既に私たちは、インターネット上でショッピングをしたりオークションしたり、場合によっては銀行取引や株の取引まで行うことに既に違和感はありません。ただこれは飽くまで「個人需要」という分野であって、企業のシステムを「自らWebサイト上で選択して、それをクリックして購入し、オンラインで自発的に活用する」という体制はまだ必ずしも醸成されていません。従って「安心して導入・活用をフォローしてもらえる身近な」体制が未整備であることが地域市場でSaaS/クラウド需要が思うように取り込めていない要因なのです。
しかし先述させて頂きました通り、SaaS/クラウドは海外・国内を問わず確実に普及に向けて大きく動いています。つまり地域市場においても例外ではなく、これまでのビジネスモデルから脱却して市場の需要に適合した次のビジネス展開を進めてゆく必要があり、また各地域でも次の「勝者」が成立するチャンスでもあると考えております。
これまでのオンプレミス(自社保有型)のSI(System Integration)事業では、ともするとSI会社の売上・利益を上げるためにお客様にとっては過剰と思われるような投資を強いる場合が多々ありました。また当然こうして納品した個別システムの運用管理・保守費用も相応に掛かってきます。しかし、一旦納品されてしまうと凡そ4~5年間に亘って減価償却資産として計上されるため、その間に市場・環境の変化があり既に実態や戦略に合わなくなっても、そのシステムを捨てることは実務上も会計上もそうそうできることではありません。
そうしたお客様の中には「システムは重要だとは思うものの環境の変化に柔軟に適合させるにも次から次へと金が掛かるため費用対効果がないのではないか」という意識が生まれていることも少なくなく、IT投資には大変慎重なお客様が増え続けています。これは全体的にIT市場を委縮させてきた可能性もあります。
一方で提案したSIベンダーの方でも提案当初は最も妥当な(最新の)提案をしたはずであっても2~3年も経過するとH/Wは元よりOSやミドルウェア、言語なども陳腐化し、運用保守も重たくなるため相応の費用を頂かないことにはやってゆけないというのもまた事実です。
しかしながら、高性能なServerやネットワーク機器、セキュリティ製品やバックアップ製品、Server OSやミドルウェア、場合によってはIDCやVPNなどは、本当に個々の企業が各々自社構築し自社保有する必要がどこまであるしょうか。
SaaS/クラウドでは、必ずしも個々の企業がこれらのリソースを自社保有することなく実運用上必要なアプリケーションをインターネットを介して、より安全に、よりリーズナブルにご活用頂けるように提供する形態です。SaaS/クラウドが期待されている背景にはこうした市場ニーズが大きく後押しをしているのは確実です。
今後これまで以上に早いスピードで経営を取り巻く環境が変わってゆく中で、SaaS/クラウドでは様々な分野で非常に多くサービスが次々と提供されてくることは間違いなく、そうなれば、ユーザ自身が数多あるソリューションの中から適時、的確に選択し、場合によってはそれらを組み合わせ、連動してより効果的に導入・活用を進める、ということがますます難しくなってきます。
つまり、今後は各地域でユーザに近い接点を持って「安心して導入・活用をフォローしてもらえる身近な」サービスが必要とされており、SIビジネスは「System Integration」から「Service Integration」事業へと大きく展開・発展してゆくことになります。こうした需要は、従来のSIビジネスよりも単価は下がる代わりに、これまで以上に大きく市場が広がり、更に今後ますます高まってくるでしょう。
これまでの大規模下請けSystem Integration事業はなくなりはしませんが、大幅に市場が縮小される一方で、より広い市場でService Integration事業の需要が増えて参ります。現在こうした大きな事業構造の変化に対応できるようCBAでは「地域クラウドビジネスプロジェクト」を推進しております。地域クラウドビジネスでご一緒に次の勝利を目指しましょう。
<筆者紹介>
坂本恒之(さかもとつねゆき)
クラウド・ビジネス・アライアンス 理事 株式会社スマイルワークス 代表取締役社長
リゾート生活に憧れる完全なワーカホリック。 無理無駄の多い合理主義者で コンテンジェンシープラン好きな楽観主義者。