「オープンソース業務アプリケーション」の時代

エンタープライズ・レベルの注目ソフトを12分野で一挙紹介
(1970年01月01日)

OSのLinuxや一連のインターネット・サーバ・ソフトの企業での利用は今やすっかり定着しているが、アプリケーションの分野では商用製品に大きく遅れをとっている──というのが少し前までの定説だった。しかし、最近では、商用に匹敵する機能や信頼性を備えたオープンソース・アプリケーションが多数登場してきている。そこで、本稿では、業務に活用できる代表的なオープンソース製品や開発プロジェクトをピックアップして紹介する。

実用期を迎えた、オープンソースの業務アプリケーション

 数年前までは、業務に活用できるオープンソース・ソフトウェア(OSS)と言えば、OSであるLinuxとWebサーバのApacheやMTA(メール配送エージェント)のsendmailなどインターネット・サーバ関連、いくつかのデータベース、それと開発ツールくらいしか思いつかなかった。しかし、そうした状況は大きく変わりつつある。CRMソフトやEIPソフト、コンテンツ管理ソフト、RFID管理ソフトなどでも有力なオープンソース製品が続々登場してきているのだ。それらの中には商用製品を凌駕するほどの機能を備えているものもある。以下、有望なオープンソースの業務アプリケーションや開発プロジェクトを、12の分野に分けて紹介しよう。

ビジネス・インテリジェンス・ソフト

 エクリプス・ファウンデーションは、7つのトップレベル・プロジェクトの1つにビジネス・インテリジェンス(BI)ソフトの開発を掲げ、リポーティング・ソフト「BIRT(Business Intelligence and Reporting Tools)」を2005年6月にリリースした(画面1)。

画面1:リポーティング・ソフト「BIRT」のリポート画面

 BIRTは、JavaベースのWebアプリケーションで、アプリケーション・サーバ用のランタイム・コンポーネントを含むJAR(Java Archive)ファイルと、Eclipseプラグインとして提供される、すぐれたGUIを備えたリポート作成ツールから構成される。同ソフトは、オープンなフレームワークを採用しており、さまざまなデータ・ソースに柔軟に対応できる。BIRTに関する専門的なサポートやメンテナンス、トレーニングは、米国のアクチュエイトが提供している。さらに、同社はBIRTに独自の改良を加えたパッケージを「Actuate BIRT」として販売している。

 米国のペンタホが開発しているオープンソースのBIソフト「Pentaho」も注目に値する。同社の開発陣には、コグノスやオラクル、SASといったベンダーでBIソフトの開発の経験を積んだメンバーが参加しており、リポーティング、分析、ダッシュボード、データ・マイニング、ワークフロー・ツールを含む完全なオープンソースBIプラットフォームの提供を目指している。Pentahoのサーバ・ソフトはJ2EE上で稼働し、クライアントはBIRTと同様に、Eclipseベースとなる。ペンタホの開発陣は、BIソフトの柔軟性を最大限に高めることを目標とし、あらゆるコンテンツに対応可能なXML定義や分析コンポーネント用のWebサービス・インタフェースなどを組み込んでいる。残念ながら本稿執筆時点では、ダウンロードできるソフトウェアはなかったが、ペンタホは現在開発中のPentahoをGNU LGPL(注1)ライセンスに基づいて、近々に公開する予定だ。

注1:GNU LGPL(Lesser GPL)は、GNUプロジェクトによるGNU GPLの派生ライセンス。GNU GPLとの違いは、実行時にリンクするソフトウェアにかぎり、GPL/LGPLに従っていないソフトウェアの利用も許容している

BPM(ビジネス・プロセス管理)ソフト

 アプリケーション・サーバ「JBoss」で知られるジェイボスは現在、「jBPM」というオープソースのBPM(ビジネス・プロセス管理)ソフトの開発も手がけている。同ソフトのコードは、GNU LGPLに基づいて配布されている。

 jBPMは、スタンドアロン・アプリケーションとして利用することも、他のアプリケーションに組み込んでコンポーネントとしても利用できる。機能面では、BPM機能に加え、ワークフロー作成用のグラフィカルなプロセス・デザイン・ツールが含まれている。なお、同プロジェクトは、jBPMの将来のバージョンにおいてBPEL(Business Process Execution Language)ビジネス・プロセス実行言語)をネーティブ・サポートする予定であり、いずれはSOA(サービス指向アーキテクチャ)ベースのシステム構築の核となるESB(Enterprise Service Bus)にまで発展する計画にあるという。

 一方、アパッチ・ソフトウェア・ファウンデーションが開発している「Apache Agila」は米国のグルーコード・ソフトウェアが2004年10月に寄与したコードをベースに開発されたオープンソースのBPMソフトである。J2EEのみならず、J2MEでも利用可能だ。ただし、このプロジェクトは始まったばかりであり、まだ、ソフトウェアの一般公開には至っていない。

CMS(コンテンツ管理システム)

画面2:CMSの「eZ publish」の管理画面

 最も完成度の高いオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)と言えるのは、「eZ publish」だろう(画面2)。同ソフトはコンテンツの構築、ワークフロー認証、負荷分散など、ITスタッフが必要とするすべての機能を網羅している。なお、同ソフトの開発元であるノルウェーのイージー・システムズは、同製品の有償ライセンスのほか、コンサルティングやトレーニング・サービスも提供している。

 ドイツのアルカコン・ソフトウェアが開発しているCMS「OpenCms」は、ApacheとTomcatの環境で稼働し、GNU LGPLに基づいて配布されている。同ソフトの導入サポートやその他の専門的サービスは、数社の公認ソリューション・プロバイダーが提供している。また、アルカコン自身も、有料のサポート契約、英語とドイツ語によるエンドユーザーおよび開発者向けのトレーニング・コース、カスタマイズ・サービスを提供している。

 OpenCmsは、GUIエディタとフォームによりコンテンツを簡単に編集できる。さらに高機能な管理インタフェースを備え、カスタマイズも容易に行える。ただし、SSLによる暗号化通信とLDAP認証は未装備であるという欠点がある。

 シンプルなサイトから大規模な業務サイトに至るまで幅広く使われている「Mambo」は、PHPおよびMySQLベースのCMSである。同ソフトはすぐれたページ・キャッシング機能と、RSS配信機能、スケジュールと連動したコンテンツ表示機能を備えている。Mamboの開発コミュニティは、国をまたいで運営されており、サポート・フォーラムやeコマース・ショッピング・カートのテンプレートなどが提供されている。なお、MamboはGNU GPLに基づいて公開されているが、オーストラリアのミロは、同ソフトから派生した商用版のコンテンツ管理ソフト「Jango」を提供している。

CRM(顧客関係管理)ソフト

 オープンソースのCRM(顧客関係管理)ソフトは、セールスフォース・ドットコムやシーベル・システムズなどの有力な商用製品と争うだけの実力を備えてはいないが、小・中規模環境での利用には十分な機能を備えるソフトが存在する。

 米国シュガーCRMの「Sugar Open Source」は、PHP、MySQL、Apacheなどを用いて開発されたオープンソースのCRMソフトである。同ソフトは、同社独自のカスタム・ライセンスに基づいて公開されており、商用版の「Sugar Professional」も提供されている。シュガーCRMは、オープンソース版と商用版の両方において有料のサポートを提供している。

 Sugar Open Sourceが備える機能には、訪問先リスト管理、電子メール・マーケティング、プロジェクト管理、社員ディレクトリ、カレンダー同期ツールがある。次期バージョンでは、出張中の従業員向けのオフライン・クライアント、拡張可能なモジュール・フレームワーク、Oracleデータベースのサポートが追加される予定だ。

 米国コンピエールが開発しているオープンソースのERPソフト「Compiere」も、CRM機能に力を入れている。Compiereはカスタマー・リレーションを論理ビューで表示する機能やキャンペーン管理、顧客の収益性分析、パートナー企業向けのセルフサービス・オンライン照会といった機能を備える。なお、Compiereについては、ERPの項でも紹介する。

 オープンソース・フォー・ビジネス・プロジェクトの「Open for Business Project」は、CRM、ERP、eコマースの各機能を提供する本格派である。同ソフトは、機能をモジュール化せず、パッケージ全体を共通のデータ・モデルの上に構築し、各種の販売支援や会計、設備管理、コラボレーションといった機能を実現している。つまり、同ソフトでは、各種機能がパッケージ内で完全に統合されているため、いくつかの機能しか必要がない場合も、巨大なパッケージ全体を導入しなければならない。なお、いくつかのコンサルティング会社が、このソフトのサポートを提供している。

ディレクトリ・サービス

 ディレクトリ・サービスは、SSO(シングル・サインオン)、アイデンティティ情報の自動プロビジョニングといったアイデンティティ管理関連の製品の基盤となる、今日の企業にとっての必須コンポーネントである。

 最も実績を持つオープンソースのディレクトリ・サービスは「OpenLDAP」である。同ソフトは、LDAPディレクトリ・サーバとレプリケーション・サーバ、いくつかの基本ツールから構成される。コードを管理しているOpenLDAPファウンデーションは、カスタム・ライセンスの下、同ソフトをAIX、FreeBSD、Linux、Mac OS X、Windowsなどの各種プラットフォームに移植している。OpenLDAPは、成熟したディレクトリ・サービスであると言えるが、ACL(アクセス制御リスト)の記述が難しいという欠点がある。まだ、マイクロソフトやノベル、サン・マイクロシステムズなどの有力な製品のような、行き届いたインタフェースを備えるに至っていない。

 さて、ノベルはオープンソースを戦略の核に据えているが、同社のディレクトリ・サービス「eDirectory」は依然として商用製品のままである。その一方、同社の競合ベンダーであるレッドハットは、オープンソース・ディレクトリ・サービスで市場に参入している。同社の「Red Hat Directory Server(RHDS)」は、2004年にネットスケープから得たディレクトリ・サービス「Netscape Directory」をベースとする製品であり、Windows、Solaris、HP-UXの各版が提供されている。RHDSはすでに多くの実績があり、レプリケーション、Active DirectoryおよびNTドメインの同期といった機能を備えている。

 現在、RHDSは、レッドハットのサブスクリプション契約ユーザーにのみ提供されているが、同社はすでに、「Fedora Directory Server」というGNU GPLベースのプロジェクトによって同ソフトのオープンソース化に着手している。本稿執筆時点では、コアのLDAPサーバ自体といくつかのコマンドライン・ツールのみがオープンソース・ソフトとして入手することができる。今後、他のサーバ・モジュールや管理コンソールなどのオープンソース化が順調に進めば、OpenLDAPよりも魅力的な製品になるかもしれない。

アイデンティティ管理ソフト

 ディレクトリ・サービスに続き、アイデンティティ管理ソフトの分野を見てみよう。米国エール大学はSSOを実現する「Central Authorization Service(CAS)」という名のJavaサーブレットを開発し、同大学独自のライセンスに基づいて公開している。同じくカスタム・ライセンスに基づくもう1つのSSOソフトが「Java Open Single Sign-On(JOSSO)」プロジェクトであり、これはASPとPHP、Javaアプリケーションに対応する。

 アイデンティティ管理製品ベンダーである米国ピング・アイデンティティが開発を進めている「SourceID」は、Javaおよび.NET上でLiberty ID-FF 1.1およびSAML 1.1プロトコルをサポートし、さらにJava環境にかぎりLiberty ID-FF 1.2をサポートする。また、同ソフトはピング・アイデンティティの商用アイデンティティ連携サーバ「PingFederate」の基盤となっている。

 アイデンティティ連携において、最も野心的な取り組みを行っているオープンソース・コミュニティは、次世代インターネット研究開発コンソーシアムであるインターネット2の教育向けミドルウェア・アーキテクチャ部会が開発している「Shibboleth」だろう。同ソフトは、SAMLプロトコルをサポートし、Webサービス・ベースの認証およびアクセス制御を実現している。同ソフトはカスタム・ライセンスに基づいて公開されており、大学や図書館、ナップスター・デジタル音楽サービスなど、多数の組織・企業に利用されている。

ERPソフト

 企業の基幹系を担うERPソフトに関しては、引き続き商用ベンダーの牙城は崩れそうにない――こう考える向きは多いし、それは真実かもしれない。SAPやオラクルなど、この分野で名を馳せるベンダーは、膨大な研究開発費と人材を投入して、高機能なERPソフトを開発したが、同時に、その価格を多くの企業の手に届かないところまで押し上げてしまった。

 そこに「オープンソースERP」というチャレンジの意義を見い出すことができる。ERPソフトが高価である理由の大半は、製品を実装する際、顧客企業固有のビジネスに合わせたカスタマイズに要するコストが膨れ上がることにある。そこで、ユーザーにも高いスキルが要求されるという難題が存在するものの、製品の開発コストおよび構築コストの優位性を武器にオープンソースのERPが台頭するチャンスはあると言える。

画面3:ERPソフト「Compiere」

 現状、最も有名なオープンソースERPソフトの1つはCRMの項で紹介したCompiereである(画面3)。同ソフトはビジネス・アナリシス、CRM、POS、在庫管理といったモジュールを備えている。同ソフトはオラクルとサイベースのRDBMSに対応しているほか、JDBC(Java Database Connectivity)をサポートする大多数の製品との連携が可能である。対応プラットフォームは、Linux、Solaris、Windowsの各OSで、Mozillaパブリック・ライセンスに基づいて公開されている。

 そのほか、カナダのセレクトネットがGNU GPLに基づいて公開している「webERP」も将来に期待したいソフトだ。同ソフトは、総勘定元帳、買掛金/売掛金元帳、ロール・ベースのセキュリティ、カスタマイズを容易に行えるWebベースのフロントエンドといった機能を備えている。特に、受注/在庫管理の機能が充実しているので、製造業に向いている。ただ、Compiereと異なり、顧客管理や人材管理などのモジュールは未実装である。

ESB(Enterprise Service Bus)エンジン

 J2EEアプリケーション・サーバでの成功に触発され、ミドルウェア全般でオープンソース製品が勢いを増している。今日注目のSOA/ESB分野でもその勢いが見てとれる。

 アイオナ・テクノロジーズは、Javaで開発されたESBエンジン「Celix」をGNU LGPLの下で公開し、オブジェクトウェブ・コンソーシアムにその開発が引き継がれた。本稿執筆時点ではダウンロードすることはできないが、Celixは最近発表されたJBI(Java Business Integration)仕様をサポートする。同仕様はアプリケーション統合のための標準オブジェクト・コンテナを定義するものだ。加えて、CelixはWSDL(Web Services Description Language)とJMS(Java Messaging Service)、SOAP、XMLにも対応している。同ソフトの管理ツールと設定ツールはEclipseベースとなる予定だ。

 一方、現在、自社のソフトウェア製品のオープンソース化を進めているサンは、2005年のJavaOneコンファレンスで、「Java Open Enterprise Service Bus」という独自のESBエンジンを公開した。サンはイオナとは異なり、コードをGNUライセンスではなく独自のCDDL(Common Development and Distribution License:共同開発および頒布ライセンス)に基づいて配布する。Celtixと同様、Java Open Enterprise Service BusはJBIに準拠している。

 これらのプロジェクトはまだ初期段階だが、多少歴史のあるオープンソースESBも存在する。米国のシンフォニー・ソフトがスポンサーを務める「Mule」プロジェクトは、2003年に開始されている。Muleは現在バージョン1.1で、JMS、POP3、TCP、UDP、サーブレット、マルチキャストなどをサポートしているが、JBIの実装はバージョン2.0を待たなければならない。また、Muleは、FSF(フリー・ソフトウェア・ファウンデーション)やOSIの承認したオープンソース・ライセンスではなく、シンフォニー・ソフト独自のライセンスに基づいて公開されている。

POS(Point of Sales)管理ソフト

 POS(Point of Sales)管理ソフトにもオープンソース製品が存在する。その1つ、「PHP Point of Sale(POS)」は、PHPおよびMySQLをベースとし、GNU GPLに基づいて公開されている。同ソフトは最も利用されているオープンソースのeコマース・ソフトである「osCommerce」と連携可能なので、オンライン取り引きと実店舗の両環境で活躍する。

 PHP POSは2003年にリリースされ、すでに2万6,000回以上のダウンロードがあるソフトだ。最新版はバージョン9.0で、販売系の機能とバックエンド・リポーティング機能の改善が図られている。

画面4:POS管理ソフト「Tina POS」の管理画面

 注目に値するもう1つのPOS管理ソフトは、「Tina POS」である(画面4)。GPLに基づいて配布されているTina POSはバーコード・リーダ、タッチスクリーン端末、各種のレシート・プリンタなどに対応している。JDBC経由でデータベースと接続可能なほか、Javaフロントエンドとバックエンドの統合機能とリポーティング機能を備える。

 より高度なカスタマイズを求めるのであれば、J2EE互換のフレームワーク「jPOS」も選択肢となるだろう。同ソフトは、多数のPOSシステムに対応し、ロール・ベースのセキュリティも備ているうえ、強力なコンサルティング・サービスが用意されている。

EIP(企業情報ポータル)ソフト

画面5:EIPソフト「eXo Platform」で構築したWebサイト

 代表的なEIP(企業情報ポータル)ソフトの1つが、フランスのeXoプラットフォームの「eXo Platform」である(画面5)。同ソフトは、カスタマイズ可能なEIP兼CMSとして設計されており、現在はバージョン1.0が公開されている。また、同ソフトはJavaポートレットとWSRP(Web Services for Remote Portlets)に準拠しており、キャッシング、接続プーリング、共有セッション機能を備えている。EIPの部分はJSF(Java Server Faces)技術をベースとし、MVC(Model View Controller)の3層アーキテクチャを提供する。同ソフトは商用およびGNU GPLの両ライセンス方式に基づいて提供されており、eXoプロジェクト・チームは有料でオンライン・サポートとオンサイト・トレーニングを提供している。

 もう1つの有力なEIPソフトが、米国ライフレイの「Liferay Portal」である。同ソフトはeXoと同様に、JavaポートレットとWSRPに準拠しているが、JSFの代わりに、Strutsフレームワークを採用している。広範な種類のアプリケーション・サーバやデータベース上で稼働し、SSO機能も実装しているが、デフォルトの状態ではエール大学のSSOエンジンしかサポートしない。ただし、専門的サポートをライフレイの開発者から受けることができる。

 アパッチ・ソフトウェア・ファウンデーションが開発しているEIPソフト「Jetspeed」は、JPSやXMLといった技術に基づいて開発された本格的な製品である。

 ジェイボスも「JBoss Portal」というソフトを開発している。同ソフトもJavaポートレットに準拠しており、カスタマイズにはJSF、MyFaces、Springが利用される。さらに、コンテンツ管理とアドミニストレーション機能も備わっている。ジェイボスは、同ソフトにおいてGNU LGPL版と商用版を用意しており、加えて専門的なサポート、コンサルティング、トレーニングを提供している。

 クリッドラボの「GridSphere」も、Javaポートレット準拠のEIPソフトで、JSFをサポートする。注目すべき特徴は、「WebSphere」とほぼ100%の互換性があるポートレットAPIが追加されているところだ。コンサルティングとトレーニング、開発サポートは、グリッドワイズ・テクノロジーズが提供している。ただし、同ソフトはOSI承認ではない独自のライセンスに基づいて公開されている。

RFID管理ソフト

 これまで高価な商用製品に依存するしかないと思われてきたRFIDの分野にも、オープンソースの波が押し寄せてきている。ラジオアクティブ・ファウンデーションが開発しているRFID管理ソフトは、EPC(電子製品コード)やEPCグローバルが策定しているRFID規格のサポートを目指している。

 同団体は3つのプロジェクトを進めている。その1つ、「Fusion」は、タグ・リーダからのデータを企業のシステムに送る前に情報を管理・収集するためのミドルウェアである。「Neutrino」は、パートナー間でEPCデータを交換するためのツールである。そして、「Graviton」は、各社製RFIDハードウェアのドライバ・シミュレータである。これらはアパッチ・ソフトウェア・ファウンデーションのライセンスに基づいて公開される予定だ。

 ラジオアクティブは業界に、新設されたオープンソースRFIDコンソーシアムへの参加を通じて、プロジェクトへの関与を呼びかけており、これにより関心が高まり、関連ソフトの開発が早まることを期待している。

VoIPサーバ・ソフト

 「Asterisk」は、初期のオープンソースVoIPサーバ・ソフトの1つである。同ソフトはGNU GPLに基づいて公開されており、ボイス・メールや通話転送、電話会議、IVR(音声自動応答システム)までの、企業がVoIPゲートウェイに求めるほぼすべての機能をサポートする。さらに、同ソフトの開発者コミュニティが、多くのアドオンを開発している。

 Asteriskは草分け的な存在とはいえ、もはや唯一のVoIPサーバ・ソフトではない。例えば、ピンテルは同社の商品「SIPxchange PBX」のコードを公開し、同コードはSIPファウンドリーという非営利団体により、「sipX」という名で管理されている。sipXはAsteriskほど成熟していないが、オープンな規格であるSIPに準拠しており、現時点で少なくともハードウェアおよびソフトウェアの互換性の点では、すぐれている。

 ドイツのフラウンホーファー研究所が開発している「SIP Express Router(SER)」も有力なVoIPサーバ・ソフトである。C言語で記述された同ソフトもGNU GPLに基づいて公開されており、LinuxとSolarisの両プラットフォームに移植されている。SIPサーバとして機能するほか、SMS(ショート・メッセージング・サービス)およびインスタント・メッセージングのゲートウェイ、RADIUS認証、Webベースのユーザー・プロビジョニング機能を備えている。SERベースの製品はアイピーテルのWebサイトからダウンロードできるほか、ブータブルCD-ROM版も入手可能だ。さらに複数のサードパーティがSERを拡張し、より操作性にすぐれるWebベースの管理ツールと、シスコシステムズやミテルなどのVoIPハードウェアのサポートを追加している。

 ルーマニアのヌル・チームが開発しているVoIPサーバ・ソフト「Yate(Yet Another Telephony Engine)」はGNU GPLに基づいて公開されている。同ソフトは、SIPとH.323の両プロトコルをサポートし、LinuxまたはWindows上で稼働する。通常のPBXの拡張機能(ボイス・メール、通話転送など)をすべて備えており、さらにIVRサーバとしても機能する。

 より堅牢なIVRサーバに関心があるなら、GNUプロジェクトのスクリプト駆動型のテレフォニー・サーバ「GNU Bayonne」がお勧めだ。Bayonneは利用実績が豊富にあり、多くのベンダーから商用サポートが提供されている。

 


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 以上で紹介してきたオープンソース業務アプリケーションやプロジェクト以外にも、多数の開発プロジェクトが進行しており、実用的な業務アプリケーションの数はもっと増えていくだろう。

 これらのアプリケーションを自社で採用する際には、業務に必要な機能が備わっているかどうかだけではなく、導入のためのコンサルティング・サービスやカスタマイズ・サービス、運用サポートが用意されているかどうかも重要なポイントとなる。オープンソース業務アプリケーションをとりまく環境は、日々変化を続けているので、表1に示したような開発者コミュニティを定期的にチェックし、動向を把握しておく必要があるだろう。

表1:主要な「オープンソース業務アプリケーション」一覧

 

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