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[米国]
ビデオ市場への本格参入を目指すシスコの野望──「ブロードバンド・ルータ」へと進化するSTB

(2005年11月28日)

 米国シスコシステムズはこれまで、ビデオ市場に大きな野心は示してこなかった。しかし、同社がセットトップ・ボックス(STB)大手の米国サイエンティフィック・アトランタ(SA)を69億ドルで買収することに踏み切ったことは、その状況が一変することを意味する。今回の買収は、シスコにとって最大規模の投資であり、これまで同社がほとんど影響力を持たなかったビデオ市場で、たちまち主導権を握ることになるからだ。

 シスコは過去10年、1998年のプリセプト・ソフトウェア買収(これにより、アントレプレナーであるジュディ・エストリン氏がシスコに加わった)を含む小規模な買収を数件行ってきたが、そうした動きは市場にもシスコの業績にもほとんど影響を与えるものではなかった。

 米国ヤンキー・グループによると、今年のエンタープライズ・ビデオ市場の規模は10億ドル弱であり、2003年の約7億5,000万ドルを33%上回っている。しかし、シスコはこれまでそのシェア争いに加わってこなかった。ヤンキー・グループのゼウス・ケラバラ氏は、「私がビデオ・ベンダー上位5社を挙げたとしても、シスコは含まれないだろう。同社は確かにビデオ・インフラをいくつか販売し、それらは優れた製品だが、シスコは過去数年間、ビデオよりも音声分野に力を入れていた」と分析する。

 米国IDCのアナリスト、アブナー・ジャーマノー氏も、「シスコのこの分野でのビジネスは順調に推移しているが、同社にとって大きなビジネスとは言えない。しかし、ビデオ市場は大きな可能性を秘めている」と語っている。

 米国インスタットのプリンシパル・アナリスト、ジェリー・カウフォールド氏は、過去のシスコのエンタープライズ・ビデオ関連分野に対する取り組みは、成長著しい市場での主導的地位の確保をねらったものととらえるには十分ではなく、潜在的な市場にとりあえず手を付けておくという意味合いが強かったと見ている。「エンタープライズ・ビデオは、今ようやく関心を集めるようになってきた。シスコはビデオ市場がいずれ花開くと、以前から予測していたに違いない」(同氏)

 シスコがビデオ市場で大きな役割を担うようになったのは、2年前にIPTVが消費者向け市場で嵐を巻き起こしてからだ。ケーブル(CATV)会社や電気通信会社は、一般家庭にビデオを配信するためにスイッチドEthernetを使用し、加入者のプロファイルと提供サービスを管理するためにサービス専用のエッジ・ルータを利用した。かくして、世界最大のEthernetスイッチとIPルータのベンダーであるシスコに、ビデオ関連の商談が回ってきたのである。

 ビデオ分野に弾みが付きはじめた時期については、シスコもIPTVの普及が始まってからだと認めている。しかし、それは2年前ではなく3〜5年前からだという。「確かに、ビデオ市場が動き始めたのはここ3年ほどのことだが、業界ではそれ以前からIPTVを意識し、それについて話していた。当社はビデオ技術の開発にずっと以前から取り組んできたが、IPTVに関しては多分5年ほど前からだと思う」とシスコのService Exchangeフレームワーク担当ディレクター、ピーター・クラーク氏は振り返る。

 シスコによると、現在、1,000万を超えるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの利用者がシスコ製のネットワークでサービスを受けている。

 IDCのジャーマノー氏は、「シスコは、ケーブルTV市場でかなりの商談を獲得し、ケーブルTV会社のために中核ネットワークを構築している。彼らによる大規模なデータ・ネットワークの増築は、データ・ネットワーキング業界に新しい市場を提供してきた」と指摘する。

 電気通信企業が、IPスイッチド・ビデオとインタラクティブVODサービスのために光ファイバ回線を家庭の近くまで敷設しようと数十億ドルの資金を投じ、ケーブルTV各社も、それに対抗して優位を維持すべくインフラ増強に努めてきた。そうした状況の中で、一般家庭に設置されるSTBをシスコが支配しようとするのは自然な流れと言えるだろう。STBは今後、ホーム・ネットワーク内でデジタル・エンターテインメントを制御する「ブロードバンド・ルータ」へと進化していくと予想されている。

 今や、シスコが年間10億ドルを投じている先端技術開発の取り組みの一角をビデオが占め、ビデオ技術はシスコの今後の成長のための重要な原動力になろうとしている。シスコのCEO、ジョン・チェンバーズ氏は、11月18日にSAの買収計画を発表した際に、「ビデオは、当社の戦略の重要な要素であり、コア・コンピテンシー(中核技術)になるはずだ」と明言した。

 一方、「エンタープライズ市場の拡大にも、ビデオが大きな役割を果たすことになりそうだ」と業界アナリストたちは指摘する。ビデオを扱うには大きな帯域幅が必要とされるので、企業が従業員向けのビデオ・アプリケーションを必要とすれば、大幅なネットワーク・アップグレードを検討する可能性が高いからである。

(Originally reported by Jim Duffy, Newtork World 11/23/2005)

(Network World (US))






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