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[米国]
デル、AMD製チップ搭載サーバを年内に投入──利益落ち込みようやく決断
(2006年05月19日)
米国デルは5月19日、ハイエンド向けの自社のマルチプロセッサ・サーバに、米国AMD製のチップ「Optron」を搭載し、年末までに投入すると発表した。同社は以前からAMD製チップを採用する意向を示していたが、具体的な提供時期を明らかにしたのはこれが初めて。
これまでインテル製チップのみを自社製品に搭載してきたデルが、AMD製チップの搭載を決断した背景には、利益水準の落ち込みがある。同社が同日発表した2007年度第1四半期(2-4月期)の1株当たり純利益は33セントで、今月8日に下方修正したとおりの数値となった(参考記事)。また、純利益は7億6,200万ドルとなり、前年同期の9億3,400万ドルを18%下回った。
一方、売上高は142億ドルで、前年同期比5.9%増となった。米国以外の地域の売上高は、前年同期比12%増と好調で、売上高全体の44%を占めるまでに成長した。伸びが目立った地域は、主に、中国(伸び率29%)、インド(同40%)、韓国(同54%)、ブラジル(同74%)となっている。
デルがAMD製チップを採用したねらいは、これらの地域で引き続き業績を伸ばすことにある。米国カレント・アナリシスのアナリスト、ニコル・ドノフリオ氏は、デルの今回の動きについて、「デルはAMDと協力関係を築くことで製品ラインを刷新しようとしている。業績の伸びが予想値を下回ってきたデルにとって、これは大きな戦略的動きと言える」と分析している。
| 米国デル CEO ケビン・ロリンズ氏 |
デルのCEO、ケビン・ロリンズ氏は今年1月、AMD製チップの搭載時期については未定と説明していた。しかし、今年3月に、インテルとAMDのチップを両方使用したゲーム用の高性能PCを製造する米国エイリアンウェアを買収したことが、今回の動きへの伏線となっていた。
今回のデルの決断は、新たなライバルと対峙することを意味している。AMD製チップを搭載したサーバを販売するようになれば、米国サン・マイクロシステムズの大規模企業向けサーバ「Galaxy」および中小規模企業向けサーバ「Sun Fire」と競合することになるからだ。
サンのシステムズ・グループ担当製品ライン・マーケティング・マネジャー、プラディープ・パーマー氏は、今回のデルの判断に対して、「決断するまでになぜこれほど時間を要したのかがわからない。われわれは3年前からAMD製チップのアーキテクチャのメリットを認識していた」と冷ややかだ。
また、デルの動きは、AMDとインテルの競合関係にも影響を与えそうだ。
現状では、デルとインテルの関係は順調なままだ。デルは年内に、インテルの新型チップ・ファミリー「Core 3 Duo」を搭載したPCのリリースを計画している。また、ノート型には「Merom」、デスクトップとワークステーションには「Conroe」(ともに開発コード名)を採用する計画を明らかにしている。
ただし、デルが今後、AMDとの協力関係をさらに拡大し、AMDベースのノート型PCやデスクトップPCを製造するという可能性もある。デルは世界のPC市場のシェア(2006年第1四半期、米国IDC調べ)で、2位のHP(16.4%)に追い上げられているとは言え、依然トップシェア(18.1%)を維持しているため、もしそういうことになれば、インテルにとっては手痛い打撃になる。
すでに株式市場はデルの発表に敏感な反応を示している。同社の株価は、時間外取引で19日の終値比4.34%上昇。AMDも同12.44%上昇した。これとは対照的にインテルの株価は4.99%下落した。
なお、ロリンズ氏は5月19日、2007年度第1四半期の決算発表に併せて開催した投資家向けのコンファレンス・コールの席上で、「売上高と収益を同時に伸ばそうとしてトラブルに陥り、競合他社につけ込まれたことが、予想を下回る業績になった原因」との見方を示した。
同氏は、「決算の見通しを立てたときと比べて、競合環境が厳しくなっている。この業界では、短期的に大きな変化が起きているうえ、長期的な再編の動きも進んでいる」と説明した。
こうした変化を受けて、同社は今後、1億ドルを投じて販売スタッフとサポート・スタッフを2,000人増員し、米国ではオクラホマシティとナッシュビル、米国外ではオタワ(カナダ)とマニラ(フィリピン)にコールセンターを開設あるいは拡充し、顧客サービス体制を改善していくとしている。
(ベン・エイムス/IDG News Serviceボストン支局)



