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【インタビュー】
「BI 2.0を推進して“情報の民主化”を実現する」――ビジネスオブジェクツCEOのシュワルツ氏
EPM製品の強化やSaaSによる提供で、ユーザー層と情報源の拡大を目指す
(2007年06月08日)
ビジネスオブジェクツが提唱する新コンセプト「BI 2.0」。そこでは、さまざまなユーザーが、まるでOfficeやGoogleアプリケーションを使うような感覚でBIツールを活用することが想定されている。編集部は先ごろ来日した同社CEO(最高経営責任者)のジョン・シュワルツ氏にインタビューし、BI 2.0がもたらす価値や同社の戦略について聞いた。
河原 潤
本誌編集長
──BI 2.0というBIの次世代コンセプトは、Web 2.0にならったものか。
シュワルツ氏:そのとおり。BI 2.0はWeb 2.0の動きを深く反映している。BI 1.0は限られた層のユーザーのためのツールだったが、今後はより多くの、さまざまな職種の人々がBIにアクセスし、コラボレーションを行い、インタラクションをとれるようになる。そして、情報源もこれまで以上に多くの種類に対応していく。さまざまな観点からのインテリジェンスが集約されたことで大きな価値が生まれ、種々の問題解決に利用することが可能になるという世界だ。
| 「BI 2.0では、ネットワーク、ユーザー、コミュニティ、アプリケーション、プラットフォームという5つの領域で革命が起きる」と話すシュワルツ氏 |
BIを活用するエンドユーザー層の拡大
──事業部門のマネジャーなども、積極的にBIを活用する時代に入っているということか。
シュワルツ氏:事業部門のマネジャーもそうだし、ITとは縁遠いCIO以外の経営層もそうだ。近年、当社ではCFO(最高財務責任者)向けのEPM (全社的業績管理)製品にも力を入れている。従来型のBIは主にCIOの業務にフォーカスしており、CFOにとっては十分使いこなせるようになっていなかった。クエリを投入したり、リポートを生成したりといった操作に、少なからずITの知識が求められたからだ。
現在、2つの方向性をもってBIの利用の幅を拡大している。1つは、今述べたCFO向けのEPMで、財務分析、コンプライアンス計画などを含む用途だ。2つ目は、BI自体をより広範な層のエンドユーザーの業務に役立ててもらうというベクトルだ。それには、ITスタッフの手を借りることなく、エンドユーザーみずからが必要なときにBIを活用できるような製品が求められる。これは、日本では5月23日に発表した「XI Productivity Suite」の提供で実現している。この製品を使えば、エンドユーザーは社内の情報だけではなく、社外の情報も取り込んでそれぞれの業務に利用できる。
経営層はもちろん、従業員、コンサルタント、顧客、サプライヤーなどさまざまな人がBIのメリットを享受できるようにする。いわば「情報の民主化」であり、これは人々の仕事や生活をより円滑に、快適なものにしてくれる。
IDD、EPM、EIMの3分野で魅力的な製品を投入
──ALGソフトウェアやSRCソフトウェア、そして今年4月に発表されたカルテシス。EPMベンダーを相次ぎ買収し、この分野への取り組みを強めている理由は。
シュワルツ氏:特にEPMだけに偏って注力しているのではなく、当社がIDD(Information Discovery and Delivery)と呼ぶBI基盤、EPM、EIM(Enterprise Information Management)の3分野それぞれで、ユーザーのニーズを満たす魅力的な製品をそろえている。以前、EPMだけは当社が十分にカバーできていない分野だったので、不足していた製品や機能を3社の買収で補った格好だ。特にカルテシスの買収により、業界最高のEPMソリューションを提供することが可能になったと確信している。
──EIM製品の拡充も進めているが、こちらはどのような分野なのか。
シュワルツ氏:CFOに向けたEPMとは対照的に、EIMは情報の統合に主眼を置く分野である。今日、企業内にはさまざまな種類のデータや情報が分散して存在している。ある情報はExcelの表計算ファイルに書いてあったり、ある情報は大規模なRDBMSに保存されていたり、ある情報は財務アナリストが使う解析システムのキューブの中に格納されていたりという具合だ。あるい、顧客の持つファイルに必要な情報が入っているかもしれない。
EIMは、そうした情報源の種類や場所にかかわらず、データを取り込んで統合し、しかも、データ・クレンジングによってデータの価値や品質、正確性を高めることを可能にするソリューションだ。また、情報の統合に加え、情報のフェデレーション(連携)もEIMの一側面である。
SaaSへの取り組みと中堅市場向け製品の強化
──「Crystal Reports」のオンライン版である「crystalreports.com」サービスの提供やエヌサイト・ソフトウェアの買収など、SaaS(Software as a Service)に積極的なベンダーという印象がある。SaaSはビジネスオブジェクツの戦略の中でどのような位置づけにあるのか。
シュワルツ氏:crystalreports.comは、サービス開始後1年2カ月で4万6,000ユーザーを獲得している。米国を中心に展開しているサービスだが、実は企業ユーザーの最大手は日本のある企業である。SaaSは当社にとって今後も大変重要なチャネルであり続けるし、特に小・中規模市場においてはメインの提供媒体になるのではないかと思っている。
──基盤となる「BusinessObjects XI」のSaaSでの提供はありえるのか。
シュワルツ氏:将来的に提供する予定である。今、それを検討している段階だ。
──2月には、中堅企業向けに、「Business Objects Crystal Decisions」の「Standard Edition」をリリースしている。この市場でのBIに対するニーズの高まりにこたえたものと思うが、どのような要因が後押ししているのか。
シュワルツ氏:すでに当社のビジネスの3分の1は中堅市場で、エンタープライズ市場よりも速いスピードで成長している。それはもちろん、これまでの普及率が低かったからだが、中堅市場の顧客がBIの価値を認識し、積極的に導入し始めている。
この中堅市場では、インストールのしやすさ、使いやすさ、専任のITスタッフが不在でも利用可能、といった点が重視される。つまり、これらの要素がきちんとパッケージングされていることが大事なのだ。Crystal Decisionsは、その点も十分に配慮された製品だ。中堅市場向けとして提供するエディションは、間接販売がメインとなるので、販売パートナーにとって再販のしやすいパッケージであることにも配慮している。
Crystal Decisions Standard Editionは、当社がIDD(Information Discovery and Delivery)と呼ぶ基本的なBI機能に特化した製品となる。そして年内に、EIM、EPMにも対応した中堅市場向け製品の販売も予定しており、この市場のユーザーに包括的なBIソリューションを提供できるようにする。
「当社は、あらゆるデータ・タイプとエリアに対応できる」
──近年、オラクルやマイクロソフトがBI分野への注力を強めている。また、4月にはHPがデータ・ウェアハウス・プラットフォームを発表し、BI市場への本格参入を果たしている。こうした大手ベンダーの動きをどう見ているのか。
シュワルツ氏:彼らの場合、いずれもポイント・ソリューション型の市場参入であり、包括的なBIポートフォリオを持っていない。例えば、オラクルのBI製品は、常にOracle Databaseに格納されているデータに主眼が置かれているし、SAPの場合は、同社のアプリケーションで生成された情報にのみ関心が払われている。
だが、今日の企業が扱うデータ・情報の量を考えると、これらのアプリケーション・ベンダーがBIのために扱うデータは全体のほんの一部にすぎない。より多くのデータやアプリケーションは彼らの製品以外のところに蓄積されているのだ。われわれはそれらもすべて扱うことができる。また、社内のみならずインターネット上など、外部のデータにも対応できる。特定のアプリケーションやデータの種類、そしてエリアにもまったく縛られていない点が当社の強みだと言える。


