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仮想化

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【VMworld 2007リポート】
技術革新の余地を多く残す仮想化
――ヴイエムウェアが示す、その“現在と未来”

仮想化の技術革新を加速させ、市場へのより大きな貢献を目指す

(2007年10月19日)

2007年9月11日〜13日(米国時間)の3日間、米国サンフランシスコのモスコーニ・コンベンション・センターで、米国ヴイエムウェア主催のユーザー・コンファレンス「VMworld 2007」が開催された。サーバ統合、ITリソースの最適化など、さまざまなメリットがうたわれる仮想化技術に関する一大イベントとして、会期中には仮想化関連ベンダー各社からさまざまなセッションおよび展示会が行われた。以下では、基調講演でヴイエムウェアのキー・パーソンが示した仮想化技術の“現在と未来”と、同社の仮想化技術に関する最新戦略についてリポートする。

山上朝之
Computerworld編集部

“仮想化ブーム”で大幅に規模が拡大したVMworld

 SaaS(Software as a Service)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)、エンタープライズ検索など、これからの企業ITを支えるさまざまな技術が今、業界で熱い視線を浴びている。その中でも、仮想化は、近年注目度が急上昇している技術の1つと言える。

写真1:ダイアン・グリーンCEOは、「仮想化の技術革新は始まったばかり」と基調講演で語った

 仮想化技術への業界全体における関心の高まりは、VMworld 2007の参加者数を見れば一目瞭然だ。VMworldは今年で4回目の開催となるが、昨年の参加者数が約6,500名であったのに対して、今年は実に1.5倍の規模となる1万800名が参加した。スポンサー数は89社から147社へ増加、取材に訪れた報道陣の数も100名以上と昨年比で倍増している。

 特に今年は、VMworld開催直前に仮想化関連のビッグ・ニュースが相次いだ。まず、ヴイエムウェアが今年8月にIPO(新規株式公開)を実施したのに続き、その発表の直後には、米国シトリックス・システムズが企業向けサーバ仮想化ソフトウェア「XenEnterprise」の開発・提供元である、米国ゼンソースを買収すると発表。仮想化が今後の企業ITを支える技術として、いかに有望であるかを強く印象づけた。

目玉は超軽量な仮想化ソフト「ESX Server 3i」

 VMworld 2007の開幕にあたって、ヴイエムウェアの共同創業者であり、社長兼CEOを務めるダイアン・グリーン氏(写真1)が、基調講演のスピーチの中心にすえたのは、開幕前日(9月10日)に発表されたハイパーバイザ型仮想化ソフト「ESX Server 3」の新版「ESX Server 3i」であった。ESX Server 3iは、仮想化機能をわずか32MBに集約するという、超軽量化を図ったものだ(図1)。


図1:サービス・コンソールを含む従来型ESX ServerとESX Server 3iの違い

 従来のESX Server 3では、仮想化機能をつかさどる専用カーネル「VMkernel」に加えて、制御用インタフェースの役割を果たす「サービス・コンソール」が必要であった。サービス・コンソールは、「Red Hat Enterprise Linux 3」をベースにしており、その容量が2GBにも及んでいた。

 ESX Server 3iでは、サービス・コンソールを不要にしたことで、ESX Serverのサイズを98%削減し、わずか32MBの容量に抑えることに成功した。「32MBという小さいサイズであるため、USBメモリなどから起動でき、サーバへの導入も容易だ」と、グリーン氏も軽量化のメリットをうたっている。実際、基調講演ではUSBメモリに格納されたESX Server 3iを使って、デルのサーバから2分程度で仮想環境を起動してみせるデモンストレーションを披露した。また、会場では、ESX Server 3iを格納したUSBメモリを来場者に配布していた(写真2)。

写真2:来場者に配布されたハイパーバイザ型仮想化ソフトの新版「ESX Server 3i」のベータ版が格納されたUSBメモリ

 ESX Server 3iはサーバ・ベンダーにとってもビジネス・チャンスを創出する。同製品では、ヴイエムウェアが用意するサービス・コンソールに依存しない仮想環境を構築できるようになった。そのため、仮想化機能を組み込んだサーバを提供できるようになるわけである。すでにデル、ヒューレット・パッカード(HP)、IBM、富士通、NECなど複数のサーバ・ベンダーが仮想化機能組み込み型のサーバを発売する意向を表明している。ESX Server 3iのリリースは今年末が予定されているが、仮想化機能組み込み型サーバも同時期にリリースされる予定だという。

仮想化機能の強化を目指した注目すべき3つの発表

 ESX Server 3iがVMworld 2007の目玉ではあったが、そのほかにも、いくつかの注目すべき発表が行われた。

 新製品としては、デスクトップ仮想化ソフトウェア「Virtual Desktop Infrastructure(VDI)」の機能を拡張するソフト「VMware Virtual Desktop Manager 2(VDM2)」およびディザスタ・リカバリ(DR)管理ソフト「VMware Site Recovery Manager(SRM)」、戦略面では仮想化管理ベンダーのデューンズ・テクノロジーズを買収したことを発表した。

■Virtual Desktop Manager 2

 VDIは、サーバ上に各クライアントのOSとアプリケーションを仮想マシンとして動作させ、ネットワークを経由してシン・クライアント・マシンで利用できるようにするものだ。新製品であるVDM2は、今年4月にヴイエムウェアが買収した英国プロペロの技術を利用したものである。

 プロペロは「Workspace for VMware」という製品名で、クライアントと仮想マシン間の接続管理を行う「コネクション・ブローカ」を展開してきた。従来であれば、シン・クライアントとサーバ側の仮想マシンとの接続管理を行うには、サードパーティからコネクション・ブローカの提供を受ける必要があったが、プロペロの買収により、ユーザーは同機能をデフォルトで利用できるようになる。

 ヴイエムウェアのプロダクト・マーケティング部門でシニア・ディレクターを務めるボゴミール・バルカンスキー氏(写真3)は、VDM2の機能について、「シン・クライアントから仮想マシンへアクセスする際に、空いている仮想マシンを探すなど、各クライアントへ適切な仮想マシンを割り当てることができる」と語っている。

写真3:プロダクト・マーケティング部門のシニア・ディレクター、ボゴミール・バルカンスキー氏

 デスクトップ仮想化市場では、シトリックスもOSストリーミング機能や仮想デスクトップ機能を備えた「Citrix Desktop Server」とゼンソースの仮想化技術「Xen」を統合し、買収効果による製品展開の強化を目論んでいる。ヴイエムウェアとシトリックスの両社は、デスクトップ仮想化市場が今後大きく拡大していくという見解では一致しており、ヴイエムウェアにとってシトリックスは新たな競合となる。

 この点について、グループ・インタビューに応じたエンタープライズ・デスクトップ部門のシニア・ディレクターであるジェリー・チャン氏は、「シトリックスは脅威にはならない。製品も当社のほうがすぐれていると確信している。仮に、シトリックスとヴイエムウェアの製品を横に2つ並べてみれば、ユーザーは間違いなくヴイエムウェアを選ぶだろう」と、市場リーダーとしての自信を見せた。なお、VDM2は今年末のリリースを予定している。

■Site Recovery Manager

 SRMは、2008年初めにリリースが予定されているDR管理ソフトである。

 ヴイエムウェアはこれまでも仮想マシンの高可用性を実現するソフト「VMware HA」を提供してきている。同ソフトは、各ESX Serverが稼働している物理サーバの状態を監視し、ネットワーク障害やハードウェア障害など、仮想マシンの稼働にかかわる障害を検知すると、障害のある物理サーバ上で動作していた仮想マシンを停止させ、他のESX Server上で再起動を行うというものだ。

 グリーン氏は、日本の報道陣とのグループ・インタビューでVMware HAについて、「これで十分だとは考えていない。より高い可用性を実現するイノベーションの余地は残っている」と答えている。SRMは、こうしたグリーン氏の発言を現実のものにした一例と受け止めることができるだろう。

 SRMは、遠隔拠点に仮想マシンをコピーし、仮想化されたサーバの一元管理を可能にする「VMware VirtualCenter」を通して、遠隔拠点の仮想マシンを管理できる。これにより、DRサイトの構築を容易にしている。またSRMは、DRのシステム復旧に伴い発生する、手作業による設定・操作を自動化および簡素化したことで、復旧にかかる時間を数日から数時間に短縮することが可能という。

 基調講演では、米国メイン州のボードン大学とカリフォルニア州のロヨラ・メアリーマウント大学間において、ブレード・サーバとヴイエムウェアを利用したDRの具体例が、グリーン氏から示された。

■デューンズ・テクノロジーズの買収

 デューンズはスイスに本社を置く、従業員数が約40名の仮想化環境管理ツールを提供しているベンダーである。

 ヴイエムウェアがデューンズを買収した背景には、デューンズが持つ仮想化環境のビジネス・プロセスを集中管理できるソフト「Virtual Service Orchestrator(VS-O)」の技術を自社製品に取り入れるためだ。特に「VMware Lab Manager」「VMware Virtual Desktop Manager」にデューンズの技術を融合していく考えである。

 デューンズ買収に関して詳細は明かされていない。しかし、VMworld 2007の展示会場ではデューンズもブースを構えており、デューンズの説明員は今回の買収について、「とても良い機会だ。われわれはヴイエムウェアと長くパートナーシップを結んできており、その過程でわれわれの技術力がヴイエムウェアから高く評価された結果だ」と、買収を好意的に受け止めていた。



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