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[米国]
IBMが目指す、DNA自己組織化によるプロセッサ製造
同技術なら回路線幅「4〜6nm」も実現?
(2008年02月22日)
米国IBMは現在、DNA(デオキシリボ核酸)を使ったまったく新しいプロセッサ製造法の開発に取り組んでいる。チップの微細化とトランジスタの高密度化をさらに進めるのがねらいだ。
IBMの研究者らは1年半前から、チップ上のトランジスタおよび配線のレイアウト・パターンを作製する新しい方法を研究してきた。半導体メーカーは現在、光で配線パターンを転写する光リソグラフィ法を利用している。しかし、「現在の技術を使ってパターンの微細化を進めるのは難しい」と、IBMの先進技術部材担当シニア・マネジャー、ジョー・ゴードン(Joe Gordon)氏は語る。
同氏によると、プロセッサ性能の向上はパターンの微細化によって達成される場合が多く、今後、さらなる性能向上を実現するには新しいパターン作製法を開発する必要があるという。
そこで同社が行き着いたのがDNAを利用するという方法だ。
「現在、業界のロードマップでは、チップの回路線幅を22nm(ナノメートル:ナノは10億分の1の意)まで微細化できる見通しだ」とGordon氏。「われわれはその先を見据えている。現在の光リソグラフィ法を利用する場合、それ以上の微細化が困難なのは明らかだ。DNAを利用するわれわれの方法なら、さらなる微細化の道が開ける」(Gordon氏)
IBMの研究者の1人、グレッグ・ウォールラフ(Greg Wallraff)氏によると、DNAを使ったパターン製造技術は、「DNA分子群をチップ表面に配置し、ナノチューブ(ナノ・スケールの筒状物質)やナノワイヤ(ナノ・スケールのワイヤ)などをそのDNA上に作製する」ことが基礎になるという。このナノチューブやナノワイヤが配線などのための“電子部品”となり、DNAは、それらを組み立てるためのテンプレートとして利用されるという仕組みだ。なお、この研究で使われるDNAはウイルスから採取されたものだという。
Wallraff氏によると、この研究はカリフォルニア工科大学の研究者ポール・ロスマンド(Paul Rothemund)氏と共同で行われている。Rothemund氏は、DNA分子群を複雑な構造に組み立てる方法の開発に成功した科学者だ。「IBMは、同氏の研究をベースに、有効なDNAテンプレートの作製を目指している」とWallraff氏。
「『生命の青写真』とも言われるDNAは、基本的に“プログラミング”が可能である。すなわち、特殊なアタッチメント部(ナノチューブやナノワイヤが配置される場所)を持ったユニークな形状に作り替えることができるのだ。このDNAをシリコン基板に載せると、DNAがわれわれの望みどおりのパターンで自己組織化を行うようになる。その形状を利用して“電子部品”を組み立てるわけだ」(Wallraff氏)
DNAアタッチメント部どうしの距離は、従来のパターン製造技術で実現する線幅よりも大幅に近接させることができる。回路線幅に当たるこの距離は4〜6nmとなり、現在の先進的なチップの回路線幅45nmに比べて格段に微細化されることになる。
「床にタイルを貼るようなものだ。個々のDNA分子がタイルに相当する」とGordon氏はよりわかりやすく説明してくれた。「これらの“タイル”をチップ上に数千個から数百万個配置して、大きな配列を作り出す。2番目のステップは、まだ方法はわからないが、それらを接続(配線)することだ。こうして、従来のリソグラフィ法よりも大幅な微細化が可能になる」(Gordon氏)
DNA分子は、ナノチューブやナノワイヤがDNAテンプレート上に作製されると除去される。Wallraff氏は、1つのチップを製造するのに、数百万個のDNAテンプレートが必要になるだろうと語った。
Gordon氏によると、このパターン製造技術が実用化されるのは、おそらく10〜20年後になるとのことだ。「どうやって“タイル”を目的の場所に置くか、また、どうやってナノワイヤを“タイル”上の適切な位置に配置するか、さらに、それらを配線するにはどうしたらいいか、といった未解決の課題は多い」(Gordon氏)
Wallraff氏は、現段階での次のステップとして、すべての“タイル”を接続することと、組み立て時の欠陥レベルをチェックすることを挙げている。
(Sharon Gaudin/Computerworld オンライン米国版)
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