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【解説】
オラクルとSAPの戦略に見る「業務アプリケーションのベクトル」
両社の差異と共通点から業務アプリケーションの今を知る
(2008年04月30日)
データベースからアプリケーション・サーバ、そしてミドルウェアへと徐々にレイヤを上り、現在では業務アプリケーション市場で積極的なM&A(合併・買収)を展開しているOracleと、ERPを中核に業務アプリケーションの分野で確固たる地位を築いているSAP。本稿では、2大アプリケーション・ベンダーの戦略の違いと共通点を明らかにすることで、業務アプリケーションの最新ベクトルを探ってみたい。
渡邉利和
OracleとSAP、業務アプリ
大手2社の戦略をひもとく
業務アプリケーションを取り巻く市場は、ユーザー企業の多くが日本版SOX法(金融商品取引法)への対応を一段落させて、次の戦略的な投資について検討を開始した段階だと思われる。経済状況としては、やや守りの時期という情勢にも見え、景気は上昇に転じるのか、それとも当面横ばいなのかで意見が分かれている状態に見える。
IT業界での積極的なM&AでOracleは目立つ存在だが、他社でも同様の動きがあり、結果としてエンタープライズ・アプリケーション市場はプレーヤー数が減少する傾向にある。例えばBI(ビジネス・インテリジェンス)市場では、専業ベンダーがほぼすべて買収されてしまった。買収したのはOracle、SAP、そしてIBMで、今後はこれらの巨大ベンダー間で争いが激化するとも目される。
こうした状況下では、残った巨大ベンダーがどのような競争を繰り広げるのかという点に関心が向かうのは無理からぬところだ。こうした見方は当事者間の意識とは乖離している面もあるのだが、今回はあえてベンダー側の考えを探るべく、OracleとSAPの2社にそれぞれの事業戦略と相互の対抗戦略を聞いてみた。その結果、鏡の裏表のように、まったく噛み合わない話に見えつつ、実は同じ問題意識を持ち、異なるアプローチで解決に取り組んでいるという興味深い図式が見えてきたのである。
Outside Inをベースとする
Oracleの業務アプリ戦略
現在、Oracleが業務アプリケーションの分野で発信しているメッセージが、「Outside Inのアプリケーション」というものだ。Outside Inとは、企業を取り巻くさまざまなステーク・ホルダーとの関係を考えていくという発想であり、これを実現するための技術面での基盤が、SOA(サービス指向アーキテクチャ)などによる疎結合のアーキテクチャとなる。
一方、Outside Inと対をなす考え方が「Inside Out」で、こちらは密結合のアーキテクチャだ。OracleではSAPの発想を、このInside Outだと考えている。Inside Outの発想では、密結合のアーキテクチャで企業内を最適化し、それを企業内(inside)から外に広げていく(out)というやり方になる。
Inside Outは、企業内のシステムを最適化するのに適した手法であり、ERP(Enterprise Resource Planning)はその代表的なアプリケーションだと言える。しかし、現在の企業を取り巻く環境は複雑化しており、企業内の最適化だけでは十分ではないとOracleは言う。
企業を取り巻くステーク・ホルダーとは、顧客や市場、サプライヤー、ホールディング・カンパニーなどを指す。企業はこうしたステーク・ホルダーとのやり取りのために、CRM(Customer Relationship Management)、PLM(Products Lifecycle Management)、SRM(Supplier Relationship Management)、SCM(Supply Chain Management)といったソリューションを利用するのだが、これらの機能を実装する際に、Inside Outの発想で最適化された社内システムを社外に拡大していくアプローチがはたして最良なのかという問題意識が根底にある。
密結合のシステムを社外に広げる際には、社外のステーク・ホルダーに対して自社システムとインタフェースをとることを求めざるをえなくなるが、これはかなり難しいというのが実情だ。例えば、Excelを使って予算を組み、Excelのまま運用しているステーク・ホルダーに対して、「自社はERPでやっているので、Excelなんて非効率なことはやめてERPの画面を使ってください」と言っても反発を受けるだけだろう。
これに対し、疎結合のシステムにおいて業務に特化したアプリケーション、例えばOracleの場合だとHyperionアプリケーションを利用するときは、社外のステーク・ホルダーは従来からのExcelベースの作業を変える必要はない。Hyperionがそれを取りまとめてくれるからだ。
こうしたやり方が可能になるのは、Hyperionが疎結合型のアーキテクチャの下で、Outside In型のアプリケーションとして実装されているからだ。Oracleは、HyperionのようなOutside In型アプリケーションの品ぞろえを拡充するために、積極的に買収を行っているのである(図1)。
| 図1:OracleのOutside Inアプローチ。実績あるアプリケーションを買収で獲得し、それを疎結合で連携させる |
数々の買収により、SAPよりもすぐれたビジネス・ファンクションを豊富に集めたとOracleは主張する。「餅は餅屋」という形で、それぞれの処理に特化した定評あるアプリケーションをそろえ、必要なポイントに必要なものを投入し、他の既存システムとは疎結合で連携してインパクトを与えない。これがOutside InアプローチのメリットだとOracleは強調する。
















