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【インタビュー】
ラリタン会長兼CEOシュウ氏に聞く「KVMスイッチの現在」
顧客ニーズを反映した機能追加のほか、サーバ仮想化に向けた検証も進行中
(2007年08月07日)
米国ラリタンは、KVMスイッチの開発を手がけるベンダーである(日本法人は日本ラリタン・コンピュータ)。遠隔地のデータセンター運用管理を支援するためのKVMスイッチは現在、セキュリティ確保の仕組みとしても注目されているという。本稿では、同社会長兼CEO(最高経営責任者)のチンイ・シュウ氏に、KVM市場の現状や同社のビジネス、新製品などについて話を聞いた。
大川 泰
Computerworld編集部
――最初に、ラリタンが手がけるKVMスイッチのビジネスについて紹介してほしい。
シュウ氏:ラリタンでは、KVMスイッチをビジネスの基礎に置いている。だが、その開発/販売は、当社の一面にすぎない。われわれのビジネスにおけるテーマは、データセンターの管理者が抱えている課題に対して解決策を提供するということだ。
| 米国ラリタン 会長 兼 CEO チンイ・シュウ氏 |
今日のデータセンター管理上の課題には、大きく3つあると考えている。まず、いかにして遠隔地からのサーバ操作を可能にするかということ。次に、膨大な台数に上るサーバやネットワーク機器をどのように管理していくかということ。そして、世界中に点在する分散データセンターの管理をどのにように行っていくのかということ。これらの解決を目指しているのが、当社のビジネスである。
――最近のKVMスイッチ市場で特に目立った動きとしては、どのようなものが挙げられるのだろうか。
シュウ氏:現在、KVMスイッチとしては2種類の製品が市場に出回っている。1つがデジタルKVMスイッチ、もう1つがアナログのものだ。この市場における最近の顕著な動きと言えば、デジタルの出荷台数が伸びる一方でアナログが減っているということだろう。グローバルで見ると、アナログの出荷台数は1年で10%程度の縮小が見られ、デジタルは年20%程度伸びている。
――それでは、日本国内のKVMスイッチ市場は、どのような状況にあるのか。
シュウ氏:これは、KVMスイッチ市場が成熟段階に至っていない国や地域で見られる傾向だが、市場規模が欧米に比べて小さい。欧米のデータセンターでは約80%のサーバがKVMスイッチで接続されているが、日本の場合は4割にも満たない。なぜ、そのような状況なのか――その理由を厳密に調査したわけではないが、私自身の考えを披露したいと思う。
日本では、Windowsサーバの採用が欧米に比べて4〜5年ほど遅れていると思う。コマンド・ベースの運用が基本であるUNIXベースのサーバが多いことから、KVMスイッチが提供するGUIコンソールには大きなニーズが生まれていないのだ。実際にわれわれの顧客のほとんどは、Windowsサーバの運用のためにKVMスイッチを利用している。
昔の話になるが、DOSからWindowsというOSの進化を考えると、日本特有の事情が見受けられる。1980年代後半から90年代初頭にかけて、日本では一般的なDOS/Vマシンではなく、NECのPC-9800シリーズに人気が集まっていた。Windowsサーバへの移行が遅れた背景には、このような要因もあるのではないだろうか。
――サーバの運用管理の話題になると、現在、サーバ仮想化が最注目トピックの1つだ。KVMスイッチは、サーバ仮想化と何らかのかかわりがあるのだろうか。
シュウ氏:まだ、将来を見据えた研究開発の段階だが、あるCPUメーカーと共同で、ハイパーバイザーに関連した技術の検証を行っている。なぜ、CPUメーカーとの協力が必要なのか――その理由は、今日のKVMスイッチのトレンドとかかわってくる。
KVMスイッチと言うと、多くの方は外付け型のハードウェアを思い浮かべるだろうが、現在はリモート・コントロールのために必要な機能を1つのASICにまとめたKVM over IPチップをサーバ・マシンに搭載するというのが1つのトレンドだ。仮想化に関するCPUベンダーとの仮想化共同検証は、このKVM over IPチップに関連して行っているわけだ。
――ラリタンは6月に「Dominion KX II」を発表した。この新製品の特徴について教えてほしい。
シュウ氏:Dominion KX IIの強化ポイントのうち、特に重要なものは3点ある。まずは、マウスの同機性能が向上したこと。次に、ビデオ信号の解像度が大幅に向上し、1,200×1,600ピクセルまでの表示に対応したこと。そして、新たにバーチャル・メディア機能を搭載したことである。
KVMスイッチのコンソール側には、キーボード/マウス接続のためにUSBポートが備わっている。バーチャル・メディア機能とは、そこに装着したUSBメモリーなどの記憶メディアを、リモート・サーバ側に直接接続されたメディアとして認識させるというものだ。
――バーチャル・メディア機能は、どのような用途を想定したものなのか。
シュウ氏:セキュリティ・パッチの適用など、リモート・サーバにデータを送信するときの利用を想定している。セキュリティ・パッチなどは通常、ネットワークを経由してリモート・サーバにダウンロードすることになるが、その際には当然、何らかのセキュリティ対策が必要になる。
バーチャル・メディア機能は、より安全にデータをリモート・サーバに送りたいという顧客ニーズを反映して追加したものだ。通常のネットワークからは切り離されたKVMスイッチ用ネットワークを通してデータを送信する形になるため、従来とは別次元のセキュリティ対策が可能となり、より安全にデータを送ることができるのだ。
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