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[米国]
次世代ブロードバンド無線技術の本命に躍り出た「WiMAX」
(2006年08月11日)
「米国内で保有している2.5GHz周波数帯にモバイルWiMAXを導入する」──今週、スプリントが発表したこのニュースは、多くの国の多くの人に、驚きをもって迎えられた。
WiMAXは、本格的な第4世代(4G)無線技術であり、膨大なビジネス・チャンスを生み出すことが期待される一方で、いまだにさまざまな問題を内包している。こうした問題を解き明かすことこそ、エンタープライズ・モバイル・コンピューティング戦略を前進させるための大きな一歩となるはずだ。
そこで、まずはごく基本的な問題──「4Gとは何か」──から解明しておきたい。残念ながら、まだ今のところ、万人が納得するに足る4Gの定義は存在しない。そこでここでは、ファーポイント・グループによる、4Gについての定義を、議論の入り口としたい。
その定義によれば、4Gとは、「無線、モバイル、ブロードバンドなどに対応したすべてのIPネットワークまたはサービスで、QoS(Quality of Service)をサポートするもの」であるという。
WiMAXは、見事にこの定義に合致する。現在のセルラ・サービスは、TDM(時分割多重)技術のSS7をベースにしており、音声には適しているが、データ通信を行うのは難しい。3Gデータ・サービスは、現在のセルラ・インプリメンテーションの中の特異な存在だが、WiMAXは、すべての機能をIP標準の上で実現することができる。ちなみに、Wi-Fiも同じ特徴を備えており、メトロスケールWi-Fiもまた4Gの定義に合致すると言える。
しかしながら、WiMAXは、機能強化されたWi-Fiではない。実際、WiMAXとWi-Fiとは何の関係もない。WiMAXが、セルが大きく、ライセンスされた帯域幅を使う技術であるのに対し、Wi-Fiは、セルが小さく、ライセンスが不要な技術であり、両者は相互補完的な性質を持っている。
筆者は、統合セルラ/Wi-Fiサービスが、将来のブロードバンド無線ネットワークの最も有力な選択肢であると考えていたが、今回のスプリントの発表により、統合WiMAX/Wi-Fiサービスやデュアル・モードWiMAX/EV-DOサービス/機器といった選択肢も有望視せざるをえなくなった。
というのも、スプリントがベライゾン・ワイヤレスと並ぶEV-DO(第3世代に属する高速データ通信専用の移動体通信規格)の有力な供給元であるからだ。この両社は、現在、ダウンリンクのスピードを3.1Mbps、アップリンクのスピードを1.8Mbpsまで引き上げるとされるEV-DO Rev Aの本格的実用化に向けて準備を進めているところだ。だが、WiMAXは、EV-DOの16倍の帯域幅を実現し(EV-DOが1.25MHzであるのに対し、WiMAXは20MHz)、最高通信速度もはるかに速い(およそ75Mbps)。
かつて筆者は、当面の間は5Mbpsがユーザーの期待できる上限の無線通信速度だと見ており、スプリントに関してもこれが当てはまると考えていた。EV-DOのアップグレード・パスに、WiMAXと同等の性能を実現する「Rev B」仕様が含まれている点は注目に値するが、WiMAXのほうが先に高い性能(通信速度)を実現することは間違いなさそうだ。
しかし、スプリントがWiMAXサービスを本格的に提供するまでにはまだ18カ月以上もあるうえ、今回のスプリントの発表の裏を読んでおく必要もある。そこで、ここでは、数千人の現場スタッフにデータ・サービスをロールアウトしたいと思っているITマネジャーになったつもりで、最良の選択肢を考えてみよう。
その場合、とりあえずスプリントのEV-DOを使いながらWiMAXの開発が進むのを待つべきなのか、それとも、同じくEV-DO製品を持っているベライゾンのCingular(最大14.4MbpsのHDDPA)やメトロスケールWi-Fiをはじめとする、ほかの技術について検討したほうがいいのか──を判断しなければならない。
また、スプリントを選ぶにしても、同社がEV-DOのサポートを継続すると言っていることを信じて今すぐこのサービスを契約すべきなのか、それともしばらく待って直接WiMAXの契約をするべきなのかという判断が必要になる。
さらに、このほかにも選択肢はある。その1つが、政治的な駆け引きの影響から長い間頓挫していたが、最近になってまた動き出したIEEE 802.20だ。
クアルコムの事業部門であるフラリオンの関係者の話では、同社はIEEE 802.20がらみでWiMAXに太刀打ちできる製品を投入しているばかりか、多くの業務用システムに同社の関連技術が活用されているという。
また、その関係者は、WiMAX機器と同等あるいはそれ以下のコストで、より効率的な帯域幅での利用が可能になると主張するとともに、もう1つのモバイル・ブロードバンド・プロジェクトである3GPPのLTE(Long-Term Evolution)とEV-DO Rev Bの相性が良く、この組み合わせを打ち出していけばWiMAXとも互角に渡り合えると断言する。さらに、802.20(LTE)から発展する見られているEV-DO Rev Cなど、将来的には、もっと機能・性能に優れた(あるいは安価な)4G技術が登場する可能性も排除できない。
とはいえ、今回のスプリントの発表がWiMAXの優位性を固めたことは確かだ。さらに、インテル(チップ)とモトローラ(ベース・ステーション機器)の強力なサポートに加え、ハンドセット分野のリーダーであるサムスンもスプリントを支援している。その結果、WiMAXコミュニティが勢いづき、それに伴って、有線システムと無線システムのパフォーマンスの差は次第に縮まっている。あとは、無線システム市場に割拠する強力なライバルたちをWiMAXが組み伏せることができれば、その向こうにはWiMAXの天下が待っているはずだ。
(クレイグ・マサイアス/Computerworld オンライン米国版)
【Interop Las Vegas 2006】
「Wi-Fi vs. EV-DO」──高速モバイル・ネットワークを巡る攻防

「Wi-Fi」への懸念、「1xEV-DO」の躍進、ビジネス・インフラとして本流を成すのはどちらか



