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[米国]
企業へのVista導入は遅々として進まず――新OS1年目の評価
XPの完成度の高さが一因
(2007年11月12日)
米国マイクロソフトが「Windows Vista」のコードを生産に移し、工場での大量製造が始まってから1年余りが過ぎた。同OSの1年目についてアナリストたちは、企業への導入が進んでいないことを理由に「期待はずれと言わざるをえない」と語っている。
昨年11月8日、当時Vista開発の責任者を務めていたジム・アルチン氏は、同OSが製造工程向けリリース(Release To Manufacturing:RTM)へ移行し、企業および一般消費者への提供に向けた記念すべき一歩を踏み出したと発表した。同氏は電話会議を開き、「今日はすばらしい日だ。最高に幸せだ」と記者たちに語っていた。
マイクロソフトは直近の今年7-9月期業績で、8年来の記録を破る増収率を達成した(関連記事)。これは主にVistaの売上げによるものであり、そうした点で同OSは確かにヒット製品と言えるのだが、エンタープライズ業界で期待されていたほどの躍進を遂げることはできなかった。今年1月のVista出荷後に引退してしまったアルチン氏が今もマイクロソフトに在籍していたなら、この結果では「最高に幸せな気分」にはなれないだろう。
調査会社ガートナーのアナリストであるマイケル・シルバー氏は、企業へのVista導入が期待ほど進んでいない現状をこう指摘する。「普及の程度が予測よりもかなり低い。『昨年中にアップグレードする』と言っていた組織の動きがずいぶん遅れているようだ」
シルバー氏は、Vistaの採用計画に関する今年10月の調査結果と、昨年10月時点の同調査結果を比較し、企業によるアップグレード計画が当初の予定より9〜12カ月遅れているとリポートした。
同氏はさらに、企業が当初の予定を守れなかった理由について、「アプリケーション・ベンダーが自社製品をVistaに対応させる能力を企業側が過大評価した。その一方で、企業はVista移行の難しさを過小評価するとともに、同OSの価値を買いかぶっていた」と説明している。
ワシントン州カークランドに拠点を置くリサーチ会社ディレクションズ・オン・マイクロソフトのアナリスト、マイケル・チェリー氏は、企業におけるVista導入の遅れをこう説明する。
「(Vistaへのアップグレードを)急いでいる企業などまったく見かけない。SP(Service Pack)1のリリースもそう遠くない今となってはなおさらだ。実際のところ、企業は既存のハードウェアをVista仕様へアップグレードする作業の困難さを思い知り、予定どおりに事を進められなかった」
現在使用しているハードウェア上の既存OSはいじらないほうがよいと主張するチェリー氏は、「Vistaは完全に新しいハードウェア用の製品」と言う。同氏は、「(Vistaの)ハードウェア要件には特に気をつける必要があると思う」と話し、多くの企業が同OSを動作させるのに必要な条件を甘く見すぎていると警告した。
当のマイクロソフトは、Vistaの出荷数を声高にアピールしている。同社によれば、2週間前までの出荷数は8,800万本に達しており、2001年のリリース後から同じ期間を経た「Windows XP」と比べて2倍になっているという。「こうした事実を見れば、いずれのアナリストもVistaを失敗作と呼ぶことはできない」と同社では強調する。
失敗作ではないとするマイクロソフトの主張に対し、チェリー氏はそれを認めながらも、ほかのベンダーの場合とは異なり、成功を収めるまで腰を据えて待つ余力がマイクロソフトにはあると語った。
一方、シルバー氏の最終的な見解はこれよりやや厳しい。「Vistaはコンシューマー分野では期待どおりの成果を上げたが、エンタープライズ分野ではさほど振るわなかった。Windows XPのような優れた製品を使用したあとでVistaへアップグレードするのはきわめて面倒だと、人々はすでに気づいている」(シルバー氏)
こうした点こそが、エンタープライズ界におけるVistaの評判が芳しくなく、期待したほど普及しない理由の1つだとシルバー氏は言う。
シルバー氏は「さほど完成度の高くないOSから移行するのであれば、問題点が目立つこともないだろう」と述べ、「Windows Millennium」からXPへの移行を格好の例として挙げた。「XPのような安定したOSからアップグレードして、結局不具合が出たとなると、粗がよけいに目についてしまうのだ」(シルバー氏)
(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)
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