段階的システム最適化のアプローチ
前節で挙げたシステム・パターンは、日立が描く段階的システム最適化の具体的な方法である。これらのパターンを適切に組み合わせれば、全体最適化された企業システムの構築を進めることができる、というのが前節の内容だった。
ここで、段階的システム最適化の目的をもう一度思い出してほしい。それは、「いきなり全体最適システムを構築するのではなく、全体最適なシステムという最終ゴールを挙げたうえで、まずは個別の課題を順番に解決(=部分最適)。その積み重ねにより、段階的に最適化を目指すこと」であった。
つまり、段階的システム最適化において最も重要なのは、部分最適から全体最適へと至るプロセスであるということだ。
前述の5つのパターンは、個々の最適化を効率よく進めるために定義されたものであり、そのパターン適用の効果も示している。だが、それは全体最適へと至る過程の中で、設計の指針として使われるものにすぎない。そこで次に、段階的システム最適化のアプローチについて説明する。
図3をご覧いただきたい。この図では、段階的システム最適化において、個別の課題を解決しながら各フェーズが進行する様子を、具体的な例を挙げて図示している。段階的システム最適化は、目指す企業システムによって実現のためのフェーズは異なる。この図は、3つのフェーズによるアプローチについて示しており、プロセス統合基盤が中心的な役割を果たすことで、解決された個別の課題が次々と接続されるイメージを表している。
図3における段階的システム最適化を説明すると、フェーズ1では、審査・承認のワークフローをシステム化することで、業務効率を向上させ、業務の流れのルール化を実現する。ワークフロー・システムは、SOAにおけるサービスとして利用できるので、このサービスをプロセス統合基盤に統合することで、以降のフェーズでほかのサービスとの連携が容易になる。
また、フェーズ1の時点では、ワークフローが自動化されただけで、ほかの既存システムには一切影響を与えていないことにも留意したい。既存システムには一切手を加えていないので、この時点で最終ゴールである全体最適なシステムの形態や、段階的システム最適化の方法を見直すことも可能だ。前述のパターンと併せて考えれば、段階的システム最適化がいかに既存資産を尊重し、投資を必要最小限に抑える効果があるかがおわかりいただけるだろう。
フェーズ2では、個別に使用またはシステム間で連携していたシステムをサービス化し、プロセス統合基盤に統合していく。図3の場合、業務のフロントを担う注文受付サービスと販売管理サービスがビジネスプロセスで統合される。フェーズ1で作成したワークフロー・システムと統合することで、業務のワンストップ化や人介在型システムの自動化が実現できる。
最後にフェーズ3において、フェーズ2よりも適用範囲を拡大することで統合するサービスを増やし、システムの最適化を推し進める。また、サービスの部分は独立しているので、サービス部分の修正を他のサービスに影響を与えることなく実施することも可能だ。例えば、以前のフェーズで統合したメインフレーム・システムのオープン化を図るといったことが考えられる。
図3の場合、業務のバックエンドを支える生産管理サービスや配送管理サービスがビジネスプロセスで統合される。こちらも、フェーズ2までに統合されたサービスとの接続が容易にできるため、最適化の適用範囲がどんどん広がっていく。そして、個々のサービスを統合するのに用いられるのは、前述の5つのパターンであり、段階的システム最適化を経て、最終的に全体最適が実現できる。
以上が、段階的システム最適化の大まかな流れだ。個別課題を1つずつ解決することで、最適化の効果をそのつど実感・確認できるとともに、既存のシステム資産を最大限有効に活用できるのである。
クイックスタートモデルでSOA導入を後押し
段階的システム最適化の最たる目的は、複雑になりがちなSOAシステムの構築をできるかぎり単純化し、導入へのハードルを下げることにある。これを後押しするため、日立が提供しているのが「SOAクイックスタートモデル」だ。これは、SOAの効果を実感できるよう考案された包括的なプログラムである。
SOAクイックスタートモデルの土台となっているのは、前述の5つのパターンとほぼ同様の「SOAクイックスタートモデルパターン」だ。そのうえで、以下のような内容のサービスが無料で提供される。
- SOAセミナー:知識習得を目的とした「座学セミナー」やSOAシステム構築の「体験セミナー」などが用意されている
- SOAお試しセット:自身の環境でSOAによるシステム基盤の構築を体験することが可能。体験用のCosminexus製品とサンプルが含まれている
これらについての詳しい情報は、日立のWebページ(http://www.hitachi.co.jp/cosminexus/topics/quickstartmodel.html)を参照されたい。
全体最適化を全方位からサポートするCosminexus
ここまでは、日立が考えるSOAによる企業システム最適化のアプローチと、その実践をスムーズにする段階的システム最適化について解説した。ここからは、今まで説明してきた概念やパターンを、日立がCosminexusでどのように具現化しているのかを見ていく。
図4は、3つの統合(インタフェース統合、プロセス統合、情報統合)に対して日立製品がどの部分に対応しているのかをマッピングしたものだ。
図4に示すように、Cosminexusの製品群は、前出の図2に示した全体最適化された企業システムの範囲をしっかりとカバーしている。つまり、全体最適化された企業システムは、ほぼすべての部分がCosminexusを用いて構築できるわけだ。
またCosminexusは、システム構築基盤として、インタフェース統合、プロセス統合、情報統合の基盤となるミドルウェア/プラットフォーム製品群に加えて、日立が長年培ってきたシステム構築のノウハウを体系化した「リファレンスアーキテクチャ・適用ガイド」を提供している。


