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[米国]
従来の公共事業とは別物──専門家が自治体のWi-Fi導入ブームに警鐘

(2006年12月07日)

 公営Wi-Fiサービスは従来の公共事業とは別物である──。公共事業や行政の政策を調査している非営利組織のリーズン財団は12月5日、ブロードバンドに関する最新の報告書を発表した。

 報告書では、公営Wi-Fiサービス導入を検討している自治体に対し、従来の公共事業を通じて培った経験を生かせるとは思わないほうがよいと警鐘を鳴らしている。さらに、Wi-Fi導入には次の7つの見地から事業を検討する必要があるとしている。

(1)既存のISPと競争できるか
 リーズン財団の調査では、2005年末の時点で4社以上のISP(Internet Service Provider)がブロードバンドを提供している地域は67%、2社以上が提供している地域は93%に上り、まったくサービスが提供されていない地域はわずか1%だったという(米国内で郵便番号が存在する地域のみを対象とした場合)。後発となる公営サービスは、どの地域でも既存のISPと厳しい競争をしなければならない。それには、多額の税金を投入する覚悟が必要。

(2)ベスト・パフォーマンス&プライスで提供できるか
 自治体が提供する新サービスである以上、民間企業よりも高速で安価なサービスを提供しなければならない。

(3)継続的に最新技術を提供できるか
 1997年に米国労働統計局が調査を開始して以来、インターネット・サービスに関する消費者物価指数は23%も下落している。旧来の公共サービスとは異なり、ネットワーク技術の進歩とサービス使用料の下落は非常に速い。自治体が継続的に最新の技術を提供することは困難を極める。

(4)市場のリーダーとなれるか
 自治体が低レベルの技術に資金を提供することは、高品質で安価な技術の普及を妨げる結果になる。

(5)高い減価償却率を承認できるか
 ブロードバンドやWi-Fiサービスの場合は、ほかの公益事業に比べて減価償却率が高くなることを念頭に予算を確保する必要がある。報告書によると、初期投資には3年から5年分の運用コストを計上し、同期間内に初期設備投資を減却するのが現実的な公営Wi-Fi計画だという。

(6)リスクを受け入れられるか
 ブロードバンド構築は、継続的なネットワーク・セキュリティ確保や情報漏洩対策などを施さなければならない、リスクの高い取り組みである。リスクの見通しを立てずに予算を計上すべきではない。

(7)納税者に事業内容を説明できるか
 公営ブロードバンド・サービスの所有者である以上、自治体は納税者に対して事業内容を説明する責任がある。自治体は少なくとも株式会社と同レベルの説明責任能力を持たなければならない。

 財源の確保、最新技術の導入、民間企業との価格競争など、自治体がブロードバンドやWi-Fiサービスに参入する場合には多くのハードルがあり、それらをすべてクリアすることは難しい。

 報告書は一例として、ユタ州にあるプロボ市が構築した公営ブロードバンド・サービス・プロジェクトの事例を紹介している。「iProvo」と命名されたこのプロジェクトは、2003年の初年度には136万ドル、2004年には142万ドル、2005年には167万ドルの赤字を計上した。2005年時点での資産総額は220万ドルだが、負債総額は390万ドルに上っている。

 「iProvoの資産総額と負債総額の差は開く一方で、プロボ市が赤字経営から抜け出すことはますます難しくなりつつある」とリーズン財団では分析している。当初の予想では1万人の加入者を獲得できれば収支が合うとされていたが、現時点では1万2,000〜1万5,000件程度の契約が必要だという。なお、現在のiProvo加入者数は約7,700名と見られている。

(ジム・ダフィ/Network World 米国版)






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