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ストレージ仮想化[メリットと手法を確認する]
普及が進み、成熟期を迎えた仮想化技術
(2007年05月24日)
ストレージの仮想化は、もはや最先端技術ではない。今日、すべての主要ストレージ・ベンダーは何らかの仮想化技術を採用しており、一部のベンダーは第3世代、第4世代の成熟した製品を提供している。そして、この技術がもたらすメリットを享受しているユーザー企業も少なくない。本稿では、ストレージ仮想化を実現する技術を整理しながら、現段階における“実力”に迫ってみる。
ティーブ・ノーラル
InfoWorld米国版
ストレージ仮想化のメリット
ストレージ・デバイスの物理的な制限を取り払い、エンドユーザーがあらゆるストレージ・デバイスとつながって業務を進めることを可能にするストレージ仮想化技術は、長らくストレージ管理の切り札として期待を集めてきたが、ここにきて、ようやくその真価を発揮し始めている。すでにIBM、EMC、日立などの大手ベンダーが、自社製品のエンタープライズ・ストレージ技術の核としてこの技術を採用し、技術自体も改良が進んできた。今日、ストレージ仮想化技術を積極的に採用している顧客は、主に大規模SAN(Storage Area Networks)環境を運用する企業であり、顧客自身もその導入方法やROI(投資利益率)の高め方について理解している。このようにストレージ仮想化は、今日、ストレージ管理を巡るさまざまな課題に対処するための基本的なアプローチとして認識されているのである。
ストレージ仮想化は、企業内のあらゆる場所に存在するストレージ・デバイスをまとめて、巨大なストレージ・プールを構築し、そこに格納される情報を動的に管理する技術である。この技術を利用すれば、企業内のあらゆるストレージ・デバイスの空き容量を効率的に利用することが可能となるばかりでなく、将来的に容量を追加する必要性に迫られた場合にも、安価で汎用的なストレージを複数設置すれば用が足りるため、ハードウェア・コストの削減につながる。
複数のストレージをまとめる「ブロック・レベル」の仮想化によって実現する最も重要なサービスは、非中断的な(運用停止が不要な)データ・マイグレーションかもしれない。大規模な企業にとってデータ・マイグレーションは頻繁に行われる業務であるが、ストレージ仮想化技術を用いれば、例えばリース切れなどで新しいストレージを導入する際に、ネットワーク上のサービスを止めることなくデータを古いストレージから新しいストレージへ簡単に移行することができる。これにより、ストレージ管理者はアプリケーションやユーザーに影響を与えることなく、アレイ交換などのメンテナンスを適宜行うことができるようになる。
仮想化技術は、ストレージ・リソースの利用率向上や、迅速なプロビジョニングも実現する。煩雑なLUN(Logical Unit Number)のプロビジョニングと容量拡張の作業などは、仮想化によって大幅に簡略化(場合によっては自動化)することが可能だ。これまで6時間かかっていたプロビジョニングが30分で済み、容量の再割り当てをほぼ瞬時に行えるならば、ストレージ・ハードウェアをかなり有効活用できるはずだ。実際に、ストレージ仮想化を用いることで、ストレージ利用率を25〜50%から75%以上に向上させたという事例も報告されている。
| 図1:ストレージ仮想化のメリット(1)[ストレージ・プロビジョニング] |
SAN環境におけるストレージ仮想化
SAN環境で、ストレージ仮想化サービスを提供する主な方式は、「インバンド・アプライアンス」「アウトオブバンド・アプライアンス」「SPAID」「コントローラ・ベースの仮想化」の4つである。
どの方式/アーキテクチャであっても、すべてのストレージ仮想化システムは、次の3つの作業を行う必要がある。すなわち、「仮想ディスクと物理ストレージのマップおよびその他のコンフィギュレーション・メタデータの保持」「コンフィギュレーション変更およびストレージ管理タスクの命令の実行」、そして「ホストとストレージ間のデータ転送」だ。その際3種類の異なるパスやストリーム(メタデータ、コントロール、データ・パス)をI/Oファブリックで処理する仕組みが、上記4つの方式では異なる。この違いがSAN環境のパフォーマンスとスケーラビリティに影響するとされている。
(1)インバンド・アプライアンス
インバンド・アプライアンスは、メタデータ、コントロール、データ・パスのすべての情報を単一のデバイスで処理することができる。ただし、すべてのホスト・リクエストが単一のコントロール・ポイントを通過しなければならないため、異機種混在のSAN環境では潜在的なボトルネックとなる可能性がある。そこで、インバンド・アプライアンスを提供するベンダーは、この拡張性の潜在的問題に対処するために、高度なクラスタリング/キャッシング機能を自社製品に追加している。また、これらのベンダーは、ほとんどが大手企業のSAN導入事例を有するのが特徴だ。インバンド・アプライアンスを採用する代表的な製品としては、データコア・ソフトウェアの「SANsymphony」、ファルコンストアの「IPStor」、IBMの「SANボリューム・コントローラー」などがある。
(2)アウトオブバンド・アプライアンス
アウトオブバンド・アプライアンスは、メタデータ管理とコントロール・オペレーションをデータ・パスから取り出し、それらを別の計算エンジンにオフロードするというアプローチをとる。難点は、各サーバにソフトウェア・エージェントをインストールする必要があることだ。このエージェントの役割は、メタデータとコントロールのリクエストをデータ・ストリームから抽出し、それをアウトオブバンド・アプライアンスに転送・処理させることで、サーバがストレージとのデータのやり取りに専念できるようにすることだ。アウトオブバンド・アプライアンスの唯一の提供ベンダーは、昨年10月にイスラエルのストアエイジを買収したLSIロジックである。ストアエイジ製品はアウトオブバンド方式、SPAID方式のいずれにも適合できる。
(3)SPAID
SPAID(Split Path Architecture for Intelligent Devices)は、インテリジェント・スイッチのポート・レベルの処理能力を利用して、データパスからメタデータとコントロールの情報をオフロードする。パスをホストで分割するアウトオブバンド・アプライアンスとは異なり、SPAIDはパスをネットワークのインテリジェント・デバイスで分割するのが特徴だ。
また、SPAIDはメタデータとコントロール・パス情報をアウトオブバンドの計算エンジンに転送して処理させ、データ・パス情報をストレージ・デバイスへと渡す。したがって、SPAIDシステムではホスト・レベルのエージェントは不要だ。
一般的に、SPAIDベースの仮想化ソフトウェアは、インテリジェント・スイッチまたはPBA(Purpose Built Appliance:特定用途向けアプライアンス)に搭載され、コントローラの機能を果たす。SPAIDコントローラを提供する主なベンダーは、EMC、インシピエント、LSIロジックである。これらベンダーが提供するSPAIDコントローラはいずれも、シスコシステムズやブロケードなどが提供するインテリジェント・スイッチと組み合わせて導入する必要がある。
(4)コントローラ・ベースの仮想化
かつて仮想化が採用された最も一般的なレイヤはアレイ・コントローラだった。従来のコントローラはストレージ・システム内部の物理ディスクのみを仮想化したが、これも最近変わりつつある。その発展型のアプローチとして、内部ストレージと外部ストレージの両方を仮想化することが可能な仮想化インテリジェンスをコントローラに導入する方式が登場したのだ。コントローラ・ベースの仮想化方式は、インバンド・アプライアンス方式と同様に、データ、コントロール、メタデータの3種類のパスをすべて処理することができる。この新世代のコントローラ・ベースの仮想化を実現するストレージ・アレイとしては、日立製作所の「SANRISE Universal Storage Platform」が代表格として挙げられる。
ストレージ仮想化技術を提供するSAN製品ベンダー各社は、熾烈な競争を展開している。例えば、市場リーダーであるEMCはこの技術に対する注力をさらに強めている。IBMは機能面で他社の先を行くが、まだ改良の余地はある。
今日、ベンダー各社から提供されているほとんどのストレージ製品がストレージ仮想化の基本的機能を備えているが、シン・プロビジョニングやCDP(Continuous Data Protection:継続的データ保護)といった先進機能を備えているのはごくわずかである。
| 図2:ストレージ仮想化のメリット(2)[データ・マイグレーション] |
完全仮想化か、擬似仮想化か、それともOSレベルの仮想化か

