「ガラパゴス」って何?
●ガラパゴスの生物
2004年と2007年にガラパゴス諸島に行った。もちろん観光である。ガラパゴスと言えば「進化から取り残された」という意味で語られることが多いが、真相はちょっと違う。ガラパゴス諸島の生物は、環境に合わせてそれぞれが高度な進化をしており、決して「取り残された」わけではない。
ガラパゴス諸島の生物のうち、進化論の裏付けに重要な役割を果たしたのがフィンチ類である。ガラパゴスのフィンチは環境に合わせて食物が違い、それに合わせてくちばしの形が変わる。研究によれば、現在でも激しい自然選択と進化が発生しているのだという。
ところで、このフィンチ、実に地味な鳥である。大きさはスズメ程度だし、派手な色もない。写真は筆者が撮影したものだが、これがフィンチかどうか(メモがないので)自信がない。こんな地味な鳥をわざわざ撮影しているのだから、たぶんこれがフィンチなのだと思う。
ガラパゴスにはもっと派手な鳥がたくさんいる。グンカンドリやアホウドリ、そしてガラパゴス観光者の一番人気であるアオアシカツオドリである。アオアシカツオドリは、名前の通り真っ青な足がビジュアル的に映えるし、顔もどことなく愛嬌がある。ちなみに足が青いのは「水中から水面を見上げたときと同じ色になるので魚から発見されにくいから」という話だった。
●生物と環境
進化と環境とは表裏一体である。環境が同じであれば進化の必要はない。下手に進化すると絶滅してしまう。そもそも環境に適合しない変異は生き残れず進化は発生しない。
環境を変えずに、無理に外来種を持ち込むとどうなるか。生態系が崩れ、環境が破壊されてしまう。
日本の携帯電話は「ガラパゴス化」しているのだそうだ。「ガラパゴス携帯」略して「ガラケー」とも呼ぶらしい。世界の流れから取り残されていては競争力が保てないので、ガラパゴスから脱却しないといけないのだという。本当だろうか。
日本の携帯電話は、プリペイドカード機能を持ち、定期券の機能を持ち、テレビ電話も当たり前にできる。こんな便利な携帯電話は世界中のどこを探してもない。便利な機能を捨ててまで国際標準に合わせる必要があるのだろうか。それが市場の要求なのだろうか。
日本の携帯電話は第2世代で独自方式を採用したから競争力が落ちたという説もある。しかし、韓国の携帯電話は独自方式だが、サムスンを始め多くの企業が海外市場で携帯電話のシェアを獲得しているではないか。
日本の携帯電話が世界市場で通用しない本当の原因は「海外に進出する必要がないから」だろう。韓国の人口は約4,800万人であり、日本よりもかなり少ない。企業が生き残るには国外市場に進出するしか手がなかったのではないだろうか。
●環境が変わる
ガラパゴス諸島では、それぞれの島の環境に高度に適応した種や亜種が棲み分けて存在している。日本の携帯電話も、日本市場に合わせて高度な進化を遂げている。筆者がiPhoneに興味がないのは、携帯電話に最適化されたコンテンツが使えなくなるからである。
しかし、どうやら環境が変わる時期が来ているようだ。iPhoneのヒットは、iPhone以外のスマートフォン市場も活性化し、携帯電話専用コンテンツが不要になりつつある。つまり携帯電話の生息環境は縮小している。携帯電話が生き残るには、狭くなった領域でスマートフォンと棲み分けるか、スマートフォン市場に進出するかのいずれかであろう。
狭くなった市場に残るのは株主が許さないだろうから、結局スマートフォン市場に進出するしかない。さて、日本の携帯電話は生き残ることができるだろうか。
●そしてクライアントPC
スマートフォンは、クライアントPCの一部と用途が重なる。今まで当たり前のようにPCを使ってきたが、メールの確認やスケジュール管理はスマートフォンでも可能である。iPadの登場により、PCの存在感はさらに下がるだろう。
今はまだ実験段階だとしても、PC環境の変化には充分に注意しておきたい。進化は局所的に始まり、一気に広がるものだから。