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[米国]
シスコ、キャリア向け大型ルータの販売が本格化──通信ビジネス回復が追い風に

(2006年08月11日)

 米国シスコシステムズは、サービス・プロバイダーが同社の最も大型のルータを採用する動きがようやく本格化してきたことを明らかにした。通信業界が、需要の急成長で息を吹き返していることが追い風となっているようだ。

 シスコの社長兼CEO、ジョン・チェンバース氏は、8月8日に開催された2006年度第4四半期(5-7月期)決算の電話会見で、キャリア・ネットワークの中核部で使われる同社の大型システム「CRS-1(Carrier Routing System-1)」の5-7月期の売上高が、約8,000万ドルに達したと述べた。

 この数字は前年同期の2倍に当たる。さらに、同システムの5〜7月期の受注高は1億ドルを突破し、前年同期比で200%以上の伸びを示した。

 シスコは5-7月期に79.8億ドルの売上高(純利益は前年同期並の15億ドル)を計上しており、CRS-1が同社のビジネス全体に占める割合は小さい。だが、シスコのフラッグシップ製品であるこの大型ルータは、同社のイメージにとって重要なだけでなく、ライバルのジュニパー・ネットワークスとの戦いにおいて主要な武器となり、シスコ製品全体の新しいソフトウェア・アーキテクチャの最先端を開くものでもある。

 CRS-1は、2004年半ばに「Cisco 12000 Series」の後継となる最上位ルータとして投入された。最大92Tbpsの容量を備え、他のほとんどのシスコ製品に搭載されているIOS(Internetwork Operating System)とは異なるモジュール型ソフトウェア「IOS XR」を採用した。IOS XRは、他のシスコ製品にも徐々に導入されつつある。

 CRS-1のビジネスが本格的に立ち上がるまでには長い道のりを要したが、こうした大型の製品は通常、販売数が少なく、キャリアによる長期間の評価を経なければならないという事情がある。また、シスコも、この新しいソフトウェアの完成度を高めるのに時間がかかったと、アナリストは指摘する。

 「CRS-1は非常に複雑な製品であり、(製品ライフサイクルの)まだ初期段階にある」と、コンサルティング会社コミュニケーションズ・ネットワーク・アーキテクツのフランク・ズベック社長は述べている。

 シスコが8日に報告した販売の伸びは、2000年代初めに帯域の過剰供給に陥り、株価暴落に見舞われた通信業界が、需要の急成長で息を吹き返していることも示している。

 バートン・グループのアナリスト、デーブ・パスモア氏は、「ビデオがキラー・アプリケーションになりつつあり、膨大な帯域が求められている」と分析する。新しいFTTH(Fiber To The Home)ネットワークや、高速なケーブル・モデム接続、3Gモバイル・システムも、ネットワークの中核部における容量ニーズを押し上げているという。

 また、アナリストは、CRS-1のプリエンプティブ・マルチタスキング・アーキテクチャとモジュール型ソフトウェアは、シスコの技術がキャリア・ルータ分野で競合するジュニパーとの戦いに貢献したと指摘している。

 デローロ・グループのアナリスト、シン・ウメダ氏によると、2002年に30%だったジュニパーの市場シェアは2004年に37%に上昇し、この間にシスコのシェアは63%から59%に低下した。その後、両社の市場シェアの差はほとんど固定的に推移しているという。

 ただ、ウメダ氏によると、シスコのこのクラスのルータの売上げは、インストール・ベースの大きさを反映して、まだ12000シリーズが約3分の2を占めている。トラフィックが増大する中で多くのキャリアが次世代アーキテクチャの採用の検討を進めており、トップエンド・ルータの熾烈な販売競争が依然続いているという。

 シスコは通信業界のアウトサイダーであり、キャリアを顧客として獲得することに苦労していたが、チェンバース氏は8日、キャリアはシスコをビジネス・パートナーと考え始めていると強調した。

 この変化は、シスコが1990年代に予測したように、同社が構想するIPネットワーキングがついに旧来の電話ネットワークに取って代わろうとしていることを反映していると、パスモア氏は指摘する。

 「シスコはISP(インターネット・サービス・プロバイダー)と緊密に連携し、旧来の通信会社を敵に回した。だが、通信会社はついに現実に気づき、未来がIPにあることを理解した」(パスモア氏)

(スティーブン・ローソン/IDG News Service サンフランシスコ支局)






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