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[米国]
IBMの動きは半導体ファウンドリ市場に影響するか?

(2003年04月18日)

 台湾の半導体製造受託会社(ファウンドリ)に対する競争上の脅威は、中国・上海ではなく、米国・ニューヨーク州イースト・フィッシュキルからやってきた。

 一部の業界観測筋は、上海で半導体受託生産を行っているSMIC(中芯国際集成電路製造:Semiconductor Manufacturing International Corp.)やGSMC(宏力半導体:Grace Semiconductor Manufacturing Corp.)などの台頭は、中国本土への半導体製造受託のメッカの移動開始を告げるものだ、と見ていた。だがそれは、IBMが半導体受託製造事業の積極的拡大に乗り出す前のことである。

 ファウンドリは、台湾のVIAテクノロジーズや米国のエヌビディアのように自前の生産工場(ファブ)を持たない開発ベンダーのために半導体チップを生産している。現在、この分野の大手は、TSMC(台湾積体電路製造:Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.)とUMC(聯華電子:United Microelectronics Corp.)という台湾の2社であり、米国ソロモン・スミス・バーニーでは、2003年の全ファウンドリ市場に占める割合は両社を合わせて63%、TSMC単独でも44%と見積もっている。

 米国IBMがファウンドリ事業拡大の動きを見せる現在、半導体製造受託ビジネスは変化の過程にあり、同業界は二層に分割される兆しを見せている。一方は、従来のチップ製造技術を使用してチップを量産する会社であり、他方は、最新のプロセスや材料を使用して高度なチップを製造できる会社である。

 ファウンドリ業界にこのような2極分化が生じている理由の一つは、最新世代のチップ製造技術に対応させたチップを設計するためのコストが増大していることだ、とファウンドリのビジネスモデルの生みの親とされるTSMC会長のモリス・チャン氏は言う。同氏によると、「チップ製造技術が次世代に移行するたびに、新規顧客の数は劇的に減少してきた」。そのため、チップ設計者は、最新プロセス技術に対応したチップを設計するために必要となる追加投資が、それに見合う利益をもたらすかどうかを問題にするようになったという。「従来とは競争ルールが違う。これは、明らかに業界リーダーが有利な状況だ」

 多数の最新のチップ製造技術の採用をリードしてきたIBMは、そうした業界リーダーの一つであり、ハイエンドのファウンドリ・ビジネスでTSMCと競合することが多くなりそうだ。一方、中国のファウンドリはローエンドの量産ビジネスを獲得しようと競うことになる、とチャン氏は述べている。

 米国ナショナル・セミコンダクターの上級副社長でアジア太平洋地域マネージング・ディレクター、マーチン・キッジェル氏は、「IBMはいつでも最高のチップ製造技術を手にしていた。それが前に進み出て、この市場でより大きな存在になりがっている。TSMCやUMCと競合することになるだろう」と語る。同社はTSMCにデジタル・プロセッサ製造を委託している。

 すでにIBMは、ハイエンドのファウンドリ・ビジネスに進出している。同社は先ごろ、ニューヨーク州イースト・フィッシュキルの工場でエヌビディアの次世代のGeForceグラフィックス・チップを製造する契約にサインした[3月26日発表]。TSMCの最重要顧客の一つであるエヌビディアがこの1億ドルを上回る規模とされる契約をIBMと結んだことは、TSMCにとっては危険信号だ。

 また、IBMは従来、クアルコムやザイリンクスとチップ製造受託契約を取り交わしてきた。ザイリンクスは、UMCの主要顧客の一つでもある。このほか、IBMは今年初め、アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)と、次世代プロセス技術を共同開発する契約を結んだ[1月8日発表]。それに伴って、AMDがUMCとの間の類似契約を解消したことから、AMDとUMCが共同出資でシンガポールに工場を建設する計画が予定通り進められるのかどうかにも疑問符が浮上している。

 高度なチップ製造技術を持つIBMがファウンドリ事業拡大に取り組むことが、TSMCとUMCにプレッシャーを与えるのは確かだ。しかし、キッジェル氏は、ファウンドリ市場における両社の優位をIBMがすぐさま脅かすことはありそうにないと見ている。

 「物事はそう単純ではない。われわれがみな期待しているのは、最もコスト効率高く量産できる製造業者だ。そして、あらゆる業界で言えることだが、製造技術がトップ・レベルの会社でも、量産メーカーとしてトップ・レベルとはかぎらない」とキッジェル氏。さらに、IBMは、チップ製造受託会社に通常求められているレベルまで、製造リードタイムを短縮し、柔軟性を向上させなければならない、と同氏は指摘する。「ファウンドリとしてのIBMは、発注に自由がきかず、あまり付き合いやすい相手ではなかった。従来、同社はリードタイムが長く、エンドユーザーの要望に合わせたスケジュール変更能力も乏しかった」

 一方、ローエンドのファウンドリ市場でも、台湾のファウンドリは課題に直面している。たとえば、TSMCとUMCが製造したチップを中国で販売するより、中国のファウンドリ(SMICやGSMCの上海子会社など)に製造委託した方が、最大30%コストが割安になる。だが、キッジェル氏によると、その一因は、輸入チップへの付加価値関税だ。TSMCは中国での市場シェア拡大を目指して、上海への工場建設を計画しており、昨年、台湾政庁に承認を申請した。それから8カ月目の現在も承認プロセスはまだ完了していない。

 だが、TSMCが指をくわえている間に、中国のライバルが中国国内ファウンドリ市場で圧倒的なリードを築く可能性は小さい、とキッジェル氏は見ている。製造委託元は、自社の将来を危うくするおそれがあるので、実績に乏しいファウンドリとの契約には慎重だ。そのため、「そうした新しいファウンドリが実績を積んで十分な信用を確立するまでには数年間かかるだろう」と同氏は語っている。

(IDG News Service)






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