パフォーマンスチューニングとレコーディングダイエット|企業クライアント戦略|ブログ|Computerworld

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企業クライアント戦略

パフォーマンスチューニングとレコーディングダイエット

Posted by 横山哲也 ( 2010年04月05日 )

●「速い」「遅い」の根拠は何か

Windows Vistaに比べ、Windows 7は大幅に「軽く」なったと言われる。確かに起動時間は短くなったし、必要な物理メモリ量も減った。しかし、アプリケーションの実行速度はそれほど変化していない場合が多い。Windows 7では、反応を良くすることで全体の速度が上がったように錯覚させる工夫も行なわれているようだ。

パフォーマンスチューニングは、システム管理者の重要な仕事のひとつだが、構成変更はトラブルの要因となる場合がある。無駄な構成変更は意味がないどころか、有害ですらある。しかし、だからといって既定値のまま運用することが適切だというわけでもない。必要な場合に必要な処置を行なうことが重要だ。

パフォーマンスチューニングを行なう上で、最も大事なことは現状を把握することである。「遅くなった」「速くなった」というのは感覚的な問題である。実際には遅くはなっておらず「遅くなったように感じる」だけかも知れない。ユーザーの体験的には「遅くなったように感じる」こともトラブルだろうが、解決が困難なら「我慢してもらう」のもシステム管理者の立派な対処である。

●レコーディングダイエット

岡田斗司夫氏による「レコーディングダイエット」が話題である。流行のきっかけとなった『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)は2007年の発行で、2010年には実質的な改訂版『レコーディングダイエット決定版』(文春文庫)が出ている。ダイエット法としては異例のロングセラーである。

ちなみに『いつまでもデブと思うなよ』の方が文化論の比重が大きく、『レコーディングダイエット決定版』の方がダイエット本として実践的である。筆者は両方購入して読んだが、どちらも面白かった。

さて、このレコーディングダイエット、いろいろ誤解されている部分もあるが、基本的な流れは以下のようになる。

  1. 現状把握…自分の食事状況を知る(この時点で食事量を減らしてはいけない)
  2. 現状分析…自分の摂取カロリーを知る(この時点で摂取カロリーを減らしてはいけない)
  3. 状況改善…カロリー摂取量を抑える

以下、ダイエットを継続するためのステップがいくつか続くのだが、今回の話題とは無関係なので割愛する。

●計測なくして改善なし

こうしてみると、レコーディングダイエットがパフォーマンスチューニングと極めて似通っていることが分かる。

  1. 現状把握…OSやアプリケーションの動作状況を知る
  2. 現状分析…OSやアプリケーションの消費するリソース(CPUやメモリ、I/Oなど)を知る
  3. 状況改善…リソース消費を抑える

パフォーマンスチューニングを行なうには、まず現状を把握する必要がある。この時点で中途半端なチューニングを行なってしまうと基準値が得られない。基準値がないとどれだけ改善できたかを測定できない。改善度合いが測定できないと上司に報告できない。上司に報告できないと、自分の仕事が正しく評価してもらえない。これは昇給や昇進に関わってくる。現状把握を怠ったチューニングに効果がないとは言わないが、効果が分からないのでは価値がない。

IT運用管理のベストプラクティス集であるITILには「計測できないものは改善できない」というフレーズがある。逆に言えば「改善できるものは計測できる」のである。計測こそが改善のスタートポイントである。

岡田斗司夫は「レコーディングダイエットは何かを『減らす』目的の多くに応用できるだろう」という。たとえば時間の使い方や無駄遣いの削減に効果があることは容易に想像できる。パフォーマンスチューニングはCPUやメモリリソースの消費量を「減らす」ことが目的だから、レコーディングダイエットと相性がいいのは当然である。

いや、実際は話が逆である。パフォーマンスチューニングの教科書には必ず「現状分析から始めましょう」と書いてある。「ダイエットは体重のチューニングである」と気付けば、ITエンジニアは岡田斗司夫よりも早くレコーディングダイエットに到達できたはずである(実際、ある程度気付いていた人もいるらしい)。

IT業界には「肥満」が一杯である。サーバー台数は増え続けるし、ネットワークトラフィックも増加の一方である。クライアントだって増えている。「メタボリックIT」という言葉があるくらいだ。メタボリックIT対策にはぜひ「レコーディングダイエット」をお勧めしたい。

●補足

レコーディングダイエットについては本文中で紹介した2冊を読んでもらうのが一番だが、著者のWebサイト「オタキングex」で『いつまでもデブと思うなよ』が順次無償公開される(現在は序章と第1章のみ)。掲示板もあるので、そこで質問すれば誰か(おそらく「オタキングex」の社員)が答えてくれるだろう。

また、ブログ「レコーディング・ダイエット2.0のススメ」も参考になる。ただし、ここしばらくは「オタキングex」の話題が続いているので、ブログ内のカテゴリを参考に古いログを見た方が良いだろう。

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