【バージョン2物語】ソフトウェアはバージョン2を買え?|企業クライアント戦略|ブログ|Computerworld

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企業クライアント戦略

【バージョン2物語】ソフトウェアはバージョン2を買え?

Posted by 横山哲也 ( 2010年06月21日 )

Windows 7の評判がいい。不人気だったWindows Vistaの反動なのだろう。Windows 7の基本部分はWindows Vistaとほとんど同じだが、大小さまざまな改善が加えられることで、使い勝手は大きく進化した。多くの企業はWindows Vistaをスキップし、Windows XPからWindows 7への移行を検討している。ではWindows Vistaは失敗作だったのだろうか。

●バージョン2

現在のITの流行語は何と言っても「クラウド」である。その前は「仮想化」だった。そして、その前が「Web 2.0」である。特に「○○2.0」という表現は一般にも流行し「横山哲也2.0」のような使い方がされた(たとえば、の話である)。Web 2.0の本質は、一般利用者が自由に発言し、それを集約できるようになったことである。これにより、Webの用途が大きく広がり、新しいビジネスが誕生した。

ソフトウェア業界には昔から「バージョン2を買え」という言葉がある。バージョン1は製品のコンセプトが受け入れられるかどうかを調べる評価版で、実用的になるのは次のバージョンからという意味だ。

マイクロソフト製品の場合は「バージョン3を買え」と言われた。バージョン1が「間に合わせ」、バージョン2が「評価版」、バージョン3が「実用版」ということらしい。実際、マイクロソフトは製品としての完成度よりも、市場に投入するタイミングを重視する傾向にあった。そのため、以前はかなり機能が限定された製品を投入することも多かったことは事実である。

たとえばMS-DOS 1.0はIBM PCの発売に間に合わせることが最優先で、機能の詳細は吟味されなかった(と思われる)。MS-DOS 2.0は階層ディレクトリなどが導入され、製品としてのコンセプトが整い、MS-DOS 3.0で安定した。Windowsも 1.0は間に合わせ、2.0で本格的なウィンドウが使えるようになり、3.0で安定した。Windows NTも最初のバージョンである3.1は機能面での不備が目立ったが、次の3.5で一通りの機能がそろい、3.51というマイナーバージョンアップを経て4.0で大ブームとなった。

ただし、最近のマイクロソフトは、資金も人材も豊富になったので「間に合わせ」バージョンはあまりないようだ。そうすると一般的な法則通り、2番目のバージョンが安心して使える製品ということになる。Windows 7はWindows Vista 2.0なのだ。

●バージョン1の価値

バージョン2で高い完成度の製品が出るのだとしたら、購入はバージョン2が出るまで待った方がいいのだろうか。

それは、会社がどの分野に注力しているかに依存する。ITを主たる業務としていないのであれば、バージョン2まで待つ方がリスクは少ない。しかし、IT分野で主導権を取りたいのであれば、無理をしてでもバージョン1を導入する方が良い。バージョン2で勝つためには、バージョン1の経験が必要だからだ。

実例を挙げよう。株式会社TKCは、会計事務所と地方公共団体向けの情報サービスを提供している企業である。TKCは常に最新のWindowsに対応するというポリシーを持っているため、Windows Vistaにもいち早く対応した。この時はかなり苦労したようだが、おかげでWindows 7の対応は比較的スムーズだったという。詳細はTKCへのインタビュー記事「業務アプリケーションの Windows 7 対応におけるポイント」を参照して欲しい。Windows Vistaの苦労があったからこそWindows 7対応製品をいち早く市場に投入できたのだ。

なお、TKCの社内研修については筆者らも協力させていただいている。興味のある方はグローバルナレッジネットワークの事例「若手エンジニアの自己実現のためにMCP資格取得プログラムを推進」を参照して欲しい。

●Windows Vistaの価値

Windows Vistaは、当初の評判こそ良かったが、すぐに失速し「駄目なOS」のレッテルを貼られてしまった。しかし、ここで重要なことはWindows Vistaをベースに改良を加えたWindows 7が大成功を収めたという事実である。

評判の悪いソフトウェアは、後継バージョンが出ずに終わってしまうこともある。バージョン1に社内リソースを投入するのはリスクもある。粘り強いとされるマイクロソフトも、消えていったソフトウェアは数多い。今後の主流になるのか、あるいは消えていくのかを判断するのは経営者の仕事だが、その経営者に助言を与えるのはエンジニアの仕事である。

Windows Vistaの場合、多くのエンジニアは「カーネルはいいのに」と主張していた。カーネルこそがOSの本質なので、同じカーネルの改良版が出れば成功することはある程度予測できたはずだ。その証拠に、同じカーネルを使ったWindows Server 2008の評価は高かった。

表面的な課題に目を奪われず、本質的な判断をしたいものである。極めて難しいことだが、それがエンジニアの価値というものである。

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