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【解説】
IT業界で闘う“アスピーズ”

アスペルガー症候群を抱えたITプロたちの“苦悩”と“現状”

(2008年06月25日)

優秀なプログラマーやエンジニアの中には、驚くほどの集中力で高度な仕事をこなす反面、人づきあい、会議、営業トークを苦手とする人も多い。そんな彼らは、もしかしたら「アスペルガー症候群」を抱え、対人関係の構築に苦しんでいる「アスピーズ」かもしれない。本稿では、IT業界で働くアスペルガー症候群を抱える人たちに焦点を当て、彼らが今、直面する問題と苦悩をつまびらかにするとともに、今後、われわれが改善すべき課題について考えてみたい。

Tracy Mayor
Computerworld米国版
イラスト:iwai Design

   
超人的な記憶力を持つものの、くだらない冗談が理解できない

 オーストラリア郊外在住のライノ(Ryno)氏は、自らを「燃え尽き症候群で障害と共に生きる人間」と表現する50代の元システム管理者である。

 Ryno氏はシステム管理という仕事に愛着を持ち、技術者として職務を遂行していた。しかし、会社生活の中で、親愛の情を込めて背中をポンとたたかれたり、会議に出席したりといった、職務に伴う対人的なコミュニケーションに耐えることができなかったという。「システムの効率化を図ったり、ダウンタイムを低減させたりすることはできる。しかし周囲の人々を喜ばせるような行動が、わたしにはできなかった」(Ryno氏)

 ハイテク業界で26年のキャリアを持つデータベース・アプリケーション・プログラマーのボブ(Bob)氏は、数学と論理学を得意としている。同氏は、本人いわく「変わった記憶力」の持ち主で、質問に対する答えが思い出せなくても、その答えをどの本で目にしたかを、ページ、段落、そして文章の一言一句に至るまで、正確に思い出すことができるという。

 Bob氏には、このほかに2つの変わった癖がある。1つは強いストレスを感じると、言語能力が低下すること。そしてもう1つは、物事を文字どおりに(つまり、空気を読まずに)解釈してしまうことだ。「わたしが皮肉を皮肉として受け取らないことについて、上司はいらだたしく感じているだろう。だが上司は、少なくともわたしの行動が故意でないことは理解してくれている」(Bob氏)

 ジェレミー(Jeremy)氏は、プログラミングに対する深い洞察力があり、ソースコードを内部から見渡すことができるかのように、プログラミングの問題を把握できる。また、取引先のCEOやCIOと、ビジネスや技術に関する非常に専門的な内容を議論するのも得意だ。匿名を希望する本人の意向もあり、その専門分野は明かせないが、Jeremy氏は業界の誰もが知っている大物プログラマーである。

 そのJeremy氏が苦手とするのは、つまらない発言をする同僚をうまくあしらったり、職場に存在する“官僚主義的な習慣”に折り合いをつけたりすることだ。例えば、どう考えても失敗するようなアイデアをだれかが提案した場合に、Jeremy氏は思ったことをそのまま口にしてしまうのである。こうした遠慮のなさが、職場でトラブルを引き起こしてしまうのだという。



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