オラクル、「サン買収後の方針」広告で多額の投資を約束

「ハードウェア市場でIBMと戦うのが楽しみ」とエリソンCEO
(2009年09月11日)

 米国Oracleは9月10日、Sun Microsystems買収後の方針を新聞広告に掲載した。SPARC/Solarisプラットフォームに多額の投資を行い、サービスとサポートを強化すると約束している。


「SUN CUSTOMERS」で始まるOracleの広告

 「SUN CUSTOMERS(Sunの顧客の皆様)」との見出しで始まるこの広告には、Sunの顧客に向けたOracleのメッセージが4つ並んでいる。例えば、「SPARCとSolarisの開発に現在のSunよりも多額の投資を行うこと」「現在のSunよりもハードウェア・スペシャリストの人数を2倍以上に増やし、サービスとサポートを強化すること」などだ。

 一見すると、Sunの顧客がSPARC/Solarisプラットフォームから離れるのを防ぐことが、この広告のねらいのように思える。だが、アナリストたちの見方は少し異なる。

 この広告は他社の宣伝攻勢に対する防衛的な色彩が強い、というのがアナリストの見解だ。74億ドルもの大金を投じる大型買収ゆえに、Oracleはさまざまな不安材料を払拭しきれていない、と彼らは言う。実際、Oracleの主張は一見明快だが、疑問や解釈の余地は大きそうだ。

 米国の市場調査会社IDCによると、今年第2四半期(4-6月期)におけるSunのサーバ売上高は前年同期比37.2%減で、IBMやHPなど大手ハードウェア・メーカーの中で最も大幅に落ち込んだ。このことは、なかなか実現に至らない買収がSunの価値を低下させる可能性を示唆している。

 OracleのSun買収を米国司法省(DOJ)はすでに承認しているが、欧州連合の行政執行機関である欧州委員会は、データベース市場に与える影響に「重大な懸念」を示し、欧州競争法違反調査の延長を明らかにしている。欧州委は来年1月中旬までに調査の結論を出すとしており、買収に関してはもう1四半期の間、不透明な状況が続くことになる。

 広告の中でOracleは現在のSunよりも多額の投資を行うとしているが、その金額はあまり大きくならないのではないか、とIdeas Internationalのアナリスト、リッチ・パートリッジ(Rich Partridge)氏は予想する。SPARCとSolarisの開発に対するSunの投資額はさほど多くない、と見られているためだ。

 「広告で示された方針は頼もしく聞こえるが、言葉使いが巧みなだけかもしれない。Sunがサーバ売上高の落ち込みを受けて支出を大幅に削減していれば、『現在のSunよりも』というフレーズはあまり意味をなさない」(パートリッジ氏)

 Illuminataのアナリストであるゴードン・ハフ(Gordon Haff)氏は、「もしOracleがSPARCプロセッサを売りに出すつもりであれば、こんな広告を出すはずがない。しかし、広告を出したことが、Oracleが方針を変える妨げになるかと言えば、そんなこともない。企業はいつでも方針を変えるものだ」と述べている。

 さらにハフ氏は、Sunの顧客が離れればOracleも大きなダメージを受けるとみる。Sunの顧客の多くはOracleの顧客でもあるからだ。Oracleは既存の顧客が自社プラットフォームからIBMに流れるのを回避しようとしている、とハフ氏は指摘する。

 実際、Oracleの大きな関心事は、広告に記されている同社CEO、ラリー・エリソン(Larry Ellison)氏の次の言葉に示されている。

 「われわれは、ハードウェア市場でIBMと戦うのを楽しみにしている」

Patrick Thibodeau/Computerworld米国版