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仮想化

目で見る Windows Server 2008 R2 SP1 Beta の新機能

Posted by 山市良 ( 2010年07月26日 )

2010 年 7 月 15 日に Windows 7 および Windows Server 2008 R2 向けの Service Pack (SP) 1 Beta が一般に公開されました。正式リリースは 2011 年前半と、まだまだ先ですが、Windows 7 SP1 については、セキュリティ パッチや修正プログラムをまとめたものになる見込みで、大きな新機能やパフォーマンスの大幅な向上などは含まれないようです。Windows Server 2008 R2 SP1 も同様 (Windows 7 x64 SP1 Beta と Windows Server 2008 R2 SP1 Beta は同じプログラムです) ですが、 Windows Server 2008 R2 の リモート デスクトップ サービス (RDS) に統合された VDI (仮想デスクトップ インフラストラクチャ) シナリオ向け、いくつかの注目すべき新機能が用意されています。もうご存知かもしれませんが、Dynamic Memory と RemoteFX、そして RemoteFX USB です。概念や文字の情報については、いろいろと情報が公開されてきていますが、今回はこれらの新機能を、設定画面や動作画面のスクリーンショットでみていきましょう。


まずはじめに、念のため (Beta 版は正式リリースではありません)

SP1 Beta をインストールすると期限付き評価版になる (SP1 Beta アンインストールで正規版に戻る)

Windows 7 SP1 Beta や Windows Server 2008 R2 SP1 Beta は、機能や互換性について評価、検証できるように、開発途中のものを「評価版」として提供するものです。Beta ではない SP1 正式版は 2011 年前半に完成し、一般に公開される予定です。その前に、さらにSP1 Beta 2 や RC (Release Candidate: 製品候補版) が出ないとも限りません。Beta は完成品とはほど遠い“かもしれない”代物なので、決して運用環境に導入してはいけません。会社のエンド ユーザーやホーム ユーザーが、安易に自分の PC にインストールしてしまうと、面倒なことになりかねません。

たとえば、SP1 Beta をインストールすると、正規ライセンス OS であっても、「評価版」という扱いになり、2011 年 7 月 1 日 8:59 (協定世界時の 6 月 30 日 23:59) までの有効期限が設定されてしまいます (表示上の期限は 2011 年 4 月 1 日 8:59)。SP1 Beta から SP1 正式版への更新方法は用意されないので、運用環境に入れてしまうと、必ず SP1 Beta をアンインストールしなければならない日がやってきます。日付をいろいろと変更して試してみましたが、7 月 1 日 9:00 になると OS のライセンス認証が切れてしまい、SP1 Beta のままでは再認証できませんでした。

私の個人ブログのほうに、詳しいアンインストール手順を載せておきましたので、万が一、運用環境にインストールしてしまったという方は、参考にしてください。
http://yamanxworld.blogspot.com/2010/07/windows-server-2008-r2-and-windows-7.html

新機能の Dynamic Memory や RemoteFX を試したくても、必要な評価環境を準備をするのは難しいでしょう。まだ Beta 段階なので、これから正式リリースまでに変更される部分も多いかもしれません。というわけで、詳しい説明は抜きにして、SP1 Beta での設定画面や動作画面のスクリーンショットを見ていただきましょう。スクリーンショットを見ていただければ、だいたいの感じはつかんでいただけると思います。

Dynamic Memory

Dynamic Memory は、仮想マシンへの動的なメモリ割り当てを可能にする、Windows Server 2008 R2 SP1 の Hyper-V の役割に追加予定の新機能です。この機能は、仮想マシンにスタートアップ時のメモリと最大メモリを割り当て、指定した利用可能メモリ (空きメモリ) を維持するように、Hyper-V が最大メモリまでの範囲で動的にメモリ割り当てを増減するというものです。

仮想マシンには開始時のメモリと、最大のメモリ (既定は64 GB) を割り当てる

Dynamic Memory を利用すると、各仮想マシンには OS が要求する最小メモリ サイズを割り当て、あとは各仮想マシンのそれぞれの負荷に応じたメモリ割り当てを Hyper-V に任せてしまうことができます。どの仮想マシンにどれだけのメモリを割り当てればよいか考えなくても、メモリを効率的に利用できるようになります。ただし、ホストの物理メモリを超えた割り当てはできないので、仮想マシンの負荷の総量が物理メモリに近づくとメモリ不足ということになるでしょう。

 

仮想マシンは最小メモリで起動し、起動後に必要に応じて動的にメモリ サイズが増減する

RemoteFX

RemoteFX は、VDI シナリオにおいて、DirectX 3D や Silverlight 3D などの 3D グラフィックスや 3D アプリケーションを利用可能にするテクノロジです。RemoteFX は、Hyper-V に追加される機能ではなく、RDS の VDI 用のコンポーネントである「リモート デスクトップ仮想化ホスト (Remote Desktop Virtualization Host)」の役割 (常に Hyper-V とともに動くコンポーネント) が提供する機能になります。

RemoteFX を利用するには、Hyper-V ホストに 3D グラフィックス アダプター (専用メモリ 1 GB 以上を推奨) が必要で、プロセッサが SLAT (Intel EPT または AMD RVI/NPT) をサポートしているなど、いくつかの条件が必要です。 RemoteFX は、Hyper-V ホストに実装された GPU (Graphics Processing Unit) を仮想化して、複数の仮想マシンに仮想 GPU (RemoteFX 3D ビデオ アダプター) を提供します。3D 表示をホスト側の GPU で処理し、演算結果のビットマップをクライアントに提供することで、RDP セッションでの 3D 表示を可能にします。RDP セッション内での表示機能なので、RemoteFX 3D ビデオ アダプターを追加した仮想マシンは、Hyper-V マネージャーの仮想マシン接続 (Vmconnect.exe) ではビデオ出力を表示できなくなります。

 

RemoteFX 3D ビデオ アダプターの出力は通常のコンソール (vmconnect) では表示できない

RemoteFX 3D ビデオ アダプターのビデオ出力を表示する方法は、RDP の次期バージョンである RDP 7.1 (Windows 7 SP1 Beta に搭載) を使用したリモートデスクトップ接続になります。 RDP 7.1 のセッション内で、3D グラフィックスや 3D アプリケーション (たとえば Google Earth の DirectX モードなど) を表示できます。ホスト側の GPU を利用しているため、クライアント側は貧弱なビデオ環境でもかまいません。

 

RDP 7.1 クライアント (いまのところ Windows 7 SP1 Beta) から接続したところ

「RemoteFX により仮想マシンでもAero Glass やマルメディア再生が可能に!!」というメディア記事を見かけたことはないでしょうか。これは正確ではありません。Aero Glass やマルチメディア再生は、Windows 7 や Windows Server 2008 R2 の標準の RDP 7.0 セッションでもサポートされている機能です。この機能を利用するには、Windows 7 どうし、あるいは Windows 7 と Windows Server 2008 R2 RDS 間での利用で、ローカル側に Aero Glass 対応のグラフィックス機能が利用可能である必要があります。 接続先が仮想マシンかどうかは関係ありません。

RemoteFX の場合は、同じ RDP であっても、 接続先が RemoteFX が有効な仮想マシンだという点が異なります。また、RDP 7.0 はローカル側の GPU を使用するのに対して、RemoteFX はホスト側の GPU を使用する点が大きな違いです。次のスクリーンショットを見てください。仮想マシンの貧弱なグラフィックス (S3 Trio32/64) はローカルのデスクトップを Aero Glass 表示できません (リモート デスクトップ接続ウィンドウの枠に注目)。しかし、RemoteFX が有効な仮想マシンに接続したリモート デスクトップ接続ウィンドウ内では、Aero Glass が機能しています。これで、ローカルの GPU 性能に関係なく、RemoteFX が機能することがわかるでしょう。

 

Aero Glass 非対応の S3 Trio32/64 ビデオでも RDP 接続内は Aero Glass 表示

RemoteFX USB

仮想マシンに RemoteFX 3D ビデオ アダプターを追加すると、もれなく RemoteFX USB リダイレクトという機能が付いてきます。この機能は、Hyper-V の仮想マシンで USB デバイスをサポートする初めての方法です。RDP 接続時にクライアント側の USB デバイスを選択することで、接続先の仮想マシンにクライアントのローカルの USB デバイスを認識させることができます。

RDP 7.1 クライアントからの接続時にリダイレクトする USB デバイスを指定する

RDP 接続して仮想マシンにログオンすると、USB デバイスが認識され、(初めてのデバイスの場合は) ドライバーのインストールが始まります。

RDP 7.1 で接続先の仮想マシン側にリダイレクトされた USB デバイスが認識される

実はそれほどの機能ではないような…

Hyper-V しか経験のない人にとっては魅力的な新機能かもしれませんが、他社仮想化テクノロジと比べると、実はたいしたことはなかったりします。大したことないというのは失礼かもしれません。マイクロソフトは仮想化分野において後発ですが、やっとここまで機能がそろってきたという感じでしょうか。たとえば、VMware ESX/ESXi には以前からメモリのオーバーコミットやホットアドメモリといった高度なメモリ管理機能が備わっています。Hyper-V では、Dynamic Memory を用いても物理メモリ以上のメモリを割り当てることはできませんが、VMware ESX/ESXi では既に可能です。

RemoteFX は RDP が大きくかかわっている機能です。同種のテクノロジとしては、ICA プロトコルを提供する Citrixy のほうが常に機能的に先を行っています。RemoteFX が提供する 3D 表示や USB デバイス サポートと同等の機能は、Citrix HDX テクノロジ (http://www.citrix.co.jp/products/xendesktop/hdx_technology/index.html) ですでに利用可能なものばかりです。

Hyper-V、そして Dynamic Memory や RemoteFX が注目されるのは、Windows の標準機能だけで利用できる点、そして Windows がサポートする標準的なハードウェアで簡単に動く点にあると思います。今回、RemoteFX については、手持ちのサーバー機に数千円の低価格な普及版グラフィックス カードを挿して試しました。推奨の 1 GB メモリには足りませんが、玄人志向 RH4350-LE512HD/HS (http://www.kuroutoshikou.com/modules/display/?iid=1328) でも何とか動かすことができました。

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