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[米国]
チップの冷却効率を10倍にする、水の“高速沸騰”技術――大学の研究者が開発
「チップの小型化を推進するためにも、新たな冷却手法が必要」
(2008年07月08日)
米国Rensselaer工科大学の研究者たちが、ナノテクノロジーを使ってすばやく水を沸騰させる技術を開発した。この技術を応用すれば、より効率的にチップを冷却できるようになり、コンピュータの性能向上と小型化に貢献するという。
Rensselaer工科大学 機械航空核工学部の準教授、ニキール・コラトカー(Nikhil Koratokar)氏は、「チップの小型化で最大の問題となるのはホット・スポットの発生であり、チップ冷却に関しては新たな手法を考えていく必要がある。そのため、この技術はきわめて重要だ」と語る。
| 銅素材上にナノロッドを取り付けた電子顕微鏡の写真 |
同氏によると、沸点に達した水では相変化が起こるという。沸点で水は蒸気に変わるが、相変化を起こすには界面(この場合は空気)が必要になる。空気がないと水の温度は沸点を超えて上がり続けるだけで、蒸気に変化することはない。
容器の表面には微細な空洞やくぼみが必ずあり、そこにはごく微量の空気がたまっている。水が沸騰する際には、その空気が泡となって水面に上がってくる。そして、空気が抜けた後のくぼみには水が入り込み、沸騰効率が低下する。
Koratokar氏は、沸騰効率の低下を防ぐため、銅製のナノロッド層を容器の内側に敷き詰めた。ナノロッドに引っかかっている空気が泡の発生を加速させるとともに、容器の内側にあるくぼみへ水が入るのも防ぐため、沸騰効率を10倍まで高めることができるという。
Koratokar氏によると、沸騰は潜在的な熱移転手法であり、チップの冷却にも応用できるという。
チップの小型化が進むなか、メーカーにとってはチップの発熱が大きな問題となっている。小型で高い処理能力を持つチップほど、発熱量は多くなるからだ。
Koratokar氏は、チップの銅配線部分に銅製ナノロッドを取り付けることで、熱の上昇を大幅に抑制できるのではないかと考えている。
「チップの配線は銅製であるため、ここに銅製ナノロッドを取り付けるのは比較的容易で費用もかからない。チップ内にあるホット・スポットの温度を下げる場合、チップ内に冷却剤を入れる方法がある。この方法では冷却剤の蒸発によって熱エネルギーを奪うのだが、冷却剤の蒸発量が増えればより多くの熱をチップから奪うことができる。ナノロッドを使えば、冷却剤の蒸発量が多くなって除去できる熱が増えるため、すばやくチップを冷却することができる」(Koratokar氏)
同氏は、ナノロッドを利用することで、チップの冷却効率を6〜10倍まで高められると述べている。
Purdue大学の研究者も6月、ノートPCやデスクトップPC向けの小型冷却システムを開発したと発表した。この冷却システムは、CPUと同じサイズでありながら、小型のコンプレッサーと配管を使って冷却剤を循環できるようにしており、2年以内の実用化を目指している。
(Sharon Gaudin/Computerworld米国版)
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