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ビジネス・インテリジェンスを使いこなせ!

どんな技術があるかではなく、どんな利用法があるかを考える

(2007年07月06日)

ダウンサイジング・ソリューション

 「簡素化をデータだけの問題で終わらせてはならない」と指摘するのは、石油精製会社バレロ・エナジーのリポーティングおよびファイナンス担当ディレクター、カーク・ヒューイット氏だ。BIツールも同様に簡素化しなければならない──というのが、同氏の主張なのである。

 バレロでは、企業統合から10年たった時点でも、5種類のBIツールが利用されていた。すでにそのときには、共通のERPシステムや財務管理システム(経理管理一覧ソフトなど)、顧客管理や石油精製情報に関する統合データベースなどを導入することによって、データ環境の簡素化が実現していたにもかかわらず、である。

 つまり、その時点で、同社では「マスター・データ管理とソース・データのクリーニングには大きな効果があることを十分に認識していた」(ヒューイット氏)のである。

 しかしながら、それでもなお社内に複数のBIツールが存在していたのは、それまでの経緯から部門ごとに異なる分析手法が採用されていたことによる。そのため、同じデータから異なる結果が導き出されることも少なくなかった。「2つの部署から同じ情報が要求され、2つの異なるツールでリポートが作成された結果、まったく異なる回答が出る」(ヒューイット氏)ことも珍しくなかったのである。

 そこで同氏は、5つのツールをインフォメーション・ビルダーズの1つの製品に統一することを経営陣に提案した。ライセンス料と保守費用の削減によって、2年以内に統合化のコストを回収できることを経営陣に示すことで、提案の妥当性を納得させたのである。

 これにより、「さまざまな数字の違いに頭を悩ませることなく、アナリストはリポートの分析に没頭できるようになった」(ヒューイット氏)という。

 BIに関してもう1つ犯しがちなのは、「分析するデータがすべてデータ・ウェアハウスになければならない」という勘違いだ。オラクルのBIツールを利用しているマートンズ氏が言うように、「今日のBIツールは、あらゆるデータ・ストアをカバーしているため、必ずしもそうである必要はない」のである。

 金属製造販売会社のヒルマン・グループでCIOを務めるジム・ホナーカンプ氏も、マートンズ氏の意見に同調する。

 「(インフォメーション・ビルダーズのツールを実装した)われわれは、データ・ウェアハウスをまったく利用していない。われわれは(財務や出荷などの)トランザクショナル・システムをサポートするデータベースに直接アクセスしている」(同氏)

 もっとも、だからといって、データ・ウェアハウスや旧来のデータ・ストアにまったく出番がなくなったというわけではない。BIツールがどれだけ進化しようと、データは「とにかくどこかにストアする必要がある」(フォレスターのエベルソン氏)からだ。

 問題は、どこ──データ・ウェアハウスか、データベースか、あるいはキャッシュか──にストアするかだが、それは、データのタイプによって判断すればよい。

 バレロの場合、ヒューイット氏が開発したBIアプリケーションは、トランザクショナル・データについてはSAP Business Warehouseと、人事などの機密情報については直接SAP R/3と、財務データについてはオラクルのデータ・ウェアハウスと、そして部門データについては各種のSQLデータベースとやり取りするようになっている。

 こうしたことにより、「クリーンアップやロールアップのためにデータをソースからウェアハウスへ取り込み、そのあと分析を実行する必要はなくなった」(同氏)のである。

 いずれにしろ、BIツールのためにすべてのデータを中間形式に変換するという行為は、コストがかさむだけでなく、複雑さを増長し、関連づけされたメタデータやリレーションシップを失うリスクを増大させるという点で、好ましくないと言える。

BIに関するIT部門の課題

●IT部門におけるBI関連の優先課題はデータ品質の改善(50%)がトップで、オペレーショナル・システムからのデータ統合(37%)、BIソフトと既存ITインフラの統合(33%)の順でそれに続く。

BIをオペレーションに組み込む

 最近はベンダーもユーザーも、いわゆる“オペレーショナルBI”に夢中になっている。これは、ビジネス・プロセスに分析を“インライン”する手法として知られるが、価格や製造計画の変更につながる供給業者の通常とは異なるアクティビティを発見したり、利益率の低い製品の想定外の売上げをキャッチして、マーケティング、販売、あるいは流通のどこに問題があるのかを指摘したりといったことにも使える。

 ビジネス・オブジェクツなどのベンダーは、今後、あらゆる種類のプロセスやワークフローにフックすることで変則性や変化のトレンドを監視し、ビジネス・ルール・エンジンを用いて、関係者にアラートを発するだけでなく、自動的に調整を行ったりするようなBIエンジンの登場を予想している。

 「(BIを)すべてのアプリケーションにまたがる1つのレイヤとして考えている」と語るのは、ビジネス・オブジェクツのコーポレート製品マーケティング担当上級副社長、ジェームス・トーマス氏だ。また、コグノスのプラットフォーム戦略および技術担当副社長、ドン・キャンベル氏によると、同社も同じようなビジョンを持っているという。

 言うまでもなく、上に挙げた両社は、さまざまなソフトウェア製品を開発・販売しているベンダーだ。となれば、確かに、独立したBIレイヤを追加するよりは、BI機能をアプリケーションに搭載したほうが効率的かもしれない。事実、ここにきて、そうした仕組みが必要とされるようになってもきているのだ。

 市場調査会社オーバムのBIアナリスト、イアン・チャールスワース氏によると、最近、トランザクション分析機能を埋め込んだERPやSCM、その他のビジネス・アプリケーションが増えつつあるという。

 しかし、特定用途向けソリューションには限界があることも認識しておく必要がある。「例えば、顧客収益性のようなリポートをクロス・プロセス・ビューにまとめるERPアプリケーションは存在しない」と、デロイトのソグネフェスト氏は指摘する。

 オペレーショナル・ビューを表示する方法の1つは、ダッシュボードを用いることだ。しかし、ワコビア銀行の統計・モデリング担当上級副社長、ダン・ソープ氏は、「ダッシュボードごとに、フードの下に異なる測定基準が組み込まれる可能性があるが、そうなった場合、それが共通の理解を阻害する原因になりかねない」と指摘する。

 問題は、ダッシュボードがどのようなやり方で配備されるかだ。IT部門も測定基準がわからないようなブラックボックスであったり、不満を持つユーザーが部門レベルで持ち込んだツールであったりした場合、ビジネスの動向に関して一貫性のない結果が表示されるおそれがある。そうすると、「だれもが欲しいものを手にすることができる。そして、次にはだれが正しいかの議論が始まる」(ソグネフェスト氏)ことになってしまうわけだ。

 PHHアーバルのコーリガン氏も、それと似たような観点から、「ダッシュボードには、優れた例より悪い例のほうが多い」と指摘する。

 ダッシュボード、KPI、各種リポートなどの場当たり的な導入は、全社をカバーするBI戦略がないか、あっても失敗する場合の典型的な兆候だと言える。「BIに関する責任は組織の運営委員会にある。だが、同委員会におけるBIの優先順位はさほど高くない。そのため、導入した技術は陳腐化し、組織に硬直化や混乱をもたらす原因になる」とソープ氏は警告する。

 一方、IT部門にとって悪いニュースは、ローカルな分析手法がWebベースのツールや一般的なビジネス・ツールとして、企業内に浸透しつつあることだ。パーソナル分析ツールとして長く利用されてきたマイクロソフトのExcelは、いまのままでも、同じ情報をさまざまな視点から分析することができる。

 ところが、マイクロソフトは2006年4月、分析ソフトウェア・ベンダー、プロクラリティを買収した。このプロクラリティのパワフルなBI機能を搭載した新しいExcelサーバが企業に配備されるようになれば、「事態はさらに悪化する」(オーバムのBIアナリスト、マイク・デイビス氏)ことになりそうだ。

 このジレンマに陥りかけたのが、不動産販売会社のゼネラル・インベストメンツ・アンド・ディベロップメントである。同社では、何人かの財務アナリストたちがそれぞれ独自のExcel計算式で内部収益率などを計算していたため、一貫性のない投資判断が横行していたのだ。

 しかし、同社のCIO、シャウン・マホネー氏はExcelの利用を制限するのではなく、OutlookSoftを導入することで、この問題を解決へと導いた。OutlookSoftはExcelを分析エンジンやデータベースのフロントエンドとして利用するもので、すべての人々が投資判断などの際に同一のデータ・モデルを用いるよう促すことができる。「これによって、全員が利用できる標準プロセスを確立することができたわけだ」と、マホネー氏は胸を張る。


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