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[スイス]
CERN研究所、大規模グリッドをヒッグス粒子の捕捉に活用

(2006年12月26日)

 現在、スイスにあるCERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)研究所において、ヒッグス粒子の発見につながると期待されている最新の粒子加速器の稼働準備が進められている。同研究所の計画では、世界規模のコンピューティング・グリッドを利用して、実験結果のふるい分けを行う予定だ。

 このプロジェクトを支援しているシカゴ大学とインディアナ大学が12月21日に発表した声明によると、このコンピューティング・グリッドは、世界35カ国にある158の機関に設置されているストレージ・リソースとプロセッシング・リソースを組み合わせたもので、いつでも利用できる状態だという。すでに研究者たちは、このコンピューティング・グリッドに属する米国のミッドウエスト・ティア2センター(MWT2)において、マシンの稼働実験を開始している。

 CERN研究所の物理学者たちが目指しているのは、理論上はあらゆる事象における質量の原因になっているとされながら、まだ存在が確認されていないヒッグス粒子の証拠を見つけることだ。彼らはまた、超次元への入り口の役割を果たす超対称粒子も発見できるのではないかと期待している。

 物理学者たちの計画では、ATLAS(環状大規模ハドロン加速装置)と総称される4つの粒子検知装置を用いて、世界最大のLHC(ハドロン加速器)を監視することになっている。この加速器は、外周27キロメ−トルの地下円環に沿って陽子ビームを曲げることにより、粒子の衝突を毎秒4,000万回発生させることができるとされている。陽子の間では、1回の衝突で23回の相互作用が生じるが、そのうちの1つが理論上存在するとされるボソン粒子の証拠になると考えられている。

 このプロジェクトに参加しているシカゴ大学の物理学教授、ジェームズ・ピルチャー氏は、「たとえ証拠が見つからなかったとしても、成果が得られないわけではない。何か驚くようなことが起こるのではないか」と期待に胸を膨らませている。

 しかし、科学的な成果を得るには、コンピュータによるデータ処理を辛抱強く待つ必要がある。だが、データを1回記録するだけでも、実験結果のふるい分けとソートを数年間続けなければならない。インディアナ大学の上級研究員であるフレデリック・ルーリング氏によれば、科学的な成果を引き出すには強力なコンピューティング・パワーも必要だという。

 ルーリング氏とピルチャー氏は、必要となるコンピューティング・パワーを得るのにOSG(Open Science Grid)の協力を仰いでいる。OSGは、全米科学財団と米国エネルギー省の資金援助を受け、2004年に設立されたコンピューティング・グリッドのコンソーシアムだ。

 個々のATLAS機器から得られた膨大な量のデータは、まずティア0と呼ばれるCERNのメイン・コンピューティング・ハブに流れ込み、その後は世界11カ所にあるティア1センターに送られる。これらのセンターの1つがニューヨーク州のブルックヘブン国立研究所で、データはここから米国内にある4つのティア2センター(MWT2を含む)に振り分けられる。

 また、MWT2も1カ所にまとまっているわけではなく、シカゴとインディアナポリスにある複数の施設にサーバが散在している。シカゴ大学とインディアナ大学のサイトでも、16台のサーバで構成されるクラスタを運用している。

 シカゴ大学の広報担当者であるスティーブ・コップス氏によると、各サイトのマシンは2個のAMD製デュアルコア・プロセッサから構成され、データ保存用のストレージとして2.5TBのシリアルATAハードディスクを備えているという。また、来年1月にはシステム能力を拡張する予定で、プロセッサの増強と高速WANのサポートが実施されることになっている。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)






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