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ブレード・サーバ導入の機は熟したか
将来展望と企業ユーザーの導入メリットから考察する
(2007年05月15日)
第3世代(2004年〜2005年)
2004年に入ると、製品の種類が増えるとともに、管理性やI/O性能の向上などが図られることとなった。同年、日立は統合サービス・プラットフォームというコンセプトに基づく「BladeSymphony」の出荷を開始した。この製品ではCPUとして、インテルのPentium/Xeonに加え、Itanium 2、AMDのOpteron、IBMのPOWER5がサポートされた。また、IBMは「BladeCenter」を発表し、翌年にはブレード・サーバの開発コミュニティ「Blade.org」を発表するなど、ブレード・サーバのオープン化を進めた。
2005年には用途の多様化が進んだ。ベンダー各社はクライアント環境を一元化できるブレードPCを発表し、企業でセキュリティ対策が強化されるなか、シン・クライアント・ソリューションの1つとして注目を集めた。また、仮想化技術が注目され始めたことから、ブレード・サーバに仮想化ソフトウェア「VMware」を組み合わせて、サーバを仮想化・統合化する製品の販売が活発化した。
第4世代(2006年〜)
2006年に入ると、標準化が進み運用管理機能が改善されるとともに、サーバ単体ではなく、ネットワークやストレージなどを統合したシステムとして販売されるようになった。
まずは同年2月、IBMが2005年に発表した製品戦略「IBM Systems Agenda」に基づく製品としてBladeCenterの販売を開始。同製品の特徴は、システム全体のパフォーマンス強化を図ることを目的としている点だ。また、同年9月には、Cell BE(Broadband Engine)プロセッサを搭載するブレード・サーバ「BladeCenter QS20」が出荷された。
6月には、HPが3世代目のBladeSystemを発表。同製品も「サーバのみならずシステム全体を統合するプラットフォーム」と定義づけられ、システムとしてのブレードの考え方が明確にされた。そのほか、省電力や放熱対策が強化されている点も同製品の特徴である。
また、富士通も同月に「TRIOLE BladeServer」を発表した。同製品は、事前に検証されたハードウェア(ブレード・サーバ、ストレージ、ネットワーク)、ソフトウェア(シン・クライアント・ソフト、仮想化ソフト、管理ソフト)、サービスを一体化した形で提供される。
次いで7月には、NECが次世代ITプラットフォーム・ビジョン「Real IT Platform」の中核製品という位置づけの下、ブレード・システム「SIGMABLADE」を発表。同製品もまた、他社製品と同様にサーバ、ネットワーク、ストレージを統合することができる。
このように、サーバ・ベンダーは相次いでブレード・サーバの製品戦略を強化しており、2007年も引き続き、激しい競争が展開されることになろう。
ブレード・サーバが進化を続ける理由
| 図3:ブレード・サーバが進化を続ける理由
*資料:ガートナー(2006年11月) |
以上で、登場以来、ブレード・サーバが着実に進化を続けていることをおわかりいただけただろう。だが、こうした傾向はタワー型やラックマウント型のサーバでは見られなかった。ではなぜ、ブレード・サーバだけがこうした進化を見せているのだろうか。
これには複数の要因が絡み合っている。基本的に、製品の進化はテクノロジーの進化を前提としており、また、テクノロジーの進化の背景にはこれを推進するベンダーなどのプレーヤーが存在する。一方、ITバブルが崩壊して以来、企業は従来のテクノロジー・ドリブン、すなわち、ビジネス変革といった本来の目的とは関係なしに新しいテクノロジーを導入するというアプローチに、価値を認めなくなった。そのため、ベンダーはテクノロジーが企業に与える価値を探りつつ、企業と対話を重ねる形で、テクノロジーの方向性を調整するようになってきている。ブレード・サーバの進化は、正にこうしたベンダーによるコンセプトやテクノロジーと企業が抱えるビジネス要件との調整の賜物だと考えられる(図3)。
| 図4:ガートナーが提唱する「次世代インフラストラクチャ」のビジョン
*資料:ガートナー(2006年11月) |
また、ITバブルの崩壊以降、ITの新たな方向性が見えてきた。それはサービス指向とシステム指向である。サービス指向とは、どのようなアプリケーションを導入して稼働させるかではなく、どのようなサービスを提供するかに主眼を置いたアプローチであり、また、システム指向とは、個別の要素技術よりもどのようなシステムを構築するかに主眼を置いてインフラを構築しようというアプローチである。こうしたアプローチとネットワークの進化とが相まって、サービス指向のシステムやサービスの提供が可能な「次世代インフラストラクチャ」が生まれつつある(図4)。つまり、ブレード・サーバの延長線上にも、ゴールとして、次世代型ITインフラというものが存在するのだ。
また、均一化が進んでいるサーバ分野において、ブレード・サーバは、サーバ・ベンダーが唯一、戦略性を発揮できる製品でもある。なぜなら、ブレード・サーバは図3に示したユーザーが抱えるビジネス要件を満たすことができるからだ。
こうした背景から、ベンダー各社はブレード・サーバに注力しているわけである。なかでも、HPとIBMは、次世代型ITインフラストラクチャを目指してブレード・サーバの開発に取り組むという姿勢を明確に打ち出している。
以上のようなベンダーの思惑と企業が抱えるビジネス要件との調整から生まれるテクノロジーの進化が、ブレード・サーバの勢いを支えている。この勢いはITの本質と方向性に起因しているものであるため、これから急速に低下することはまずない。逆に、ユーザーの視点や思考がさらに高度になり、ITの新たな方向性/アプローチに対する理解が進めば、ブレード・サーバに対する期待は、間違いなく今まで以上に高まるであろう。



