THE NETWORK ROADMAP 2008 FALL 2008年9月10日 開催




【 ここから本文 】

ネットワーキング


ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


【解説】
PLC(電力線通信)、 企業では普及しない?

IT業界の定説――嘘か真実か?

(2008年02月20日)

前のページへ < 123| 

企業向け製品なら、十分なレベルの
セキュリティ機能を備える

 ここまでに紹介した事例からわかるように、ネットワーク構築コストを抑える目的や、通常の有線LANの敷設が困難な場合、または一時的なネットワーク利用の用途であれば、PLCの利用価値は高く、企業にメリットをもたらす。ただし、企業ネットワークで使う以上、セキュリティやネットワーク管理機能がしっかりしているかどうかを確認する必要がある。

 前述したように、PLCの3規格のうち、HD-PLCとHomePlugはコンシューマー向けであり、ネットワーク管理機能は貧弱だ。また、ボタン1つで接続できてしまうため、セキュリティ面でも不安が残る。

 その点、DS2チップ/UPA方式のPLCアダプタを採用した企業向け製品であれば、セキュリティ/ネットワーク管理機能は十分なレベルに達している。

 今回、取材に協力してくれたNECネッツエスアイの中・大規模向けPLC製品「ALシリーズ」を例にとれば、PLCアダプタをすべてサーバ側で一元管理することが可能だ。同製品は、7レベルのQoS(Quality of Service)設定で優先制御・帯域制限が行え、利用するアプリケーションの種類に応じて制御できる。また、子機間通信を遮断できる同社独自の機能が備わっており、プライバシーが要求されるホテルや研修設備などでの利用にも向くとしている。

 よって、当然のことではあるが、企業でPLCを導入するのであれば、コンシューマー向け製品ではなく、企業向けのセキュリティ/管理機能が備わったUPA方式のPLC製品を選ぶべきである。UPA方式を選んでおけば、リピータ機能によって大規模なネットワークでの利用も可能になる。

もう1つの選択肢
「テレビ同軸ケーブル方式」

 さて、PLCのように電源ラインを利用するタイプではなく、テレビ・アンテナの同軸ケーブルを利用するネットワーク・モデムも開発されているのはご存じだろうか(図4)。技術的な仕組みはPLCと同じで、短波帯の周波数を重ね合わせるものである。


図4:高速同軸ケーブル・モデムのイメージ図

 このテレビ同軸ケーブル方式の優位性は、同軸ケーブルによってシールドされているため電波の漏洩が起きにくく、減衰を抑えられる点にある。このことは結果として、通信速度の向上につながる。また、PLCとは異なり、総務省の型式認定が不要である点は、提供側にとってメリットとなる。

 具体的な通信速度は、PLCなら10Mbps程度を想定している場所で、テレビ同軸を使ったシステムなら50Mbps程度を確保することも可能になるという。

 NECネッツエスアイによると、「減衰が少なく高速な同軸ケーブル方式は、PLCで指摘されているいくつかの問題点を解消できる技術です。例えば、テナント・ビルや分譲マンションでは、異なる規格のPLCが使われるケースも考えられますが、異なる規格のPLCが混在すると干渉を起こし、接続しにくくなるという問題が生じます。同軸ケーブル・モデムであれば競合がなく、マンションやビル全体でのネットワーク構築が可能になるのです」という。

 同軸ケーブル方式の場合、途中にブースタが存在する場合にはバイパスを入れる必要があるものの、工事自体は難しくない。PLCと同様、有線LANを引き回す工事よりもコストを抑えることができるだろう。PLCに不安がある場合には、同軸ケーブル・モデムが有効な手段となりそうだ。

*  *  *

 以上、見てきたように、いくつか問題点があるものの、PLCは企業や学校のさまざまな場所/用途で実際に活用され始めている。

 PLCが、すでにLANが整った環境での利用や恒常的な利用には向かないのは自明だが、工事を行うことなくネットワークを構築したい、ないしは、そうせざるをえないような場合には有効である。その通信速度や電波障害に不安があるなら、テレビ同軸ケーブル方式という選択肢もある。

 PLCを導入するにあたっては、ネットワーク管理者みずからが製品を選び、セキュリティや管理機能をチェックするべきである。UPA方式が有利であることは上述したとおりだが、コンシューマー向け製品に比べれば、当然、より多くのコストがかかることは覚悟しておく必要がある。

結論:条件が合致した場合、企業でのPLCの利用は有効であり、特定の用途/環境では普及する可能性がある。

  • イベントなどで一時的にLAN導入が必要な企業、コストの問題や建物の構造的な問題などでLAN導入が難しい企業、既存の回線に問題がある企業などに、PLCは有効な選択肢の1つとなる。
  • 業務上、さまざまな地域でネットワークに接続する必要がある企業や、ホテルのように部屋数の多い建物にネットワークを引く必要のある企業などにPLCは有効であり、すでに導入例も多い。
  • PLCにはいくつかの問題点があるが、DS2チップを搭載したUPA方式の企業向けPLCアダプタ製品を選択することで、企業においても十分に活用できる。

よって、「PLC(電力線通信)、企業では普及しない」……というのは


前のページへ < 123| 





関連記事

▲ページの先頭へ戻る


Insight

中国・四川大地震が襲った新興IT都市・成都

災害直後のネットワーク、工場、スタッフの被害状況を追う

Insight 記事一覧





key Person

「IPv6にもNATは必要」――IETF会長が明言

IPv4からのスムーズな移行には不可欠との認識

key Person記事一覧



Main Topics

SOA



Weekly Ranking

集計期間:08/29〜09/04



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国