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サービス指向の統合を実現する
HPのITマネジメント・ビジョン
進化するITアーキテクチャと管理モデル
(2006年06月10日)
ビジネス環境が激変するなか、変化に対応する柔軟なIT統合とビジネス・プロセス管理を実現するための有力な基盤技術として、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に注目が集まっている。しかし、SOA対応のミドルウェアやツールだけでは、ビジネス変化に対応するサービス指向の統合環境を実現することはできない。ヒューレット・パッカード(HP)は、SOA環境を統合的に管理できるオープンなマネジメント基盤を提供することにより、他社にまねのできない究極のユーティリティ・コンピューティング環境「アダプティブ・エンタープライズ」を実現しようとしている。本稿では、HP OpenViewを核とした同社のITマネジメント・ビジョンの全体像を明らかにする。
オープンなSOA統合マネジメント基盤を提供
企業合併や業界再編などのニュースが、毎日のように新聞やWebメディアをにぎわせている。ビジネスを巡る環境は今、ダイナミックかつスピーディに変化している。こうしたビジネス変化に対応し、IT統合やビジネス・プロセス管理を実現する有力な基盤技術として注目を集めているのがSOA(サービス指向アーキテクチャ)である。
SOAに関しては、すでに対応するミドルウェアやツールが登場しつつある。しかし、こうしたソリューションだけでは、ビジネス変化に対応するIT環境を実現することはできない。それを実現するには、これらのミドルウェアを連携させるための標準技術と、効率的に管理するためのオープンなITマネジメント基盤が必要となる。
HPのSOAに対する基本スタンスは、まさにそうした基盤を提供することにある。自らはミドルウェア製品を提供せず、標準に準拠したパートナー各社のミドルウェア製品を統合し、ITアーキテクチャからアプリケーション、ビジネス・プロセスに至るあらゆるレイヤを効率的にコントロールできるオープンな管理基盤として、HP OpenViewを提供するのである。
同社は現在、Webサービスの標準化団体であるオアシスが進めている分散管理仕様「WSDM(Web Services Distributed Management)」の標準化を、パートナー企業と協力して推進している。
また、SOA製品を提供するティブコやBEAとは、実際にビジネス・プロセスの可視化やコントロール、ITインフラとの相互連携を実現するWSDM準拠のソリューションの共同開発に取り組んでいる。そのほかにも、Webサービス対応のアイデンティティ管理やモデル・ベースの自動化、SOA管理といった最新の技術を積極的に買収し、OpenViewへの統合を進めている。
しかし、HPのITマネジメント戦略は、単にSOAやWebサービスのサポートだけにとどまらない。さらにグリッドやユーティリティ・コンピューティングの究極の姿であるアダプティブ・エンタープライズ環境への対応を展望しているのである。
| 図1:ビジネス・プロセス・モデルによるITデリバリの考え方 |
アダプティブ環境への道筋
HPのITマネジメント戦略の基本的な考え方は、ITをビジネスにとっていかに使いやすいサービスとして提供するかということにある。つまり、ビジネスの目的と戦略に合わせて、最適なビジネス・プロセス・モデルを定義し、それに基づいて、ユーザーに使いやすいITサービスを提供するためのマネジメントとデリバリのプロセスを確立していくというものだ(図1)。
これは、一見すると容易な取り組みのようにも見えるが、ITアーキテクチャを従来のモデルからサービス中心のモデルへと転換するのには、IT業務のサービス化だけでなく、サービス・レベルの管理など、ITマネジメントの見直しが必要になってくる。その一方で、サービス中心モデルの先には、グリッドやユーティリティ・コンピューティングによるアダプティブ・エンタープライズに適用できる新しい世界が広がっていることも忘れてはならない。
ITマネジメントの将来を展望するために、ここではITアーキテクチャの従来と将来の姿を概観してみることにしよう(図2)。
| 図2:「ITアーキテクチャ」の変遷と進化の軌跡 |
まず、最初のメインフレームのアーキテクチャは、クローズドで柔軟性がなく、システムの構築に時間がかかるうえ、一度構築すると変更が難しいという問題があった。その後、PCが普及し、コンピュータの個人利用が一般化するに伴って、クライアント/サーバによる分散化が進展し、システムの構築は柔軟になったが、その管理は逆に複雑化した。Webの登場により、フロントエンド側のクライアント管理の複雑さは緩和されたものの、バックエンド側はそのまま残されるケースも多い。
これらのシステムに共通しているのは、業務ごとにシステムがバラバラに構築され、バラバラに管理される、いわゆるサイロ型のアーキテクチャであることだ。この環境では、たとえ各業務に同じ処理のプロセスがあったとしても、システムとその管理を容易に統合することはできない。当然のことながら、ユーザーの細かなニーズに柔軟に対応することも、ビジネスの変化に機敏に対応することもできない。
これに対し、サービス中心のアーキテクチャは、ITが業務プロセスごとにサービス化されるため、システムの枠を越えてサービスを水平展開したり、プロセスを一元管理したりできる。また、ユーザーはビジネスを優先づけし、重要なプロセスに、高価なリソースを割り当てるといったことも可能となる。このことは同時に、将来的なグリッドやユーティリティ・コンピューティング環境への適用も容易であることを意味している。
アダプティブ・エンタープライズの世界では、CPUやOS、ストレージなどのリソースが完全に仮想化されるため、ユーザーはこれらのリソースをまったく意識することなく、業務の処理スピードやサービス・レベルの監視に集中することができるのだ。
ITマネジメントの成熟モデル
とはいえ、アダプティブ・エンタープライズはあくまでも数年後の将来を見据えた新しい環境であり、完全な環境を実現するまでには、業務プロセスのサービス化、Webサービスへの対応、SOA環境のサポートといった段階を踏む必要がある。
HPでは、アダプティブ・エンタープライズを実現するための運用管理の成熟モデルとして、個別システムのリソースのレベルでビジネスの安定性を確保する「リソース管理」、サービスのレベルでビジネスの効率性を確保する「サービス管理」、ビジネス・プロセスのレベルでビジネス・アジリティ(迅速性)を実現する「ビジネス管理」という3つの段階を定義している(図3)。
同社では、企業ユーザーに対して、まずサービス管理を実現したうえで、段階的にビジネス管理へとレベルを上げていくことを推奨している。CIOは、自社のITとビジネスの関係をきちんと把握し、サービス中心のマネジメントの構築に着手する必要があるだろう。
| 図3:アダプティブ・エンタープライズの実現に向けた運用管理の成熟モデル
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