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[米国]
IBM製スパコン「RoadRunner」がPFLOPSの壁を破る――TFLOPS突破から11年

OpteronとCellで達成。次の大目標はエグザFLOPS級スパコンの開発へ

(2008年06月10日)

 米国IBMは6月9日、ロスアラモス国立研究所で稼働する同社製スーパーコンピュータ「RoadRunner」がPFLOPS(ペタフロップス。毎秒1,000兆回の浮動小数点演算)の壁を打ち破ったことを明らかにした。しかし、スパコン開発者の間では、新たな目標として、早くもエグザFLOPS級スパコンの開発構想が持ち上がっている。

PFLOPSの壁を破ったIBMのスーパーコンピュータ「RoadRunner」

 エグザFLOPSとは、ペタFLOPSの1,000倍に相当し、1秒間に100京回の浮動小数点演算が可能であるということを意味している。世界最速のスパコンの開発を目指す人々にとってはこれが次の大きな目標となる。

 コンピュータの処理性能という点でエグザFLOPSという新たな目標がいかに画期的なものか実感するには、サンディア国立研究所のスパコン「ASCI Red」が開発された11年前に時計を戻す必要があるだろう。このシステムは、初めてTFLOPS(1秒間に1兆回の浮動小数点演算が可能)の壁を破ったシステムであり、現在のRoadRunnerと同様、当時は大きな注目を集めた。ちなみに、このシステムの価格は5,500万ドルだった。今では、ASCI Redに近い処理速度を有する10万ドル台のブレード・システムも登場している。

 来週、ドイツのドレスデンで開催されるスーパーコンピューティング分野のコンファレンス「International Supercomputing Conference(ISS)08」では、米国テネシー大学の教授でオークリッジ国立研究所の著名な研究員でもあるジャック・ドンガーラ(Jack Dongarra)氏が、2019年に登場すると考えられているエグザFLOPSシステムについて講演する予定だ。

 Dongarra氏はComputerworld米国版の取材に対し、「スパコンのパフォーマンスはこれまでのところ、予想どおりのペースで伸びている」と語った。ギガFLOPS(毎秒10億回の浮動小数点演算)の壁が破られたのは22年前、ローレンス・リバモア国立研究所に設置されたCrayの「Y-MP」によるもので、その11年後にASCI Redが登場している。

 Dongarra氏は、「見通しは非常にはっきりしている。11年後にはエグザFLOPSの壁が破られるだろう」と予測する。同氏は、その時点でスパコンの世界ランキングである「Top 500」リスト(公式サイト)に入るシステムは、すべてペタFLOPSのラインを超えると見ている。実際、ASCI Redシステム程度のパフォーマンスでは、1年に2回アップデートされるTop 500リストに入るのが難しくなっている。ちなみにDongarra氏は、このランキングの共同執筆者である。

 RoadRunnerが来週リリースされる最新のTop 500リストで1位になるのは確実と見られている。しかし、Dongarra氏は、エグザFLOPSシステムがこれまでと同じペースで開発できるかどうかはわからないとも語っている。

 Dongarra氏によると、RoadRunnerが高いパフォーマンスを発揮できるのは、OpteronプロセッサとCellプロセッサという異なるCPUを組み合わせて利用可能にする、卓越したプログラミング能力のおかげだという。「これは、プログラミングの傑作だ」と同氏。

 しかし、エグザFLOPS級システムの開発にあたっては、高度な並列処理により迅速に演算を完了することが可能な新しいプログラミング言語とアルゴリズムが必要だという。「このようなレベルのプログラミングを実現し、新しい手法に移行するのはきわめて困難であり、あと11年でエグザFLOPSシステムを開発するのは決して容易ではない」(Dongarra氏)

TOP500 Supercomputing Sitesによるスパコンの処理性能推移

(Patrick Thibodeau/Computerworld米国版)




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