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【インタビュー】
SAPアメリカCEO、「好業績は“正しい戦略”のたまもの」

(2006年01月26日)

SAPアメリカ CEO兼社長 ビル・マクダーモット氏

 ドイツのSAP(SAP AG)の役員で、米国SAPアメリカのCEO兼社長を務めるビル・マクダーモット氏は、南北アメリカ地域の事業を統轄する立場にある。現在SAPは、戦略のかなめとして、SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)プラットフォーム「NetWeaver」の提供を推進し、ライバルの米国オラクルよりも優位に立つことをねらっている。一方、オラクルは、一連の買収によって獲得したソフトウェアと自社の「E-Business Suite 11i」をベースとした次世代プラットフォーム/スイート「Fusion」の構築に取り組んでいる。そんななか、SAPは1月25日、好調な2005年度第4四半期決算を発表した。本稿では、Computerworld米国版のマーク L.ソンジニがマクダーモット氏に、SAPの業績とオラクルへの対抗戦略について話を聞いた。

──最新の業績発表をどうとらえているか。

 SAPは世界各地で好調な業績を上げている。需要の先行きを示す最大の指標となる全世界のライセンス売上高は18%の伸びを示している。また、北米では13四半期連続の成長を遂げており、全世界では8四半期連続で2ケタ成長を記録した。当社の戦略が正しいからこそ、これほどの好業績になっていると認識している。

──その戦略とはどのようなものか。

 市場は、各種のコンポーネント・パーツや最良(ベスト・オブ・ブリード)のアプリケーションを選択・購入するというかたちから、1つのプラットフォームを購入するかたちへと移行しつつある。そうしたなか、SAPがプラットフォームとしているのがNetWeaverだ。その特徴は、ビジネス・プロセスのコンポーネントに手を加えることで、ビジネスのニーズに対応し、ビジネス・モデルを即座に刷新できることにある。これは、さまざまな要素をつなぎ合わせることで面倒な作業が発生し、なかなか結果を得られないという従来のやり方とは対照的だ。NetWeaverプラットフォームは、現在市場に出されている唯一のオープンなSOAベースの製品である。また、当社はパートナーと共同で技術革新に取り組んでいる。例えば、マイクロソフトと共同で進めているデスクトップ生産性強化プロジェクト「Mendocino」など、多数の取り組みがある。

──最近話題になっている、SAPの次世代ビジネス・アプリケーション・セットについて説明していただきたい。

 当社では「ESA(Enterprise Services Architecture)」というブランド名で、エンタープライズSOAの提供を開始している。例えば、ESAを実現するNetWeaverは、サービス対応プラットフォームであり、対応するサービスは毎年増えていく。SAPでは、すでに存在しているものを基盤として構築していくことによって、次世代への準備を進めるという漸進的なアプローチをとっている。競合他社(オラクル)では、2008年には提供できると言っているが、当社ではすでに提供を開始している。

──顧客が望んでいるのはSAPのビジネス・アプリケーションだけであり、SAPが売り込もうとしているテクノロジー・インフラを望んでいるのではない、という批判が一部にある。また、SAPのプログラミング言語である「ABAP(Advanced Business Application Programming)」はプロプライエタリな技術なのではないか。

 判断を下す権利は顧客自身にある。だから、当社はSOAに関して完全にオープンな姿勢をとっており、顧客を閉じ込めて縛りつけるようなことはしていない。ABAPに対応した機能も、Javaに対応した機能も提供しており、両言語に対応している。結局、重要なのはどのプラットフォームを選ぶかである。例えば、市場をリードしているSAPの製品は、顧客にとって有力な選択肢の1つとなるだろう。というのも、当初から完全に統合されており、1つのSOAで29の業種に対応し、ABAPとJavaを扱うことができ、しかも、すでに製品として存在しているからである。もちろん、顧客はオラクルから製品が投入されるまで導入を待つこともできる。そのような余裕があればの話だが。

──オラクルは、シーベルの買収手続きを近く完了する予定であり、それによって同社がCRM(Customer Relationship Management)市場でトップに立つと目されている。SAPもCRM分野にはこれまでに多大な努力を傾注してきたが、こうした動きがSAPに与える影響はあるか。

 シーベルは独立していたときのほうが強力だったが、1つの分野に特化したことによって、ほかのことができなかったことが、その衰退につながった。オラクルは、旧シーベル、旧ピープルソフト、旧J.D.エドワーズと自社の既存ソフトウェアを組み合わせて、1つの共通プラットフォームと共通コード・ベースを実現する作業に取り組んでいるが、同時に、その開発とは直接関係しない社内のマネジメントにも取り組まなければならない。Fusionを市場に投入するころには、それを売り込む市場はなくなってしまっているのではないか。

──オンラインCRMに関するSAPの計画について教えてほしい。

 当社が心がけているのは、顧客が即座に行動を起こせて、戦略的にビジネスを発展させることのできる“CRMオンデマンド・ソリューション”を提供することである。当社の製品はすべて真のビジネス・プロセスの最適化とCRMを提供できるアーキテクチャの上に構築される。セールスフォース・ドットコムの顧客に尋ねると、導入から運用開始までにかかる時間の短さと価格の手ごろさは気に入っているが、バック・オフィスのシステムやプロセスと統合されていない点には不満があると聞いている。SAPのホスティング型CRMは、30日以内に導入できると私は確信している。

──オラクルとの競争については、どのように考えているか。

 だれもがことの本質を見失っている。オラクルはビジネス・ソフトウェアのどの分野を目指しているのか。同社の中核的なビジネスはどうなっているのか。なぜ、だれもそのことを話題にしないのだろうか。オラクルは、成功しているデータベース事業を足場にアプリケーション事業に進出するという、リスクを伴う決断を下した。同社が本業から目をそらしたために、IBMとマイクロソフトが同市場を大きく浸食しつつある。3方面からの敵と戦って勝ったという例はあまり聞いたことがない。

(マーク L.ソンジニ/Computerworld米国版)






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