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[米国]
AOLとの提携で支払うグーグルの代償──失われる「中立性」という価値
(2005年12月22日)
アメリカ・オンライン(AOL)との契約をグーグルに奪われたことは、マイクロソフトにとって大きな打撃となった。しかし、今回の提携により、結果としてマイクロソフトのほうが恩恵を得る可能性が高いと見るアナリストも少なくない。グーグルの顧客の多くが、今回の提携でグーグルが中立的な立場を放棄し、差別的な立場に立ったと感じているというのだ。
今回、グーグルがAOLに対して、検索サイト上にバナー広告を表示させるだけでなく、検索広告を直接販売できるという特権を与えたことが、既存のグーグル顧客を離反させる結果を生み出し、マイクロソフトが自社の検索サービスに広告契約を呼び込む大きな追い風になる可能性が高いという見方が出ている。
Directions on Microsoft米国版のリサーチ・ディレクターを務めるロブ・ヘルム氏は、グーグルは常に顧客が広告を表示する公平な場を提供すると主張してきたが、今回AOLに特権を与えたことにより、自らの権利が損なわれたと感じる顧客も少なくないと見ている。同氏は、「(検索への)中立的なフロントエンドの役割を果たしてきたというグーグルの主張は説得力を失うことになる」と指摘する。
米国ジュピター・リサーチのシニア・アナリスト、ジョー・ウィルコックス氏も同意見だ。「(今回の契約で)グーグルは中立的な立場を捨て、差別的な立場に立ったとする見方もできる。私がマイクロソフトの立場に立てば、検索広告や検索結果の配信に関して中立であるという事実を強調するに違いない」(同氏)。
アナリストたちは総じて、今回の契約内容はAOLにとっていいことずくめだと見ている。AOLは大量の資金を調達できただけでなく、グーグルの検索サイト上に自身と顧客のバナー広告を表示する特権まで手に入れたからだ。
グーグルは収益性の高いAOLの広告契約(グーグルの売上高の12%に上るという推計もある)を継続することによって恩恵を得られるが、それは無償で手に入れられたわけではない。ヘルム氏は、AOLをつなぎ止めるために同社に10億ドルを投じたことは、グーグルにとって必ずしも有利な取り引きではないと指摘する。「今回の契約は、グーグルにとっては、すでに結んでいた契約を拡張しただけにすぎず、コストだけで見ると割に合わない」(同氏)
マイクロソフトがどうしても獲得したかった契約を逃した(一部報道では、グーグルと同じぐらい懸命にAOLを説得していたとされる)ことは、マイクロソフトがグーグルに対する戦略を見直す契機になる可能性もある。
マイクロソフトは1年ほど前から自社のオンライン検索エンジンをグーグルの機能に負けないように進化させようと大金を投じてきたが、MSN Searchの機能は依然としてグーグルの検索エンジンより劣っているというのが大方の見方だ。
グーグルとの提携を継続・強化するというAOLの決定は、グーグルの検索エンジンがAOLポータルへの訪問者をさらに増やすのに役立つと評価したことを意味しており、マイクロソフトには、この分野でまだ組むべき重大な課題がいくつか残されているとアナリストらは指摘している。
マイクロソフトは、AOLとの契約を逃したことで、急成長する自社のオンライン広告プラットフォームを、ベライゾン・コミュニケーションズやコムキャストといったサービス・プロバイダーから多くの契約を獲得するものに進化させたいと考えているとヘルム氏は見ている。「次の戦いの焦点は、プロバイダーのポータル上に検索広告や検索結果を配信する契約を獲得することに移りつつある」(同氏)
(IDG News Service)

