クライアントのバックアップとインテリミラー|企業クライアント戦略|ブログ|Computerworld

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企業クライアント戦略

クライアントのバックアップとインテリミラー

Posted by 横山哲也 ( 2012年02月06日 )

■クライアントのバックアップ

数年前、新人研修でシステム管理の研修を行なったときの話だ。「自分のPCのデータをバックアップしている人」と尋ねたら、クラスの大半が挙手した。偉いもんである。

仕事で使っているPCのバックアップはしているだろうか。重要なデータはサーバーに配置しているので、クライアントPCのバックアップはしていないという人も多いのではないだろうか。

筆者自身、自宅のPCのバックアップは取っているが、会社のPCはほったらかしである。重要なデータは全てサーバーにあるし、仕掛かり中の仕事については、随時サーバーにバックアップするようにしている。気付いたらすぐにバックアップできるよう、バッチファイルを作っているのが工夫といえば工夫だ。


▼バックアップ用のバッチファイルの例
setlocal
set DIST=\\server\share\folder
xcopy /d /y *.* %DIST%\
endlocal
xcopyコマンドに/dオプションを付けることで、最新ファイルだけを保存している。また、/yオプションを付けることでいちいち上書き確認をしないようにしている。setlocal/endlocalは環境変数の有効範囲を分離するため。


クライアントPCのバックアップには、固有の課題がある。ざっと挙げてみよう。

  • 常時起動しているわけでも、常時ネットワークにつながっているわけではないため、リモートバックアップは失敗する可能性がある
  • 台数が多いため、バックアップデータが膨大になる
  • 重要なデータとそうでないデータが混在しているため、バックアップ頻度や必要性を判断しにくい
  • OSやアプリケーションの設定もバックアップするには、単なるファイルではなくユーザープロファイルを保存する必要がある(Windowsの場合)
  • 利用者は、クライアントPCの管理者権限を持っていない場合があるため、利用者自身でバックアップや復元操作ができない

多くの企業では、クライアントのバックアップをあきらめ、「重要なデータはサーバーに保存するように」というルールを設定している。

シンクライアント化して、クライアントにはユーザー構成情報もデータも、アプリケーションすら一切配置しないという方法もある。

しかし、全ての作業がシンクライアントで事足りるわけではない。電波の届かない地下の部屋で秘密会議が行なわれることだってある。この時アプリケーションとデータが自分のPCになければ適切なプレゼンテーションができず、粛正されてしまうかもしれない。

■インテリミラー

Windows 2000がActive Directoryとともに登場したとき、「インテリミラー(Intelli-Mirror)」というコンセプトが発表された。クライアントPCが利用者に「付いてくる(Follow me)」という技術だ。

インテリミラーは、以下の3つの機能から構成される。

  • ユーザー設定の復元
  • アプリケーションの復元
  • ユーザーデータの復元

さらに、OSそのものを復元する機能を併用することで、破損したPCをほぼ自動的に復元できる。

▲インテリミラーの構成要素

■ユーザー設定の復元

「移動ユーザープロファイル」を構成することで、ログオン時にユーザー設定をダウンロードし、ログオフ時にアップロードする。これにより、利用者の設定情報はログオン先のコンピュータに「付いてくる」。

もともとは少数のPCを多人数で共有するための技術だが、最近ではシンクライアント環境でも利用される。

■アプリケーションの復元

「グループポリシー」を使ってアプリケーションの自動インストールを構成することで、PCを起動したり、ログオンしたりするだけでアプリケーションを自動的にインストールできる。つまり、利用者のPCや利用者自身にアプリケーションが「付いてくる」。

グループポリシーによる配付は基本的な機能しか提供しない。クライアント環境やネットワークに合わせた柔軟な配付を行なうには、Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM) などが必要になる。

■ユーザーデータの復元

「グループポリシー」には、「フォルダリダイレクト」という機能があり、マイドキュメントやデスクトップの場所をファイルサーバー上の共有フォルダに移動する機能がある。フォルダリダイレクトを設定しておけば、マイドキュメントに保存したファイルが自動的にサーバーに保存されるため、クライアントがクラッシュしてもサーバーのファイルが自動的に復元される。つまり、データファイルが利用者に「付いてくる」。

最近は、「移動ユーザープロファイル」とあわせてシンクライアント環境で利用されることが多い。

フォルダリダイレクトを構成すると、そのフォルダ内のファイルには自動的に「オフラインファイル」の機能が構成され、ローカルPC上にファイルがキャッシュされる。そのため、ネットワークが切断してもファイルを読んだり編集したりできる。

■OSの復元

「Windows展開サービス(WDS)」を使うことで、ネットワーク起動したPCに構成済みのOSイメージを展開できる(Windows 2000/2003ではRIS: リモートインストレーションサービスを使った)。

OSの回復はインテリミラーの一部とはみなされていないが、併用することが多い。

■インテリミラーを使った復元手順

これらの技術を利用すると、クライアントPCの完全な復元は以下のような手順で行える。

  1. WDSを使って標準クライアントイメージを展開
    PCをネットワーク起動して、あらかじめ作成しておいたイメージを展開する。グループポリシーを使うため、Active Directoryドメイン環境として構成する必要がある。
  2. PCを起動
    グループポリシーを使って、起動時に自動インストールされるアプリケーションが展開される。
  3. ログオン
    ユーザーがログオンすると、ユーザープロファイルが移動プロファイルからダウンロードされ、ログオン時に自動インストールされるアプリケーションが展開される。さらに、フォルダリダイレクトにより、デスクトップやマイドキュメントに、以前作成したファイルが配置される。

OSさえ構成できれば、PCを起動してログオンするだけで環境が復元されることが分かる。インテリミラーのコンセプトが公開されたWindows 2000当時はネットワーク品質も低く、いろいろ問題もあったが、現在では大きな問題は起きないはずだ。ぜひ試してみて欲しい。

▲いつも一緒(follow-me)のインテリみにゃー
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