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【解説】
実用化に向けて前進する「電子ペーパー」

実用期を目前にした最先端ディスプレイ技術の現状と課題

(2008年11月21日)

薄くて柔らかく、わずかな電力で稼働する「電子ペーパー」が、ようやく本格的な実用期を迎えつつある。最近では、米国Amazon.comの電子ブック・リーダ「Kindle」のディスプレイ部分に採用されたことでも注目を集めた。果たして電子ペーパーは、書籍や新聞などの紙に代わる新しい表示媒体として普及するだろうか。本稿では、電子ペーパー・ディスプレイ(EPD)に関する最新の技術動向について述べるとともに、今後の展望を探ってみたい。

David DeJean
Computerworld米国版

本格普及が見えてきた「未来の紙メディア」

 米国Amazon.comの「Kindle」(写真1)は、これまでハイテク・ガジェットが長く低迷していた分野(電子ブック・リーダ)を一夜にしてよみがえらせ、電子ペーパー・ディスプレイ技術に対する人々の興味を強くかきたてた。

写真1:米国Amazon.comの電子ブック・リーダ「Kindle」。書籍や雑誌、新聞などのデータを無線でダウンロードできる

 Kindleとそのライバル製品であるソニーの「Sony Reader(PRS-505)」(写真2)は、いずれもほとんど電力を消費せず、印刷されたページとそっくりな電子ペーパー・ディスプレイを搭載する。しかし今日の電子ペーパー・ディスプレイは、いや電子ブック・リーダでさえ、まだスタートラインを踏み出したばかりなのである。

 電子ペーパー・ディスプレイは長く登場が期待されていた技術だ。紙のように薄い装置にデータを表示する「電子ペーパー」というアイデアは、何十年も前からあった。そうした表示装置は、電子的に“印刷”が可能で、電力を消費せずにコンテンツを保持でき、反射光で閲覧できる(LCDのようなバックライトが不要)ほか、必要に応じて自在に消したり、書き換えたりすることができるものだった。

写真2:ソニーの電子ブック・リーダ「Sony Reader(PRS-505)」。eBOOK規格の電子書籍以外にPDF、Word、JPEGなどの表示や、MP3やAACなどの音声再生が可能。日本国内での発売は未定。

 AmazonのKindleは、その電子ペーパー・ディスプレイ技術を人々の目の前にもたらした。Kindleに代表される新しい製品──省電力プロセッサ、大容量フラッシュ・メモリ、EVDO(Evolution Data Only)無線ネットワーク技術、そして、ほとんど電力を消費しない電子ペーパー・ディスプレイなどの先端技術を組み合わせた製品──の登場によって、この技術はついに一般社会へのデビューを果たした。

 「電子ブック・リーダが電子ペーパーに対する世界の関心を呼び起こした」と語るのは、米国の市場調査会社DisplaySearchのアナリスト、バリー・ヤング(Barry Young)氏だ。ただ、電子ペーパー・ディスプレイの背後にある技術は近年大きく進歩したものの、ヤング氏や他の業界ウォッチャーによると、本格的な普及に向けて、ようやくスタートを切った段階にすぎないという。Kindleなどに搭載された表示装置は、伝統的な紙とインクのコントラストや解像度を実現するまでになったが、物理的な柔軟性やフルカラー表示などは今後の課題として残る。


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