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[米国]
【ユーザー事例】
“SOA一辺倒”に要注意――SOA導入を漸進的に進める医療保険会社
(2007年01月29日)
SOA(サービス指向アーキテクチャ)をITシステムに適用する企業が増えている。ここで紹介するのも、昨年からSOAの導入に取り組んでいる医療保険会社の事例だ。同社は、さまざまな観点からSOAを評価しながら漸進的にシステム構築を進めている。
ブルー・クロス&ブルー・シールド・オブ・マサチューセッツ(BCBSMA)は、米国マサチューセッツ州ボストンに本拠を置く医療保険会社である。同社は、250万人の保険加入者を対象に各種医療保険サービスを提供している。
BCBSMAは、登録業務や請求業務などに対応する中核的なアプリケーションの大半を今もIBMのメインフレーム上で運用しており、当面ほかのプラットフォームに移行させるつもりはないとしている。ただ、それらのアプリケーションに収められている情報へのアクセス機能を保険加入者に提供するため、昨年からSOAベースのシステム構築に着手した。
BCBSMAの医療サービス・システム提供業務担当バイスプレジデント、フランク・エンファント氏によると、同社ではSOAをアプリケーション開発の1つのアプローチととらえているという。同氏は、先ごろ開催された米国サン・マイクロシステムズ主催のSOA円卓会議で、「SOAの導入にあたっては、適用する業務について十分に検討し、SOAによってシステムがどのように変わるのかをイメージしておくことが重要」と語った。
BCBSMAがとったSOA導入のアプローチは、サンのソフトウェア・スイート「Sun Java Enterprise Syetem(JES)」がベースとなっている。JESにはサンが2005年8月に買収したシービヨンドの技術も使われており、BCBSMAは2000年にシービヨンドのビジネス統合ソフトを、2004年初頭にはJESをそれぞれ導入している。
BCBSMAは当初、既存資産の活用をSOA導入の主な目的としていた。しかし、検討を重ねていく過程で、それにこだわらないことに方針を転換。自社のシステムにとって何が最善かという点に重きを置き、必要ならSOAを否定する意見も取り入れた。これには“SOA一辺倒”に陥るのを避けるというねらいがあった。
SOA導入に向けてBCBSMAが最初に行ったのは、米国エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)やサン、自社のスタッフから構成されるプロジェクト・チームを社内に設置することだった。BCBSMAはかねてから、アプリケーション開発業務をEDSにアウトソーシングするとともに、自社のアプリケーションに最終的な責任を負うシステム・アーキテクトを社内に置いていた。そうした経緯から、JESの提供元であるサンを加えて、専門のチームを結成することにしたのである。
また、BCBSMAは昨年、IT部門とビジネス部門のスタッフを対象に、SOA関連の教育プログラムを実施した。SOAのアプローチが自社のITシステムにどのような影響を与えるのかを社内スタッフに周知させることが必要だと考えたからだ。この教育プログラムはSOA導入の立脚点を与えてくれたと、エンファント氏は言う。
エンファント氏によると、保険金請求管理業務をサポートする医師や医療サービス提供者向けのインターネット・ポータルが昨年6月に完成したことが、SOA導入を具体的に開始するまたとないチャンスになったという。その後BCBSMAとEDSは、保険加入者向けの請求管理ポータルについても開発に着手した。
BCBSMAは現在、医療サービス提供者(医師を含む)、保険加入者、組合、仲介業者、自社のアソシエイトという5つのコミュニティを抱えており、最終的にはすべてのコミュニティで請求管理ポータルが必要になると考えているようだ。
各ポータルに共通する登録機能にSOAを適用する作業はすでに始まっており、現在も続いている。医療サービス提供者と保険加入者向けのポータルが完成すれば、残り3種類のポータルの作成に要する時間とコストを減らせるとBCBSMAでは見ている。
興味深いことに、BCBSMAが作成したSOA導入のロードマップには包括的な計画が含まれていない。「1つの要素を1つの分野に分類整理する必要はない」(エンファント氏)というのが、その理由である。いずれにしても、同社はSOAを“漸進的なプロセス”で導入しようとしている。
BCBSMAは、ビジネス・プロセス管理の部分をSOAに基づいて実装する作業を、早ければ今年半ばにも開始する。また、SOAの導入に際して、経費節減効果や実用化までに要した時間、再利用性などに関する評価基準の策定作業にも着手する予定だ。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
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