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[米国]
「VoIPはコスト削減につながらない」
──アバイアのCEOがVoiceConの基調講演で明言

(2006年03月08日)

米国アバイアのCEO、ドン・ピーターソン氏

 米国アバイアのCEOドン・ピーターソン氏は3月8日、フロリダ州オーランドで開催されている「VoiceCon Spring 2006」コンファレンス(3月6日〜9日)に参加したIT管理者を前に、通信コストの削減を期待してIP電話を導入すべきではないと断言し、聴衆を驚かせた。同氏は、IP電話は営業活動を向上させる手段としてとらえる必要があると強調した。

 ピーターソン氏が、約5,000人の参加者のほとんどが集まった基調講演で行ったスピーチは、他の企業関係者のプレゼンテーションとはまったく対照的なものとなった。講演者の多くは、IPをベースとした新たなネットワーク/電話/アプリケーションの採用を順調に進めている企業であり、ほとんどが費用を節約できたと発表していたからだ。

 そうした中で、ピーターソン氏は、「IP電話がコスト削減をもたらすとは考えていない。IP電話の真の価値は、経費節減効果ではなく、ビジネス変革を支援することにある」とスピーチで力説した。

 講演後、発言に関するピーターソン氏のコメントは得られなかったが、アバイアで戦略的マーケティング担当副社長を務めるジョージ・ブランコ氏は、近年の個別調査や消費者アンケートを見ると、早くからうたわれてきたVoIPのコスト削減効果を疑う声が聞かれるようになってきていると説明する。「導入事例が増えてくれば、投資利益率の問題はさらに明らかになるだろう」

 IP電話の価値について、一部のIT管理者は、コストを削減するという特性を備えていなければ、企業経営陣がVoIP導入計画を承認することは決してないだろうと見ている。その一方で、ビジネス上の価値はきわめて大きく、金銭という尺度では測れないと主張するIT管理者も少なくない。

 ペンシルバニア州エルキンスパークのチェルトナム学区で、サポート・サービス責任者を務めているギャリー・ビクスビー氏は、同学区で新たに導入したアルカテルのVoIPシステムによって、緊急事態への備えが充実したと語っている。例えば、学校にだれかが侵入した場合などには、IP電話の画面に表示されている情報収集用Webサイトへのリンクを利用して、教師に非常事態を秘密裏に知らせることができるという。

 ビクスビー氏は、1年以上前からVoIPについての調査を開始し、300台のIP電話を導入することを決めた。現在では、その半数がすでに配備済みである。同学区では、IP電話導入の取り組みに5年間で合計30万ドルのコストがかかると見られるが、緊急時体制の整備や、必要となるPC数の削減といったその他のメリットによって生み出される付加価値は計算に入れていないと、ビクスビー氏は強調する。

 同氏によると、将来的にアルカテルのIP電話システムを利用して、SIPベースのビデオ会議技術と連動できるようにするという。ビデオ会議機能は、遠隔地教育では欠かせないものであり、チェルトナム学区では現在、3種のビデオ会議システムの検証を行っている。

 IP電話を採用する一部の企業では、相対的に保守費用および市外通話料の節約が実現されているという。例えば、ペンシルバニア州アレンタウンに本拠を置く電力供給会社のPPLでコミュニケーション技術担当マネジャーを務めるデイブ・スティーバー氏は、2年前にVoIPシステムを採用したことでコストを100万ドル以上削減できたとしている。

 また、マニトバのウィニペグにあるバンティス・クレジット・ユニオンのCEO、ミシェル・オデット氏は、ノーテルネットワークスのIPベースビデオ会議端末を今後2カ月間で8拠点に設置することにより、同組合の収入が15〜20%増加すると見積もっている。遠隔地に事務所を開設する必要がなくなるだけでなく、競合社がバンティスとの合併に興味を示す可能性が生まれることから、増収が見込まれるのだという。

 ボストンの調査会社ヤンキーグループのアナリスト、ゼウス・ケラバラ氏は、ピーターソン氏の発言にも驚きは感じなかったとしている。「ピーターソン氏は主張は完全に正しい。業務の生産性こそが、力を注ぐべき課題なのだ。コスト削減ではなく、生産性向上に焦点を絞れば、より大きな成果が得られるだろう」(ケラバラ氏)

 ケラバラ氏はまた、VoIPには経費削減効果が大きいという印象が広まっているが、組織の規模が大きくなり、運用規模が大きくなるほど、節約効果は小さくなると述べている。「実際のところ、非常に大規模な組織では、VoIPがコストを増大させる存在になる可能性もある」(ケラバラ氏)

(マット・ハンブレン/Computerworld オンライン米国版)





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