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[国内] 【BEA Japan Forum 2007】
BEAのユーザー企業が語るSOA導入の要所

「万事は人。願いをベンダーと共有することが潤滑油となり最良の結果を生む」

(2007年11月05日)

 ITシステムへの取り組みが企業ごとに異なるのと同様、SOAの導入手順もすべての企業でまったく同じというわけにはいかない。しかし、技術よりも人間が重要な役割を果たすという点ではどの企業も同じようだ。日本BEAシステムズのユーザー企業3社(出光興産、NTTドコモ、三井住友海上火災保険)の担当者が、11月2日に開催された「BEA Japan Forum 2007」のパネル・ディスカッションに参加し、SOA導入の勘どころなどについて語った。

モデレーターを務めた日本BEAシステムズのSOAビジネスディベロップメント、神沢 正氏(左)と、ベンダー側の立場から参加した同社プロフェッショナルサービス本部 シニアプリンシパルコンサルタント、岡嵜 禎氏

 3社の担当者が繰り返し主張したのは、SOA導入は技術ありきでは成功しないという点だ。ベンダーが提案したモデルの評価や、提唱されている仕組みの検討にばかりパワーを割いてしまうと、開発するべき対象を見失うこともあるという。

 SOA導入対象のシステムに共通した機能は何か、あるいはサービス・インタフェースの規則をどうするのかといった点を整理しておけば、SOAを無理に意識する必要はない。こうした点をきちんとまとめておけば、それをSOAに当てはめていく作業は比較的容易である。考えすぎる必要はなく、当たり前のことを当たり前に実践していれば、SOAの導入は思ったほど難しくないというのがパネラーの一致した見解だ。

 また、SOAを導入するうえで、技術を提供するベンダーに完全に依存するのは良くないという。ユーザー企業の立場から、SOAをみずから学び、みずから活用する道を模索することも必要だ。もちろん、場合によっては技術をベンダーから教授してもらう必要もあるだろう。しかし、何も考えずに言われたことをそのまま実行に移すのはいただけないと、担当者らは指摘する。

 日本BEAシステムズのプロフェッショナルサービス本部のシニアプリンシパルコンサルタント、岡嵜 禎氏は、SOAの導入に手こずっている顧客は確かにいると認める。例えば3年にわたってアーキテクチャを設計しているという実例もあるという。

右から、出光興産の情報システム部 システム総合研究所 情報技術課チームリーダー、澤井 隆慶氏、NTTドコモのプロダクト&サービス本部 プラットフォーム部 IPシステム開発第二担当 担当課長、斉藤 剛氏、三井住友海上火災保険のIT推進部 システム基盤チーム 課長代理、田中 敦史氏

 こういうケースでは、できるところから取り組んだほうがよいと岡嵜氏はアドバイスする。やはり実際の経験から得るところも多いため、導入を段階的に進めていくなかで悪い個所は改善していけばよいわけだ。アーキテクチャやモデリングをさほど意識していない企業であっても、うまく開発が進んでいるところもある。本質を理解し取り組んでいくことが大切だ。

 岡嵜氏は、SOAへの移行を進めるうえでは、「SOAアーキテクチャ・チーム」といった組織横断的なプロジェクト・チームを設置する方法がきわめて有効だと語った。

 言うまでもなく、そうした組織横断的なプロジェクトの発足・運営には経営トップの理解が不可欠である。経営トップが重要性を理解し、部門間にまたがる協力体制を実現する必要があるのだ。しかし、これは理想論であって、実際にはなかなか協力体制を築けないことが多い。

 出光興産は、社内に協力体制を実際に築き、SOA導入を進めている企業の1社だ。同社では、理想に近い共通基盤チームを発足させたが、これはきわめてイレギュラーに近い事態だったという。同社の場合、大きなプロジェクトが並行して走ることになったため、共通基盤部分を担当するプロジェクトを独立させ、部門間をまたがって横断的に動けるプロジェクトを用意することになった。

 同社の情報システム部 システム総合研究所 情報技術課のチームリーダー、澤井 隆慶氏は、「随所に失敗もあり、必ずしもSOA導入の成功事例とは言えないと思うが、共通基盤チームが空中分解することなく作業に取りかかっている点では成功例と言えるかもしれない」と語った。

 澤井氏はまた、人材も予算も期限も決められた状態でスタートするプロジェクトの場合はスケジュールの遅れなど許されないため、現状を把握して現実的な指示を的確に出していく必要があるという点を強調する。

 一方、三井住友海上火災保険は出光興産とは逆に、基盤構築チームを少数名で運用するという手法をとったが、最近になって同チームの重要性が社内で認識されてきたという。

 同社IT推進部 システム基盤チームの課長代理、田中 敦史氏は、こうしたプロジェクトをうまく進めることができるかどうかは、優れた人材の確保にかかっていると話す。「社内から人材を選りすぐるにも限界があるため、外部から優れた人材を獲得しなければならない。優れた人材を得るには企業の姿勢も大切になってくる」(田中氏)

 NTTドコモの場合、現時点では部門横断的な共通基盤チームは存在しない。「しかし、今のところ開発は継続しており、空中分解することなく続いている」と、同社プロダクト&サービス本部 プラットフォーム部 IPシステム開発第二担当の担当課長、斉藤 剛氏は説明する。

 「(開発継続の)カギはシステム・インテグレーター(SIer)との関係にある」と同氏。NTTドコモの考えをきちんと理解して開発を支援するSIerにかかっているというわけだ。

 「結局のところ、ユーザー企業はベンダーに対してどういったメッセージを発信していくかが大切ではないかと思う。こうしたことを実現したいんだという願いが、お互いの認識力を高めるのではないだろうか」(斉藤氏)

 ベンダーとの間に共通の認識を築くには、細かいToDoレベルで意識を持つ必要はなく、最終的に何を実現したいかという目的を共有すればよい。目的をしっかりと共有していれば、それに付随する雑事についても自然と理解が得られるという。

 SOAベンダーであるBEAと、同社のプロダクトを導入しているユーザー企業の両方から、SOA構築の要は技術そのものではなく、優秀な人材をそろえることや、目的意識を共有化することだとする意見が出された点は非常に興味深い。SOAやそれに付随する技術は意思の疎通を助けるための標準にすぎず、まずは“想い”を共有していくことが大切だと彼らは言う。実際の開発経験から得られた興味深いコメントである。

苦労話に思わず苦笑するシーンも

(後藤大地)




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