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ストレージ革命

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エンタープライズ・レベルに達したiSCSI

急速に普及するiSCSI-SAN。その技術の成熟度を測る

(2007年06月25日)

基幹系システムに接続するストレージとして、堅牢だが高価なFC-SAN(Fibre Channel-Storage Area Network)ではなく、安価で導入が容易なiSCSI(Internet Small Computer System Interface)ベースのSANストレージを選択する企業が確実に増えている。もっともiSCSI-SANは今すぐFC-SANに取って代わるものではないが、その導入コストの低さは、小・中規模企業にとっては大きな魅力となっている。本稿では、FC-SANとiSCSIというストレージ技術の違いや、iSCSIを導入する際にITマネジャーが気をつけるべきポイントなどを明らかにしたい。

マーク・レオン
InfoWorld米国版

高まる「iSCSI-SAN」への関心

 米国の大手エンジニアリング会社カーチス=ライト・フロー・コントロールの一部門であるデルタバルブのITマネジャー、クリス・ブラウン氏は、2005年の中ごろ、社内データセンターのストレージ容量が不足気味になってきたことを受けてSAN(Storage Area Networks)の導入を決定した。しかし、ブラウン氏は、ファイバ・チャネル(FC)技術をベースとしたSANを採用する考えはほとんどなかったという。「私には2人の部下がいるが、この少人数でFC-SANを運用管理することは事実上不可能だった」と、同氏はその理由を説明する。

 FC-SANの代わりにブラウン氏が選んだのは、利便性とコスト・パフォーマンスにすぐれるiSCSI(Internet Small Computer System Interface)ベースのSANストレージ・システムであった。250GBのディスクを4台搭載したレフトハンド・ネットワークス製iSCSI対応ストレージ・アレイ「NSM 150」が5台、合計5TBのストレージ・クラスタとして構成された同システムは、FC-SANと異なり、クラスタの運用管理にあたって特別なスキルを習得する必要はほとんどなかったという。

 iSCSIのメリットは、以前から言われているように、FC-SANに比べてシンプルで低コストであることだ。FC-SANを導入するにあたっては高価なHBA(Host Bus Adapter)を購入し、ドライバをインストールするといった煩雑な作業を行わなければならないが、iSCSI-SANに必要なのは、ギガビットEthernet NIC(Network Interface Card)だけである。また、IPベースなのでプロトコルについての特別なトレーニングも不要で、基本的なネットワーク・スキルさえあれば追加で多少の知識を習得するだけでよい。さらにiSCSI-SANでは、データ・レプリケーションやディザスタ・リカバリを行うための障害も少ない。特に遠隔地の拠点間でこれらを行う場合、iSCSIは大きな効果を発揮する。速度が問題になるなら、多少高コストになるが、10ギガビットEthernet(10GbE)を使用するという選択肢もある。


図1:2006〜2010年の世界ディスク・ストレージ・システム市場シェア予測(2006年11月時点)

 調査会社バートン・グループのリサーチ・ディレクター、ドルー・リーブス氏は、レフトハンド、データコア、ファルコンストアなどのベンダーが提供するiSCSI-SAN製品を「ソフトウェア・ターゲット」と呼んでいる。同氏は、「これらのベンダーが提供する製品は、標準的なハードウェアで動作するため比較的安価だ。しかも、クラスタ化してストレージを仮想化することで、LUN(論理ユニット)を別のターゲットに透過的にフェールオーバできるなど、機能面も充実している」と指摘する。

 Windows Server 2003がイニシエータ機能を搭載したことが、iSCSIがある程度普及するきっかけになったことは確かだが、その後のiSCSIの方向性は今一つ定まっていなかった。SAN市場の主流は依然としてFC-SANであったし、iSCSIターゲットがマイクロソフトから提供されたのも昨年になってからのことである。

 しかし昨秋、仮想化ソフトウェアとして人気の高い「VMware Infrastructure」にiSCSIのサポートが追加されたことで、iSCSI-SANは俄然注目を集めるようになった。仮想化の効果を最大限に引き出すにはSANの構築が不可欠だが、今やFC技術なしでそれが可能になったのである。

「サーバ仮想化」との組み合わせで普及が加速

 テクノロジーの探究に余念がないデルタバルブのブラウン氏は、新たに構築したSANの性能の高さにすぐに気づき、その後、SQL ServerからNavision、SharePoint、Exchange Server、そしてPLM(製品ライフサイクル管理)システムに利用しているOracleデータベースに至るまで、すべてのシステムのストレージをSANに移行した。

 またブラウン氏は、持ち前の好奇心から仮想化にも強い興味を示し、SANを稼働させてから3カ月後にはVMwareも導入した。ブラウン氏は、「SANによるストレージの仮想化と、VMwareによるサーバの仮想化という2つの仮想化をうまく連携させることができた」と満足げだ。

 導入したホストVMwareサーバは2台(いずれもクアッドコアのOpteronを搭載した自作サーバ)で、各ホスト上で8つの仮想サーバを動かしている。同氏によると、この構成の利点は、一方のホストがダウンしたとしても、残りのホストを使用して、ダウンしたホストのボリュームをわずか数分ほどでマウントし、復帰させることができる点にあるという。

 米国インディアナ州インディアナポリス郊外の町、フィッシャーズのIT担当ディレクター、セイン・モーガン氏もブラウン氏と同様、レフトハンドのiSCSI製品の購入を検討していたが、プラットフォームとなるハードウェアをベンダー(レフトハンド)によって限定されることを懸念していた。そこで同氏は、ハードウェアに制約のないデータコアのストレージ仮想化ソフトウェア「SANMelody」を選択した。具体的には、新しいアプリケーション・サーバとして、デルのデュアルコアXeon搭載サーバ「PowerEdge 1950」2台を約6万ドルで購入し、以前から使用していたサーバのうち最も性能の高い2台にSANMelodyをインストールしてSANを構築した。

 SANMelodyサーバにはSATAドライブ・ケージを接続し、ストレージは合計6TBとした。モーガン氏は、「データコアから購入したライセンスは16TB分だったが、レフトハンド製品を選んでいたら、同じ予算で4TBのノード2台分のライセンスしか購入できず、2台のアプリケーション・サーバを新たに購入することもできなかった」と語る。

 モーガン氏がハードウェアとソフトウェアを購入して試験運用を行ったのは2006年の夏であった。そのため、VMwareにiSCSIのサポートが追加された9月には、仮想化されたサーバからiSCSI-SANを利用する準備がすでに整っていた。12月にはサーバ仮想化とiSCSI-SANの導入を完了し、現在では、「ハードウェアにまったく依存しないサーバ環境を実現できている」(モーガン氏)という。

 モーガン氏は、サーバ仮想化とSANを組み合わせることによって得られる効果に大きな感銘を受けている。「サーバ仮想化だけでもサーバのバックアップや、他のマシンへのリストアといった作業が容易になるが、iSCSI-SANを組み合わせれば、同じ作業をより迅速に、しかもサービスを中断することなく行えるようになる」(同氏)

 コンサルティング会社エマージェント・ネットワークスの社長、ジェイミー・アンダーソン氏は、「iSCSIとサーバ仮想化の組み合わせは、共有ストレージの導入に乗り気でない顧客をも納得させる魅力を備えている」と指摘する。

 同氏は、最近コンサルティングを行ったミネソタ州サベージにある小銀行を引き合いに出して、次のように語る。「創業したばかりの同行では、iSCSIベースでなければSAN構築を検討することもなかっただろうが、最終的にはEMCのストレージを1台、仮想サーバ・ホストを2台導入した。データ量は今のところ800GB程度だが、成長途上にある銀行なので、今後増加していくと考えられるし、FC-SANと違ってEthernet以外に新しい知識を習得する必要はほとんどなく、運用管理の負担も低く抑えられる」

 また、同氏がコンサルティングを手がけた映像機器メーカー、チーフ・マニュファクチャリングの事例でも、仮想化がiSCSI-SANを導入する理由の1つになったという。「これは1年半ほど前の事例だが、このときにはExchange ServerとSQL Serverのローカル・ドライブをマウントするのにiSCSIを使用した」とアンダーソン氏。


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