CDは基礎技術として欠かせないと判断した。つまりCSMA/CDは筆記体よりは重要だということだ。

理由は大きく2つある。1つは、現在主流のイーサネットでは廃止されたわけではないということ。もう1つは無線LAN技術で使われるCSMA/CAと対比させると分かりやすいことである。

無線では、同じ周波数で送信しながら受信することはできないため、衝突検出ができない。そこで、衝突を避ける(衝突回避: コリジョンアボイダンス)ための信号を出すようになっている。

ただし、今後も「何を学ぶのか」は定期的に見直すべきだと考えている。「昔から習っている」「基礎だから」というのは理由にならない。「先輩社員が知っていることを前提として話すので習得しておく必要がある」「昔の技術だが、現在の技術を理解するの基礎として役立つ」といった明確な理由があるかどうかを考えるべきだ。

■追伸

先日、ブログの連載100回記念ということでお花を頂いた。感謝の意を込めて写真を掲載しておく。どうもありがとうございました。

▲ちなみにユリ科の花は猫には厳禁
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