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【インタビュー】
BEAのCTOに聞く、SOA導入“成功のカギ”

ビジネス・プロセスとアプリケーションを分離し、変化に強いシステムを構築する

(2007年08月29日)

「ビジネス・プロセスとアプリケーションを分離し、SOA(サービス指向アーキテクチャ)で変化に強いシステムを構築する」というアプローチを提唱するBEAシステムズ。同社は、現在、SOAをより効果的に導入するためのさまざまな製品・サービスを展開している。編集部は先ごろ来日した同社エグゼクティブ・バイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)のロバート・レビー氏にインタビューし、同社の製品戦略について話を聞いた。

大川 亮
Computerworld編集部

──現在、アプリケーション開発において企業が直面している課題とは何か。
米国BEAシステムズ エグゼクティブ・バイスプレジデント兼CTO ロバート・レビー氏

 従来、多くの企業が、水平統合が困難な、ベンダー・ロックインによる垂直型のアプリケーション開発を行ってきたわけだが、ここにきて、ビジネスの生産性向上に向けて部門内で完結していたシステムを全社横断的に連携させることの必要性が叫ばれるようになり、SOAを導入して部門間、あるいは企業間で利用できるアプリケーションの開発に注力する企業が増えてきた。

 そうした企業を、われわれは「リキッド・エンタープライズ(流動的な企業)」と呼んでいる。リキッド・エンタープライズの特徴としては、「アプリケーションとは本来変化していくもの」という前提の下、コンポジット(複合)型のアプリケーション開発を行っていることが挙げられる。

 ポイントは、従来の機能主導型のアプリケーションから、ビジネス・プロセス駆動型のアプリケーションへ変革すること。それを実現するためには、ビジネス・プロセスとアプリケーションを完全に分離する必要がある。

──そのようなアプリケーション改革を促進するにあたって、BEAではどのようなプラットフォームを提供しているのか。

 BEAでは、SOAシステムの開発・運用環境を実現する統合プラットフォームとして「SOA 360°」を提供している。SOA 360°では、BEAの「AquaLogic」「Tuxedo」「WebLogic」の3製品、サードパーティ製品の各コンポーネントを単一のプラットフォームに統合したアーキテクチャ「microService Architecture(mSA)」をベースにSOAシステムが構築される。また、それらの設計・管理・分析は、統合作業/ツール環境の「WorkSpace 360°」で行われる。WorkSpace 360°では、システムの変更・調整などをユーザー自身で行えるのが特徴だ。

SOA 360°プラットフォームの概念図

 mSAは「SOAの上に乗ったBEA」と考えてもらいたい。BEAが提供する製品のほとんどは、疎結合可能なコンポーネントとしてmSA上で共有され、継続的に再利用することができる。来年度の終わりには、BEAの全製品がmSAアーキテクチャ上で稼働する予定だ。

 ちなみに、BEAが提供するすべてのミドルウェア製品は、オープンとスタンダードという当社のアプローチに基づき、業界標準のアーキテクチャを採用している。つまり、顧客だけでなく、サードパーティや競合他社にもオープンとなっている。

──WorkSpace 360°について詳しく伺いたい。

 SOA開発のライフサイクルには、プログラマーおよびSE、運用管理スタッフ、ITアーキテクト、ビジネス・アナリストなど、さまざまなステークホルダーが存在する。WorkSpace 360°は、そうしたSOA開発にかかわるすべてのユーザーに対して、mSAに基づいて統合されたBEA製品群の設計・管理・分析インタフェースと、共通のリポジトリ、ロール・ベースの作業/ツール環境を提供するものである。

 WorkSpace 360°のライフサイクルでは、まず、ビジネス・アナリストがビジネス・プロセスやSLA(サービス・レベル契約)、ROI(投資利益率)などの定義を行い、ITアーキテクトやプログラマーによって定められた要件がアプリケーションに盛り込まれる。そして、開発されたアプリケーションはIT部門によって管理され、SLAなどの要件を満たしているかどうかをビジネス・アナリストに対してフィードバックすることになる。こうした「閉じられたループ」の環境では、ビジネス・プロセスとアプリケーションは完全に分離されており、従来の機能主導型のアプリケーションは、ビジネス・プロセス駆動型アプリケーションへと変革されることになる。

──プロセスやデータの統合をサポートする製品としては、どのようなものがあるか。

 BEAではシステム統合向けのミドルウェア製品を2種類用意している。1つが、SOA対応のBPM(ビジネス・プロセス管理)ソフトウェア「AquaLogic BPM Suite」だ。ビジネス部門での利用を想定した製品で、常に変更されるビジネス・プロセスの作成、実行、最適化を支援するための各種機能を備える。もう1つが「WebLogic Integration」。これはIT部門を対象に、あまり頻繁に変更されないプロセスの管理に特化した統合製品として提供している。

 ほかにも、データ統合向けの製品として、データ・アクセスやデータ更新に関連するロジックを単一の場所で提供する「AquaLogic Data Services Platform」や、異種混在環境におけるSOA構築でサービスの接続・管理をサポートする「AquaLogic Service Bus」などを提供している。いずれの製品も用途によって使い分けることになる。

──その他のWebLogicファミリーについて伺いたい。

 BEAは、昨年から今年にかけて、WebLogicおよびJavaプラットフォームの分野において、いくつかの革新的な製品をリリースした。その1つが、仮想環境向けのアプリケーション・サーバ「WebLogic Server Virtual Edition」だ。同製品は、BEA独自のJava VM「JRockit」をベースとしており、ほとんどの場合、OSなしでJavaアプリケーションを論理サーバ上で稼働させることができる。これにより、サーバの使用効率を大幅に改善することが可能になる。

 また、複合イベント処理(CEP:Complex Event Processing)向けサーバ「WebLogic Event Server」と、リアルタイム性が求められるJavaアプリケーションの実行環境「WebLogic Real Time 2.0」も投入した。当社では両製品を「XTP(eXtreme Transaction Processing)」と呼ばれる高速かつ大容量のトランザクション処理環境におけるソフトウェア・インフラストラクチャと位置づけている。いずれも、金融サービスや物流ビジネスなど、大量かつ複雑なデータをリアルタイムに処理することが求められる環境においてイベント駆動型の「Event-Driven SOA基盤」を構築するのに有効な製品だと言える。

 ほかにも、RFID(Radio Frequency Identification)構築向けのエッジ・サーバ「WebLogic RFID Edge Server」を提供することで、Java環境をエッジ・コンピューティングにまで拡大し、RFIDなどのアプリケーションとバックエンドのJavaアプリケーションをシームレスに連携させることを可能にしている。

──技術革新が進むソーシャル・コンピューティング技術については、どうとらえているのか。

 現在、YouTubeやFacebook、del.icio.usといった、いわゆるWeb 2.0系のサービスが注目を集めているが、BEAでは、そうしたソーシャル・コンピューティング技術をエンタープライズの領域で活用することを目指し、約2年前から研究を進めてきた。

 というのも、ユーザー参加の概念を持つソーシャル・コンピューティング技術と、SOA/BPMの技術を協調させることで、ユーザビリティ向上とガバナンス強化を図りながら、流動的なコラボレーションを企業内外で実現することが可能になるからだ。

 それを具現化するものとして、今年7月に満を持してリリースしたのが「AquaLogic Pages」、「同Ensemble」、「同Pathways」の3製品だ。いずれも、ユーザーがAquaLogicを用いて業務システムを構築する際、マッシュアップやタギング、ウィジェットといった、ソーシャル・コンピューティング分野の代表的な技術や機能の利用を可能にするものとなっている。

──それらを利用することで、どのような問題が解決されるのか。

 Webサービスの開発現場では、サービスの再利用がうまくいかないという問題に直面するケースが少なくない。つまり、過去にだれがどのサービスを、どのような理由で利用したのかがわからないため、サービスを再利用する際、それが有用なサービスなのかどうかを判断することができないのだ。再利用可能なサービスが見つからないたびに新しく開発していては、効率性を高めるというSOAの元来の目的が損なわれかねない。

 そこで、例えば、AquaLogic Pathwaysのタギングやソーシャル・ブックマーキングの機能を使って、「だれがどのような目的で開発したのか」「どのような用途に有効か」といった情報をサービスに付加すれば、開発者はSOAのライフサイクルの中で、必要とするサービスを簡単に探し出せるようになる。

 米国では、すでに多く企業のCIO(最高技術責任者)によってソーシャル・コンピューティングの概念を受け入れられつつある。ソーシャル・コンピューティング技術をうまく活用すれば、企業のIT部門を、技術プラットフォームを構築する部署から、ビジネスのイノベーションを促進する部署へと変革することができるはずだ。




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