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[米国]
UWB標準に2つの壁

(2005年05月18日)

 対立する2つの陣営の間の膠着状態が、UWB(Ultra Wideband: 超広帯域)短距離無線通信技術のIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers) 規格を確立しようとする取り組みの進展を阻みそうだ。UWBチップセットを開発している米アルレオンのCTO(最高技術責任者)ジム・ランスフォード氏によると、2種類の技術をめぐってIEEEの作業部会での話し合いは膠着状態に陥っており、早期解決は難しそうだという。

 一方の技術を推している「WiMedia Alliance」 には、アルレオンのほか、マイクロソフト、インテル、テキサス・インスツルメンツ、ヒューレット・パッカード(HP)、ノキア、ソニーなどが加わっている(注:以前の「WiMedia Alliance」と「Multi-Band OFDM Alliance (MBOA)SIG」の2つが今年3月に合併した)。他方の技術を推している「UWB Forum」には、フリースケール・セミコンダクター、モトローラなどが加わっている。

 ランスフォード氏は電話インタビューで、「妥協点を見出せそうにもないため、両陣営ともシリコンチップを開発して前進している」と語った。その結果として、どちらの陣営も自分たちの製品にこの開発段階で変更を加えるのにはコストや時間が「法外に」かかりすぎるという。それは、こうしたUWBベースの製品が少量だが年内に市場に出され始めたとき、ユーザーが2種類の非互換的な技術のどちらかをサポートした製品を選択しなければならないことを意味している。

 ランスフォード氏によると、標準化プロセスの膠着状態は、どちらが優れた技術かではなく、どちらの陣営がその技術をIEEE規格として採用させるだけの政治的な力を持つか、に関係しているという。「われわれはこの厄介な状況を作り出してしまい、市場に判断を仰ぐしかないようだ。皆があまりにも[自社の製品計画に]捉われており、良い妥協案があるようには思えない」と同氏は語っている。

 標準化の話し合いの中で浮上してきたアイディアのひとつは、2つの競合技術を1つのチップセットに組み込めないかというものだ。しかし、それではチップのコストが大きく上昇する。両技術があまりにも異なっているので、それらを組み合わせて1つのシリコンチップに実装するには、チップサイズを倍にしなければならず、「そうすべき経済的理由はない」とランスフォード氏は言う。

 標準化プロセスの行き詰まりの解決方法が見当たらない状況下で、アルレオンや他のメーカーは、マイクロソフトやインテルを含む比較的多数の業界大手企業がWiMedia Alliance陣営にいることから、ユーザーが同グループの技術の採用を選ぶことに賭けている。

 「最後には、ベンダーは顧客が買いたがる物を製造しなければならなくなる」とランスフォード氏。実は、アルレオンは当初、UWB Forumが推しているものに似た別の技術を支持していたが、その後、WiMedia Allianceの技術に乗り換えたという。

 話し合いが膠着状態に陥る一方、製品は年内に出荷され始めるが、UWB標準を確立するための時間は残り少ない。この作業部会の活動期間は来年までであり、それまでに標準について何の決定も下されなければ、自動的に解散されるという。「もしもこの部会が決定に至らなければ、時間切れになる」(ランスフォード氏)

 一方、UWBに焦点を合わせたIEEE作業部会の議長を務めているボブ・ヘイル氏は、この高速ネットワーキング技術の規格に欧州や日本などで米国のFCCよりも厳しい制限が適用されれば、UWBの強みが損なわれて将来が危ぶまれるとの懸念を表明した。

 欧州や日本では米国のFCCよりも厳しい制限をUWB技術に適用しそうであり、その場合、改良され続けているWi-Fi 無線LAN規格に取って代わるのに十分なだけの高いパフォーマンスが同技術で得られなくなるおそれがある。ヘイル氏は、フランスで5月10〜13日に開催された、ZigBeeセンサー・プロトコル(家電向けの短距離無線通信規格)に関するコンファレンスでそう指摘した。

[ヘイル氏は、アペラレント・テクノロジーズのCTO(最高技術責任者)で、WPAN(無線パーソナル・エリア・ネットワーク)に関するIEEE 802.15ワーキング・グループの議長と、同ワーキング・グループ内のUWB標準化に焦点を合わせたIEEE 802.15a タスク・グループの議長を務めており、ZigBee Allianceの会長でもある。]

 規制が厳しいと、UWBが利用できる周波数帯が狭くなり、速度やレンジが縮小する。そうなれば、Wi-Fiの高速版規格との競争がより難しくなる。2年後には、理論上の限界速度が110M〜200Mビット/秒の「802.11n」が確立される。その実効速度は45Mビット/秒程度だろう、とヘイル氏は言う。UWBのスループットは短距離で480Mビット/秒になるはずだが、距離にしたがって低下し、特に、規制によって使用可能な周波数帯が限定された場合には大きく下がる。「部屋の反対側に行くまでに、データ・レートは802.11nとさほど変わらなくなるだろう」と同氏は述べた。

 同氏は、通信事業者がしだいにUWBを受け入れるようになるだろう、という英国の放送通信規制機関Ofcomの楽観論には組していない。「通信事業者は、自分たちの周波数帯に別の誰かを受け入れることはまったく望んでいない」

 同氏はさらに、Bluetoothと連携することでUWBは規制当局の許可を得やすくなるのではないかとのTechworldの示唆 にも、同意しなかった。「Bluetoothが電話会社にUWBを認めさせるか? そうは思わない。だが、Bluetoothにとっては、それはなかなか良いマーケティング・アプローチだ」

 ヘイル氏は、IEEE内でのUWB規格をめぐる論争の行き詰まりよりも、規制のほうが大きな問題になると捉えている。ただし、同氏の口ぶりは、この論争にうんざりしているというようすであり、「私は、議長というよりも、レフリーを務めているように感じる」と語った。

 UWBベンダーらは、ヘイル氏の意見に賛成しなかった。たとえば、米パルス〜リンク のCEO(最高経営責任者)、ブルース・ワトキンズ氏は「低い周波数が削られたら、私ならばもっと高い周波数を使う。8GHzでも、4GHzと同じスループットを実現できる」と述べた。同社は、現在提案されている480Mビット/秒よりもはるかに高い通信速度の実現を約束しているベンダーで、最近、UWB Forumのメンバーになった。

 ただし、ワトキンズ氏は、より高い周波数では電波吸収率も大きくなるので、実効レンジ(そしてそのレンジでのスループット)が下がることを認め、「当社は同じスループットを実現できるが、機能性が限られるだろう」と語った。ワトキンズ氏によると、高品位TVのストリーミングに耐えられるだけの通信速度が期待できるのはUWBだけだ。

 「802.11nには、私のビジネスモデルに抵触するようなところはない。また、802.11nには、[UWB Forumと競合している]Wimedia Allianceのビジネスモデルを実際に無効にするような力もないと思う」(ワトキンズ氏)

 ワトキンズ氏は、来週の国際電気通信連合(ITU)のUWB部会のミーティングが事態の打開に役立つのではないかと期待している。「現在の状況は、われわれが望んでいる状況ではない。だが、[通信事業者からの]提案提出は6〜9カ月前から落ち着いてきた。その状況はまだ適切とはいえないが、以前より良い傾向であり、悪い傾向ではない」と同氏は語っている。

(IDG News Service/Techworld (UK) )






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