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[国内] 【SaaS World 2007】
「SaaSには社会を変える可能性がある」――総務省も大きな期待

SaaS World 2007の開幕講演で「企業の生産性向上にはSaaS/ASPが有効策」と強調

(2007年11月28日)

 「ASPおよびSaaSは、最小の投資で生産性を向上させられる可能性を秘めている」――11月28日・29日の2日間にわたって、東京ミッドタウン・ホールで開催されているSaaS/ASPのコンファレンス/展示会「SaaS World 2007」の開幕記念講演において、総務省の情報通信政策局で情報通信政策課長を務める秋本芳徳氏はこのように語った。

総務省 情報通信政策局 情報通信政策課長 秋本芳徳氏

 秋本氏は、現在世界で最もSaaS/ASPビジネスを展開しやすい国は日本であると主張する。その根拠は、安価で高速、かつ安定したブロードバンド・インフラの存在である。SaaS/ASPビジネスにはブロードバンドの普及が不可欠であり、そのインフラ整備に関しては、日本が世界に先行していることは周知の事実であろう。

 同氏はまた、ICT(情報通信技術)産業を取り巻く現状についても触れ、日本のICT投資に対するGDP(国内総生産)比率が他国に比べて低いと指摘した。そして、労働生産性上昇率に対する業種別寄与度を見ると、特にサービス産業での生産性が低いことがわかるという。

 すぐれたインフラを持ちながら、それが生産性の向上に結び付かないのはなぜなのか――秋本氏は、情報システムを部門ごとに整備し、かつ、パッケージ・ソフトではなく、カスタマイズを選択する傾向があるという日本企業の特徴が、主要な原因の1つではないかと分析する。こうした手法では、部門単位での最適化しか果たせず、全社レベルでの情報活用が困難になる。

 加えてサービス産業においては、ICTが組織改革や企業内通信網の整備などを目指して導入されても、十分に活用されていないことから生産性向上に結び付いていないのが現状だ。また、中小企業において、投資余力や利用ノウハウが不十分なために、情報システムの構築に着手できないという問題がある。

 こうした問題の解決に向けたカギとなるのは、ブロードバンドやユビキタス・ネットワークを活用した共通の利用基盤の整備であると秋本氏は語り、ここで強力な武器となるのがSaaS/ASPであると強調した。これまで企業ごとに多大なコストをかけて構築していたような情報システムでも、SaaS/ASP形態で共用できるようになれば、各企業のコスト負担を抑えられる。また、必要なリソースのほとんどはSaaS/ASP提供者側が用意して管理するため、利用企業側の人的負担も軽減される。

 秋本氏は、先端技術に敏感なユーザーには関心度が高いSaaS/ASPだが、最終的にはICTに詳しい人材の少ない中小企業や自治体、教育機関などにまで裾野を広げることが、生産性向上のためには不可欠であると指摘した。そして、そのような広く一般への普及を促進するための課題として、「認知度の向上」「安全性・信頼性の確立」「利便性の向上」という3点を挙げた。

 行政側としても、SaaS/ASPの普及促進に対して強い意欲を持っており、これらの課題の解決に向けて、以下のような取り組みを展開している。

  • 一般の利用者がSaaS/ASPを選択/評価する際に必要となる、安全・信頼性に係る情報開示指針の策定。その認定制度の整備
  • 複数のSaaS/ASP利用を容易にするための相互インタフェースの公開や役割分担の明確化
  • ネットワーク利用に係る企業ディレクトリの構築
  • 国際連携の推進

 特に情報開示指針の策定については、SaaS/ASPの普及促進・啓蒙活動を行っている特定非営利活動法人のASPIC Japanと総務省が合同で「ASP・SaaS普及促進協議会」を設立しており、11月27日には「安全・信頼性に係る情報開示指針(第1版)」を公表している。同指針は、来年1月を目処に今後、総務省研究会を踏まえた第2版の公表が予定されているという。さらに、来春を目処に、この指針を満たしたSaaS/ASP事業者を認定する「ASP・SaaS安全・信頼性認定制度」を創設する予定となっている。

 最後に秋本氏は、「これまでSaaS/ASP事業者が提供するサービスを見てきて、これは本当に社会が変えるかもしれないと実感した。それはインターネットの商用利用が始まったときと同様な手応えである。世界一のブロードバンド環境を誇る日本は、SaaS/ASP領域で世界に先駆ける可能性を持っている。そのためには一般のユーザーに広く普及させることが課題だ」と力強く語り、講演を締めくくった。

(杉山貴章)






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