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「マルチコア化への流れは止まらない」──インテル首脳が語るサーバ・プラットフォームの“未来像”
(2006年07月10日)
| 米国インテル シニアバイスプレジデント兼デジタル・エンタープライズ・グループ ゼネラル・マネジャー パット・ゲルシンガー氏 |
米国インテルのシニア・バイスプレジデントで、デジタル・エンタープライズ・グループのゼネラル・マネジャーを務めるパット・ゲルシンガー氏は、IDG News Service ニューヨーク支局のインタビューに応じ、同社のマイクロアーキテクチャ「Core」をベースにした初の製品となるサーバ/ワークステーション向けの新型デュアルコア・プロセッサ「Woodcrest(Xeon 5100番台)」の先進性について説明した。また、同氏は、次期デュアルコアItanium 2プロセッサ「Montecito(開発コード名)」をベースにしたシステムの出荷計画にも言及したほか、マルチコア・プロセッシングの前途に横たわる課題についても論じた。以下は、そのインタビューの抜粋である。
──Woodcrestで最もアピールできる利点とは何か。
ゲルシンガー氏:Woodcrestの心臓部にあたる「Core」マイクロアーキテクチャは、かつての「486」のようにパフォーマンスの点で同時期の製品を凌駕しているというわけではなく、「Pentium Pro」のように同時期のプラットフォームを支配しているわけでもないが、電力効率性という面で非常に優れたパフォーマンスを実現している。この優れた特徴は、プロセッサの処理能力を向上させる効率的なパイプラインおよびメモリ・アーキテクチャ設計と、性能を低下させることなく消費電力を軽減する電力管理技術の統合によって得られたものだ。
──Woodcrestで改善すべき点は何か。
ゲルシンガー氏:残念ながら、FB-DIMM(Fully Buffered DIMM)の性能が期待どおりではなかった。このためWoodcrestは非常に優れたプロセッサなのだが、FB-DIMMのメモリ・サブシステムの性能という小さな弱点を抱えることになった。われわれは今後の改訂版でこの問題を解決する予定だが、現時点で十分な成果が挙げられず、残念だ。
──今後数年間で、AMDに奪われた市場シェアを取り戻すことができると確信している根拠は何か。
ゲルシンガー氏:今年初め以来、われわれは精力的にサーバ・プラットフォームを顧客に売り込んだ。すでに3,000台が出荷済みで、OEMやISV、SIer、エンド・ユーザーからの反応も非常に目覚ましい。今後も需要が高まり、出荷台数も急増すると期待している。
──以前あなたは、AMDの統合メモリ・コントローラについて、単なる誇大宣伝にすぎないと批判していたが、その一方で、将来投入するチップには統合メモリ・コントローラを追加する計画であるとも語っていた。この点について、もう少しわかりやすく説明してほしい。
ゲルシンガー氏:統合メモリ・コントローラが良くないと言ったことは1度もないが、今行われている誇大宣伝はひどすぎる。当社のキャッシュは、AMDのものに比べ効率が2倍になっているため、メモリにアクセスする回数が半分になる。メモリにアクセスする回数が半分になるということであれば、他のさまざまな要素に関係なく、メモリにアクセスする時間だけを問題にする人などいないだろう。加えてAMDの設計には、ローカル・メモリとリモート・メモリへのアクセス頻度というもう1つの側面がある。このためAMDのチップでOSを稼働させると、半分の時間はローカル・メモリに、残り半分の時間はリモート・メモリにいることになる。ということは、今リモート・メモリにいる場合、ローカル・メモリに行ってからまたリモート・メモリに戻ってくるということになる。こうした作業を実行するのに要する時間は、当社のチップがメモリにアクセスする時間と実質的に同じなのだ。
──将来投入するチップに統合メモリ・コントローラを追加するという計画はまだあるのか。
ゲルシンガー氏:結局のところ、この問題はエンジニアリング面における得失の判断になると見ており、おそらく将来は、統合メモリ・コントローラ搭載チップを製品ラインに加えることになるだろう。なぜかと言えば、当社にはその能力があるからだ。統合メモリ・コントローラは悪いものではないが、それほど重大な問題でもなく、アーキテクチャの大幅な進歩というわけでもない。キャッシュの容量が増大し続けていることを考えれば、特に問題がないかぎり、統合メモリ・コントローラを追加したほうが良いだろうという程度のことだ。
──マルチコア・プロセッシングを巡る全体的な流れと、コアの数を増やす際に直面する課題について伺いたい。
ゲルシンガー氏:少し前の90nm(ナノメートル)プロセスでは、大半がシングルコアであり、デュアルコアはほんの一部だった。65nmプロセスでは、ほぼすべてのプロセッサがデュアルコアになり、4つのコアを持つクアッドコアもわずかながら登場する。45nmプロセスでは、大半のプロセッサが4コアになり、8コア製品も登場する。マルチコア・プロセッサも、ムーアの法則に従っており、この予想は近い将来現実になると思われる。問題はコアの数が増えれば増えるほど、並列処理の必要性が高まることだ。コンピュータの誕生以来、人類は一貫して並列プログラミングの問題を解決しようとしてきた。
現在、マルチコア・マシンの大半は、実質的にマルチタスキングだが、マルチスレッド化されている部分はあまり多くなく、個々のタスクのスレッド化も進んでいない。先ほど述べたようなマルチコア・プロセッサの進歩が実現すれば、2012年には、16コアのデスクトップ・システムが実現しているかもしれない。しかしマルチコア・マシンの進化は、プログラミングの面で大きな課題を突きつけることになり、今後マルチコア設計の利点をフルに生かしていくうえで、大きな障害になるだろう。これはいかなる意味においても解決済みの問題とは言えないが、同時に飛躍的な進歩が期待できる分野でもある。
──具体的にどのような進歩が期待できるのか。
ゲルシンガー氏:1つは特定領域対応プログラミングとでも呼ぶべき分野だ。このような分野では、汎用並列プログラムの課題を解決するのが非常に難しいが、特定領域の枠内で考えてみると、かなり大きな成果が期待できる。また、途方もない並列化とでも呼べるような特性を持つ問題も存在する。「レイトレーシング」と呼ばれている3次元グラフィックス・アプリケーション分野は、その一例と言えるだろう。例えば、ポリゴンにさまざまな陰影を付ける場合には、表示された画面に光線の全体的なイメージを描く手法が一般的だが、レイトレーシングでは、周囲に反射する光とその影の粒子1つ1つをモデル化し、それぞれの光の粒子が実行用のスレッドになるようにする。このような場合、これまでは最大で100〜200のスレッドが並列化される程度だったが、それでもパフォーマンスを大幅に改善することができた。
われわれは、コンピュータで描いた画像と本物の画像の区別がつかなくなるような世界がいずれ実現すると考えている。そうなれば、子供たちが遊ぶゲームがもっとリアルになるといったことも考えられるが、それだけではなく、例えば、腫瘍の実体をモデル化し、それが現実に成長していく様子を見たり、各種の組織適合試験でどのような特性を発揮するのか調べたりするといった、きわめて興味深い利用方法が考えられるようになるだろう。
──Itaniumについて話してほしい。また、Xeonとの関係で、この製品がインテルのサーバ・プラットフォーム事業の中でどのような位置づけにあるのかも伺いたい。
ゲルシンガー氏:現在この市場には、SPARC、POWER、PA、そしてItaniumという4つの有力な製品が存在する。PAは、Itaniumに全面移行しつつある。SPARCについても斜陽化が始まっており、サン会長のスコット・マクニーリ氏の退陣は、象徴的な意味合いだけにとどまらない。Itaniumシステムの売上高は、昨年末の時点でPOWERやSPARCのおよそ半分程度だが、現時点で市場シェア3位の座を確保している。われわれの目標は、まず市場シェア2位の座を奪い、最終的にはトップに押し上げたいと考えている。
Itaniumには、メモリ・サイズ、RAS、エラー検知/訂正、ノンストップ機能など、数々の優れた特徴が盛り込まれており、長期にわたり有力な製品として君臨することになると思う。現在、当社は、次期デュアルコアItanium 2プロセッサであるMontecitoの製造に入っており、第3四半期にはシステム・ベンダーから製品が発表されるはずだ。
──XeonとItaniumが市場でバッティングする可能性はないのか。
ゲルシンガー氏:競合する分野はある。高性能コンピューティング・システムなどは、その一例と言えるだろう。このような分野では、どちらを選んでも間違いではないが、文句なしにItaniumに軍配が上がる分野も少なくない。一方、並列化が進めば、より分散化されたかたちでコンピュータを稼働させたいという要望が高まる。この場合、コスト・パフォーマンスの点でXeonのほうが優っている。この市場では、さまざまなアプローチが用いられているが、超ハイエンドの分野(バンキング・システム、大規模トランザクション、大規模ERPシステムなど)は、比較的安定度の高いメインフレームの市場になっているようだ。メインフレームに対しては、私が15年前に“死亡宣告”を出していたのだが。
(シェリー・ソルヘイム/IDG News Service ニューヨーク支局)

