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[米国]
アマゾン、ストレージ・サービスを開始
(2006年03月16日)
電子商取引市場で強固な地位を築き上げているオンライン小売会社の米国アマゾン・ドットコムは、ストレージ・キャパシティを独立系ソフトウェア・ディベロッパーや企業のソフトウェア・ディベロッパーに貸し出すことで、大規模な容量を持つ自社のITインフラストラクチャを有効活用しようとしている。
同社のWebサービセズ部門は3月16日、ストレージ・サービス「Amazon S3」を発表した。同サービスは、アマゾンが有するITシステムのストレージ・キャパシティを外部のディベロッパーに販売するというもので、ストレージの利用料金は1GB当たり月額0.15ドル、データ通信料金は1GB当たり0.20ドル。
新しいWebベースのサービスは、2002年7月に設立されたアマゾンのWebサービセズ部門が提供するサービスを拡張したもの。同部門は、アマゾン・ドット・コムを利用する販売業者向けにカスタム・アプリケーションを開発・提供するソフトウェア・ディベロッパーへの支援業務を行っている。
販売業者は、専用在庫管理/追跡ソフトウェアなどのアプリケーションを有料で使用し、自社のオンライン・ストアをカスタマイズできる。現在アマゾンWebサービセズは、15万の登録ディベロッパーを抱えている。
アマゾンWebサービセズの製品管理/ディベロッパー関係担当副社長アダム・セリプスキー氏は、作業用にストレージ・キャパシティを追加したいが、高価なインフラストラクチャを導入するためにコストをかけたくないディベロッパーに高品質で安全なストレージを低価格で提供できると語っている。
「自前のストレージ(システム)に満足している企業も多いとは思うが、低コストで利用できるという点に魅力を感じる企業も少なくないはずだ」
S3ストレージ・サービスは、大学の学生から起業家、企業のディベロッパーまであらゆるディベロッパーが、初期費用や月額メンテナンス料なしで利用できる。
アマゾンS3の製品マネジャー、デーブ・バース氏は、自社のネットワークを介して豊富なキャパシティを提供することで、ディベロッパーによるプロジェクトの遂行が容易になると説明する。
「(自前のストレージ・システムを構築、拡張、維持している)企業にとって、これは大きな安心材料だ。大容量のストレージを自力で確保するというやり方があまり有効でないということは、多くの企業が認識している」(同氏)
Amazon S3では、5GBまでのオブジェクトの読み書きと削除が可能で、それぞれのオブジェクトは、ディベロッパーが割り当てた一意のキーにより保存と検索が行われる。オブジェクトは、公開または非公開にすることが可能で、権利を特定のユーザーに与えることもできる。
また同サービスは、各種インターネット開発ツール・キットと連携できるよう設計された標準ベースのインタフェース「Representational State Transfer」と「Simple Object Access Protocol」を使用するという。
カリフォルニア州立大学バークレー校で行われている宇宙科学プロジェクト「Stardust@Home」は、いち早くS3サービスを利用している。同プロジェクトでは、NASAの宇宙探査機「Stardust」が収集した星間宇宙塵の写真およそ6,000万枚を保存する必要があった。
現在同プロジェクトでは、ボランティアの人々が数百万枚の写真をチェックして、探査機が集めた目に見える粒子の「痕跡」を見つけ出し、それをさらに科学者が研究できるようにするための作業が行われている。
UCバークレー校の天文学者ブライアン・メンデス氏は、この研究のためだけに短期間使用するストレージを購入するのでは費用がかかりすぎるため、Amazon S3を利用している。「今回の研究のためだけに必要なシステムを購入するはあまりにもったいない」と同氏は述べている。同大学では、来月までにボランティアによる写真のチェック作業を行うための準備を完了する予定だ。
アナリストは、S3サービスについて、アマゾンが中小企業(SMB)市場から新たな収入を得るために生み出した興味深い方法だが、企業のIT部門がどのように評価するかはわからないと指摘する。
テクノロジー・ビジネス・リサーチのストレージ・アナリスト、クリス・フォスター氏は、「SMB向けの事業であり、大手企業が利用する可能性は低いし、SMBであっても、自社ネットワークの外にデータ、とりわけ顧客データを保存したいと思うかどうかはわからない」と述べている。
すでに、多くの有力ベンダーが、同様のストレージ・サービスを提供している。フォスター氏は、「私だったら、データの管理と保存を中核的な事業として行っている企業に頼みたい。SMBの立場から見ても、アマゾンのシステムにデータを保存することが良い先例になるとは思えない。またベンダーの視点から見ても、IBM、HP、サン・マイクロシステムズなどの老舗ストレージ・ベンダーへの脅威になるとは思えない」と見る。
一方、ザップシンクLLCのWebサービス・アナリスト、ロナルド・シュメルツァー氏は、単なる電子商取引サイトではなく、技術プラットフォームであるという認識をユーザーの間に確立したいというアマゾンの意志の現れと指摘する。
「事業計画の拡張と言えるが、問題は、アマゾンがこの事業に成長のチャンスを見出しているのかという点だ」(同氏)
シュメルツァー氏によると、アマゾンはこれまでも小売企業のターゲット社などにオンライン・インフラストラクチャを提供するなどして、ITインフラストラクチャを活用しているという。
「この事業が持続可能かどうかは、ディベロッパー次第だ。ディベロッパーの業務を支援することができれば、有効に機能していくだろう」と同氏は強調している。
(トッド R.ヴァイス/Computerworld オンライン米国版)



