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アプリケーション/デスクトップ仮想化[実現手法とベンダー動向]

データセンターの外では「クライアント管理の簡素化」が仮想化のメリット

(2007年05月29日)

互換性にすぐれたVMによる仮想化

 クライアント・コンピューティングにおける仮想化に対しては、現行のOS上でレガシー・アプリケーションを利用したいといったニーズもあると思われる。こうしたケースでは、従来型の仮想マシン(VM)アプローチが最適な選択肢となるだろう。

 このアプローチは、完全な仮想OS環境内にアプリケーションを隔離するという方式であり、互換性の問題で他の仮想化アプローチでは稼働しないアプリケーションでも利用できるという点が大きなメリットである。

 従来型VMの市場は、ヴイエムウェアとマイクロソフトが支配している。特にヴイエムウェアは、デスクトップ/アプリケーション管理のための仮想化技術の普及を図るベンダー団体「VDI(Virtual Desktop Initiative)」を主導するなど、マイクロソフトを一歩リードしている。

 ヴイエムウェアは、いち早く64ビットCPUに対応したことをはじめ、新しいハードウェア技術を速やかに採用していった。加えて、VMの稼働状態のスナップショットを作成する機能や保存イメージへのロールバックといったヴイエムウェア独自の機能をリリースした。こうした動きは開発者コミュニティに歓迎されたし、この市場における同社の地位を確固たるものとしたが、それ以上に仮想化技術の仕様を積極的に公開する同社の姿勢が、より大きな見返りをもたらすことになると筆者は見ている。

 例えば、同社はVMwareで作成したVMをWindows上で稼働させるためのソフトウェアである「VMware Player」を無料で提供しているが、そのねらいは、VMwareのファイル・イメージをデファクト・スタンダードとすることだと思われる。すでに同社のWebサイトにはビルト済みのVMイメージが多数公開されており、その多くは自由に再配布できる。

 ヴイエムウェアとは対照的に、マイクロソフトは歴史あるデスクトップ仮想化ソフトウェア「Virtual PC」の勢いを弱らせてしまったようだ。同製品は、コネクティックス製品だった当時はVMwareの強力なライバルだった。しかし、最近ようやくリリースされた新バージョンの「Virtual PC 2007」でも、ホストOSとしてWindows Vistaをサポートした以外に目立った強化点は見当たらず、以前として「VMware Workstation」に遅れを取っている状況だ。

ストリーミング技術は
SBCと同様の問題を抱える

 アプリケーション/デスクトップ仮想化分野における注目すべき動きの1つは、シトリックス・システムズの台頭だ。だが、同社の実力はまだ未知数である。サーバ・ベース・コンピューティング(SBC)の市場で長らく支配的なプレーヤーだったシトリックスは、今やアプリケーション仮想化のパイオニアを標榜している。

 この主張が売り込み文句であることを差し引いて考えれば、シトリックスの取り組みが、アプリケーション仮想化をアピールするための戦略に、SoftGridに似たストリーミング技術を組み合わせたものだと気づくだろう。この「Project Tarpon」と呼ばれる同社の新しい技術を、既存製品を構成する無数のプロトコルとプレゼンテーション・レイヤをいかに統合できるかに同社の命運がかかっている。

 また、興味深いことに、シトリックスの経験から、ヴイエムウェアはいくつかの教訓を得ることができる。例えば、クライアント・マシンのサポートが貧弱であることや、クライアント・マシンの可搬性に対して制約があること、バックエンドのハードウェアに対して多大な能力が求められること――こうした要因からSBCの普及が阻まれたが、これらはVDIの実装にも当てはまる弱点であり、一部に関しては問題はさらに悪化している。

 SBCにおいては、単一のターミナル・サーバ・イメージで複数のユーザー・セッションをホスティングしていた。それがアプリケーション仮想化になると、今度は複数のターミナル・サーバに相当するものをホスティングし、それらが個々にRDP(リモート・デスクトップ・プロトコル)接続のクライアントに対してアプリケーションのストリーミング配信を行う形になる。この変化の影響は非常に大きく、同等の負荷をサポートするために必要となるハードウェアの性能はSBCの10倍にもなると予想される。

 シトリックスが仮想化技術で自己変革に取り組んでいるように、ワイズ・テクノロジーやネオウェアといったアプリケーション・ストリーミング製品を提供するベンダー、あるいはRDPやICA(Independent Computing Architecture)といったプロトコルも新たな活躍の場を模索している。しかし、いずれは、シトリックスの芝生がそれほど青くないことに気づくことになるかもしれない。

製品の多様化が進む
クライアント向け仮想化

 一般的には、ある製品領域が成熟してきたときには、他の製品の機能を補完するような製品が登場し、その領域の中で製品間のエコシステムが確立されるという現象が見られる。

 アプリケーション/デスクトップ仮想化領域においては、まさにそうした状況が訪れているところであり、この製品領域が活気づいていることが理解できる。

 その一例が、キダロの「Managed Workspace」(画面1)である。これは、従来はVM上で稼働していたアプリケーションをホストOSに統合するためのラッパーとして機能するソフトウェアで、VMwareおよびVirtual PCのいずれとも連携して動作する。キダロは、従来のVMを管理性のすぐれた「ワークスペース」とすることで、通常のデスクトップ・アプリケーションとVM上のアプリケーションの差をさらに小さくすることにに成功した。


画面1:キダロの「Managed Workspace」が稼働するWindows XPの画面。枠がグリーンに色取られたウィンドウがVM上で稼働するアプリケーションである。通常のWindowsデスクトップにシームレスに統合されている

 ほかにも、この分野の明るい未来を示す兆候がある。例えば、すでにSoftGridはActive Directoryとの統合が可能となっている。そのため、SoftGridをWindowsクライアントの導入オプションにするには、SoftGridクライアントを次期リリースのWindowsクライアントOSに含めるか、Service Packの一部としてリリースするだけで済むはずだ。

 これは、従来のWindowsクライアントから、アプリケーション/デスクトップ仮想化環境への明確な移行パスを探している企業にとっては、非常に魅力的な選択肢となるだろう。


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