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【連載】
関西圏の自治体広域連携

第10回 電子自治体進展度調査と関西情報化実態調査

(2006年07月28日)

 自治体が実施する情報化関連調査はいくつかあるが、今回は、摂南大学の電子自治体進展度調査と関西情報・産業活性化センターによる関西情報化実態調査を紹介する。

中野 潔
大阪市立大学 創造都市研究科 都市情報学専攻 教授
大阪安全・安心まちづくり支援 ICT活用協議会 副会長

 筆者の務める大阪市立大学大学院都市情報学専攻では、院生に自治体職員などが多いこともあり、摂南大学経営情報学部の島田達巳学部長に、特別講義のような形で来ていただいている。行政の情報化について興味深いお話をいただくのだが、まずはその島田学部長が実施している電子自治体進展度調査について触れたい。

レベルの3つで考える電子自治体の進展度

島田研究室による電子化自治体進展度調査のアンケート送付数と回答数

 電子自治体進展度調査は、摂南大学島田研究室が平成16年度から実施しているもので、表に示すように、この種のアンケート調査としては異例とも言える高い回答率を誇る。また、都道府県を対象としているのは、この調査のみである。

 島田学部長のとらえ方で卓越しているのは、情報化進展度を(1)インプット(予算)のレベル、(2)アウトプット(仕事量)のレベル、(3)アウトカム(成果)のレベルの3つで考える点である。(1)から(3)になるにつれて定量的把握が難しくなるが、情報化進展度を測るには欠かすことのできないポイントである。

 この調査では、電子自治体の進展度を[A]庁内情報化、[B]行政サービス、[C]情報セキュリティ──の3つの側面からとらえており、それぞれについて、20前後の評価項目が設定されている。

 2005年度の調査では、都道府県でいうと、[A]で愛媛県、大阪府など、[B]で岐阜県、東京都など、[C]で福岡県、岩手県などが最上位に名を連ねている。市・特別区では、[A]で横須賀市など、[B]で藤沢市など、[C]で豊中市、藤沢市などが上位である。町村では、[A]で兵庫県滝野村など、[B]で岩手県紫波町など、[C]で福島県三春町、福岡県芦屋町などが上位である(すぐ下との評点の差が比較的大きいところで区切った)。

 上位5位、6位ぐらいまでをみると、市・特別区では関東地方が非常に強く、次が近畿地方、町村では中部地方が強い。

 なお、この調査の発表時(平成17年8月23日)に島田学部長が言及されているとおり、情報セキュリティ関連の質問の一部について機密事項だとして回答しない自治体もある。そのため、上記に登場しないからといって、必ずしも劣った自治体であるというわけではない。

IT利活用ステージによる関西情報化実態調査

 次に(財)関西情報・産業活性化センター(KIIS)が実施している、関西情報化実態調査を紹介する。本稿の執筆時点では既にアンケート調査は終わり、補強のためのヒヤリングをしている最中である。調査委員会の主査を務めている筆者が非力のため、多くの委員の方に支えていただいている。

 KIISの太田智子調査事業部長をはじめとして、KIISが調査業務のプロフェッショナルであるし、委員が省庁の近畿地方局、自治体の情報政策関連責任者、大企業の情報関連部署の責任者の方々であるため、調査・分析は着実に進んでいる。

関西情報化実態調査の主な調査項目

 関西情報化実態調査の特徴は3つある。第1は、関西における上場企業、中小企業、自治体の3種類の組織について、同時に調査している点である。第2は、その中でも上場企業、自治体については、同じ「IT利活用ステージ」という概念でとらえようとしている点である。第3は「IT利活用」と「情報セキュリティ対策」という2つの側面に絞ってとらえ、分析しようとしている点である。

 回答数は、平成17年9月中旬現在で、上場企業約90社、自治体約130団体、中小企業で約850社である。

 「IT利活用ステージ」は、平成15年に経済産業省が、もともとは企業向けに発表したものである。企業が情報通信技術をどの程度、活用しているのか、その進展度を測る指標である。ステージ1(IT初期段階)、ステージ2(部門内最適化状態)、ステージ3(組織全体最適化状態)、ステージ4(共同体最適化状態)と、進展していく。

 今回の調査では、上場企業の場合、ステージ3以上が約3割、自治体の場合、ステージ3以上が1割強となった。基本的に、企業向けに考え出した指標を自治体に適用するという、野心的な試みであるから、今後慎重に分析したうえで、結果を発表していきたい。

成長モデルを関西から全国に示したい

 「情報セキュリティ対策」では、上場企業と自治体とに、ほぼ同じ質問をぶつけ、中小企業向けには若干簡易にしたものを送付した。

 「ネットワーク管理とセキュリティ対策の現状」に関する質問項目では、上場企業と自治体とで、よく似た結果が得られた。「組織・制度面の個人情報保護対策」に関する質問項目では、上場企業と自治体とで、項目ごとに高低があった。

 これらについても、分析とヒヤリングによる補強を加えて発表していく予定である。

 関西には、投資に対する効果がみきわめられ、納得ができるのなら、投資をいとわないという合理的な風土がある。大学に情報工学科ができた最初の例も、関西であった。

 情報化の進展における企業や自治体の成長パターンについて、関西発のモデルを幾つか示し、全国に発信できるのなら嬉しいことである。

(月刊e・Gov 2006年2月号より)



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