【 ここから本文 】

SOA

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


【Computerworld Conference 2008 Winter】
「サービス」の真意をとらえ、社内体制を整える――そこからSOAプロジェクトは始まる

経営層とIT/IS部門に求められる、業務視点のシステム構築

(2008年03月18日)

2008年2月13日、本誌主催コンファレンス「Computerworld Conference 2008 Winter」が六本木アカデミーヒルズ(東京・港区)で開催された。開催5回目となる今回のテーマは、「SOAベスト・プラクティス&ベスト・ソリューション」。ITシステムがビジネスの変化に対する俊敏性を獲得するためのアプローチとして注目を集めるSOA(サービス指向アーキテクチャ)の実現手法にフォーカスした内容となった。各セッションでは、専門家やSOA製品ベンダー各社が、SOAに対するそれぞれの見解を披露し、ユーザー企業のIT/IS部門が取り組むべきことを示した。

文:岡崎勝己
写真:片岡 純

 

SOAの導入を具現化するための最適解は何か

 経営課題に対する、システム側の迅速・的確な対応──ビジネスのカギを握る存在としてITの重要性がさらに増している中で、この課題への対応を目的に、SOAの導入に対する企業の関心が本格的に高まりつつある。いわゆる一枚岩型のシステムを「サービス」という概念の下に分散・連携させるというSOAの手法によって、システムの柔軟性は大幅に向上し、ビジネス・ニーズに柔軟に対応可能になるからだ。もちろん、既存/新規開発のシステムの再利用性が高まり、ITコストの削減にも寄与するというメリットも、今では広く認知されるようになってきている。

 「ビジネスに即応するITシステムを目指して、導入の最適解を探る」という副題が冠された今回のコンファレンスは、システムの柔軟性を高めるための現実的な解としてのSOAの、具体的な導入方法に焦点を絞った実践的な内容となった。

 基調講演に登壇したソフトウェアプロセスエンジニアリング代表取締役社長の岡大勝氏は、同氏が手がけてきたSOA導入プロジェクトにおける経験を踏まえ、ユーザー企業のSOAへの取り組みの現状と、導入を成功に導く手法について解説した。

岡大勝氏は、自身のSOAベース・システムの構築経験から、コントラクト型SOAアプローチを提案した

 岡氏によると、SOAへの関心は確かに高まっており、検討を始める企業は増えているものの、その取り組みは必ずしもスムーズには進んでいないという。その理由として同氏が挙げたのは、経営層とITスタッフとの意識の乖離だ。すなわち、経営/マネジメント層がSOAをITコストの削減策ととらえ、それに基づくシステム開発を積極化させたいと考えている一方、ITスタッフ側の多くは、SOAを従来型のコンポーネントを用いた開発の延長線上にある手法として認識しており、そのギャップから事がうまく運ばないというケースが多いようなのだ。

 こうした混乱の根本的な原因として岡氏が指摘するのが、SOAの定義のあいまいさだ。「SOAの技術的な側面にばかりに注目が集まった結果、“手段”と“目的”が置き換わり、本来の目的が忘れ去れてしまうケースが少なくない」(岡氏)

SOAの「本来の目的」を踏まえて
目指すシステム像を明確化

 SOAはよく、「Webサービスのインタフェースを備えたサービスが、BPMの仕組みの下、ESBを介して自律的にメッセージをやり取りするアーキテクチャ」といった説明がなされる。だが、SOAはそもそも技術標準ではなく、統合が容易で共用可能なビジネス・サービスの基盤を提供するためのコンセプトにほかならない。

 岡氏はこの論を推し進め、次のように説いた。「サービスという概念が実現できていれば、メッセ?ジング形式の違いなどにこだわる必要はない。インタフェースの種類を問わず、サービスとして機能を公開し、システム間が統合されていれば、SOAが実現されているととらえるべきだ」(岡氏)

 SOAの導入に際し、既存のワークフローやメッセ?ジングの仕組みでまかなえるにもかかわらず、サービス・リポジトリやBPMの整備、システムのWebサービス化を強引に進めてしまうケースをたびたび見てきた、と岡氏。だが、同氏の提案する考え方に沿って取り組めば、既存技術の利用を継続したうえでSOAを導入するロードマップを具体的に描けるようになる。

 「ただし、特に日本企業には、導入の障壁となりやすい要素がある」と岡氏は警鐘を鳴らす。それは、ガバナンスの欠如だ。

 SOAプロジェクトを成功に導くためには、全体最適の観点から社内のあらゆるシステムを把握し、あるべきシステムの姿の実現に向け、開発を進めるということは前提と言ってよい。だが日本企業には、その目的を踏まえてプロジェクトを牽引していけるようなCIOやチーフ・アーキテクトがきわめて少ないという問題がある。「組織文化の観点から、導入を進めにくい環境にある」(岡氏)というのが実情だ。

 この問題を解決し、SOAのメリットを享受するために岡氏が提示したのが、「コントラクト型SOA」と呼ぶアプローチだ。これは、各システムの担当者に、他システムでも利用可能な機能の公開を宣言させ、サービス・リポジトリにそれらを蓄積し再利用を促すもの。チーフ・アーキテクトを必要とせず、公開を宣言させるだけで取り組みを開始でき、SOA導入の敷居を大幅に下げられる。

 「公開された機能に対する社内の関心の高低で、何がサービスとして求められているのかが見極められる。あとは情報システム部門の主導でサービスの定義方法や利用方法を標準化し、サービス利用にまつわるワークフローを整えれば、実質的にSOAの導入に着手したことになる」(岡氏)

 講演の最後に岡氏は、SOAの導入を成功させるために、現場の情報共有を徹底させる必要があると強調。そのために、社内での勉強会を定期的に開催するといった環境整備の重要性を訴えた。


 |12 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る


SOA実践講座Resource by Oracle

ITアーキテクト特別連載 【SOA実践の秘訣】

第3回:ガバナンスの確立に向けた施策と取り組み(後編)New!
SOA推進組織の結成――ガバナンス・フレームワークと組織体制
第3回:ガバナンスの確立に向けた施策と取り組み(前編)
体制構築のための下準備――ワークショップの開催と課題の整理
第2回:データ/アプリケーションの最適化(後編)
既存資産の洗い出しとサービス候補の抽出、優先順位付け

イベント/セミナー情報

HITACHI Open Middleware World 2008 Cosminexus Day

さあ、はじめよう!SOA

ユーザーとパートナー企業の対談によるSOA事例の紹介など、SOA実践のアプローチを体感できるセッション&展示が満載

【会期】
2008年11月18日(火)10:30〜18:00
【会場】
アカデミーヒルズ40(東京・六本木)
【主催】
日立製作所

イベントの詳細はこちら

ソリューション・フォーカス

ビトリア・テクノロジー

SOA/BPM推進を技術面から支えるビトリアの「BusinessWare」の実力

独自のサービス・オーケストレーション技術でプロセス変更に迅速に対応

日立製作所

日立が描く全体最適に向けたSOA実践のアプローチ

Cosminexusで「段階的システム最適化」を強力に支援

関連製品一覧

専門コンサルタントが明かすSOA実践の秘訣

Computerworld Conferenceリポート

Computerworld Conference 2008 Winter

「サービス」の真意をとらえ、社内体制を整える――そこからSOAプロジェクトは始まる

経営層とIT/IS部門に求められる、業務視点のシステム構築

日立製作所

“段階的システム最適化”のアプローチで業務改革を実現する日立の「Cosminexus」

SOAに基づいた変化即応型システムの構築を強力に支援

日本BEAシステムズ

SOAの本質的効果を導き出すBEAのROIモデル「BEA Costs & Benefitsフレームワーク」

SOAの“効果の見えにくさ”を解消するベスト・プラクティス

ソニック ソフトウェア

低コストで段階的な導入を進めるソニック ソフトウェア「Sonic ESB」のSOAアプローチ

システム統合の現実解、ESBのメリットを存分に生かす

ソフトウェア・エー・ジー

SOAでビジネス・インフラ全領域の統合を図る「webMethods 7.1」

レガシー資産を最大限に生かしたガバナンスを実現

User Panel

User Panel

BEAのユーザー企業が語るSOA導入の要所

「万事は人。願いをベンダーと共有することが潤滑油となり最良の結果を生む」

SOA構築ガイド

SOAを効率的に管理する「10のツール」

成功の秘訣はガバナンス・クオリティ・マネジメントにあり

SOAの導入を成功させるための10のステップ

SOA導入プロジェクトの経験者から聞き出した秘訣を一挙公開

SOAも「ガバナンス」の時代へ

ガバナンスがなければ、SOAも「ただの無秩序な」Webサービス

SOAの「現実解」を探る

ベンダー各社のコンセプトや実装技術を徹底検証

BPM製品のトレンドと導入/運用の4ステップ

「モデル」「デザイン」「デプロイ」「監視」の基本フローを押さえる

SOA成功の極意を知る

「開発者の意識改革」がカギに

キャッチアップSOA

SOA導入に挑んだ企業の6割が「ほぼ達成」と自己評価

「多くのユーザーはもはやSOAの導入を恐れていない」と同社幹部

SOA導入効果、ESBなどのインフラに投資した企業ほど顕著に

自然資源に影響を及ぼす各種人的要因データを集約

SOAを巡るホットな疑問

コスト削減効果の実際は? マイクロソフトのSOA戦略は?……

SOAガバナンスを究める

協調性を発揮してガバナンス・プロセスを押さえよ

SOAを技術面から支える「アイデンティティ管理」の重要性

SOAシステムで本領を発揮するアイデンティティ管理基盤の構築ポイント

米国で高まる“SOA”のユーザー満足度

SOAへの移行は、「労多けれど、メリットも大」

SOA時代に、企業システムはどう備えるべきか

「Computerworld Conference 2006 Spring」特別リポート

SOA事例研究

先進ユーザーに学ぶ! SOAのメリットを最大限に引き出す「5つの方法」

United Airlines、Comcastなどの成功プロセスを研究

デルタ航空、3年計画のSOAプロジェクトに着手

ITバックボーンをSOA環境にリプレース

ワコビア銀行、SOA構築でコラボレーション・ツールを活用

開発関連ドキュメントを公開・共有

ペンシルベニア大学、SOA対応のBPMシステムを導入

学内のワークフローを自動化

先進ユーザーに学ぶ、SOA導入の心得

プロジェクトには十分な“時間”をかけるべし

SOAの課題

企業のSOA支出は増加も、普及拡大の勢いにかげり
「SOAへの投資が今後も継続されるかどうかはわからない」とアナリストが指摘
SOA導入によるROIの向上、多くの企業が未達成
積極的な活用を阻むのは、部門どうしの確執と不公平感
停滞するSOAの普及、企業は全社レベルの導入に及び腰
「ベンダーはSOAのメリットを十分に説明していない」
“SOA一辺倒”に要注意
SOA導入を漸進的に進める医療保険会社
SOAへの移行は“いばらの道”?
初期コストの高さがネック

Weekly Ranking

集計期間:10/05〜10/11



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国