【 ここから本文 】
ソフトウェア&サービス
ソーシャルブックマークに登録 :
印刷用ページの表示
[世界]
Vistaへのアップグレードによるコスト削減効果が議論の的に
(2006年11月06日)
米国マイクロソフトは、Windows Vistaを製造工程向けに今週リリースし、今月末に企業ユーザー向けに出荷するべく準備を進めている。そうしたなか、同OSにアップグレードすることで、企業がどの程度コストを削減できるのかという議論が高まっている。
ほとんどの企業にとって、Windowsのライセンス費用は、自社のPC上で稼働するOSやアプリケーションの管理費用と比べれば取るに足らないものだ。アナリストによると、管理費用の大半はITスタッフの人件費だという。
マイクロソフトは、セキュリティの強化や強力なインストール・ツール、集中管理機能の改良といったVistaにおける機能強化により、企業はPCの保守作業に要する時間を大幅に短縮することができ、これによって多額の経費が節減できると主張している。
マイクロソフト製品のシステム・インテグレーターであるジェトロニクスのシニア・テクノロジー・アドバイザー、リー・ニコルズ氏によると、Vistaにアップグレードすることで得られるTCO(所有総コスト)の潜在的な削減効果を計算するのは難しいという。また同氏は、アップグレードの直後には、エンドユーザー・サポートの拡充が必要になるため、業務コストが上昇する可能性が高いとも指摘する。
それでもニコルズ氏は、ジェトロニクスが大手企業10社でベータテストのためにVistaの導入を支援した経験に基づき、ユーザー企業はPC 1台当たり年間約320ドルを削減できるとの見方を示している。
だが、ジョージア州フルトン郡政府のCIO、ロバート・テイラー氏は、われわれの組織のように正規雇用のITスタッフを数多く抱えている場合、こうした経費削減効果は「机上の数字」にすぎないと語る。
「われわれは6,000台のデスクトップPCと1,500台のノートPCを管理している。PC 1台につき年間300ドル節約できれば、総額で200万ドルの経費が節減できる計算になる。しかし、この数字の実際の意味は、スタッフを30人削減できるということでしかない。現実には、われわれはそんなことはしない」とテイラー氏。
一方、同氏は、Vistaに搭載されている多くの機能によって自動化や管理の効率化が進み、ITスタッフがそれによって空いた時間をより価値の高いプロジェクトに振り向けることができるようになるとの見方には賛同している。フルトン郡政府ではマイクロソフトのTechnology Adoption Programに参加し、18カ月以上にわたり100台のPCでVistaのテストを実施してきた。
テイラー氏はそうした有益な管理機能の一例として、強化されたイメージ管理サービスを挙げている。この機能は、システム管理者がPCの構成の個別のクローンをバックアップとして作成しておき、必要に応じてエンドユーザーのシステムにVistaとすべてのアプリケーションを電子的に再インストールできるというものだ。テイラー氏は、この機能を利用すれば、ITスタッフがWindowsや各種ソフトを再インストールするために、アトランタを含む総面積1,400平方キロ弱のフルトン郡に散在する200以上の施設を自動車で走り回らなくても済むようになる、と語っている。
さらにテイラー氏は、ユーザーに管理者権限を与えないVistaのUser Access Control機能も高く評価している。同氏は、この機能によりスパイウェア問題が大きく軽減されると考えており、Vistaの導入展開をできるだけ早く開始して、来年中にすべてのPCのアップグレードを完了したいと考えている。
しかし、ガートナーのアナリスト、マイケル・シルバー氏は、マイクロソフトやジェトロニクスが想定するコスト削減効果には大いに疑問があると語る。同氏は、エンドユーザーの多くがソフトウェアのインストール権限などの管理権限を放棄することに抵抗する可能性があるといった問題を挙げている。「ナレッジワーカーたちがソフトウェアをインストールしようとして、IT部門に10分ごとに電話をかけてくるといった事態になりかねない」とシルバー氏。
また、すでに多くの企業はWindows XPでサードパーティ製のセキュリティ・ソフトウェアやイメージ管理ソフトウェアを使っている。シルバー氏は、これらの要因をすべて考慮すると、管理されていないXPシステムをVistaシステムにアップグレードして適切な管理を行うという最も強引なシナリオを採用したとしても、年間のコスト削減効果はPC 1台当たり200ドル程度にとどまるとの見方を示している。しかも、この推計には、移行コストやソフトウェア・ライセンス費用は含まれていないという。
(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)
- 米国マイクロソフト
- http://www.microsoft.com/
- 世界で最も相互運用性の高いLinuxでの標準化
- クラウド時代到来、環境変化に対応する最新IT戦略を徹底検証!
- ミドルウェアの世界の進化を感じよう。Oracle Fusion Middleware Summit




