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[米国]
マイクロソフトの2007年──クリアすべき5つのハードル

(2006年12月19日)

 ノベルとの提携やVista発売のスケジュール変更など、今年はマイクロソフトにとって例年以上に慌ただしい年だった。では来年はどうかと言うと、今年以上に忙しくなりそうな気配である。以下、マイクロソフトがソフトウェア業界トップの座を堅持するうえでクリアすべき5つのハードルについて考察していこう。

ハードル1
失敗は許されないVistaとOffice 2007

 来年1月30日に一般発売が予定されているVistaとOffice 2007は、マイクロソフトの屋台骨を支える製品である。

 今年11月に同社のCFO(最高財務責任者)であるクリストファー・リデル氏が株主に対して行った説明によると、同社の2007会計年度の売上高は、前年度比13%〜15%増を目標としており、売上高の90%をVistaとOffice 2007が占めることが想定されるという。

 とはいえ、企業ユーザーがVistaやOffice 2007を2007年中に導入するかどうかは未知数だ。もし、VistaとOffice 2007が期待どおりの成功を収められなければ、同社の株価は暴落するだろう。

ハードル2
レイ・オジー氏の引率力

 2008年7月に第一線から引退することを表明しているビル・ゲイツ氏。そのゲイツ氏に代わって今年6月からチーフ・ソフトウェア・アーキテクトを務めているのが、レイ・オジー氏である。

 「Lotus Notes」の開発者として知られるオジー氏は、SaaS(Software as a Service)の重要性について、これまでも積極的に発言している人物だ。マイクロソフト最大のライバルとして頭角を現してきたグーグルに対し、オジー氏がどのように対抗していくのかが注目される。

 もっとも、マイクロソフトが考えるSaaSビジネスに対し、業界関係者の目は冷ややかだ。オーブム・サミットのアナリストであるドワイト・デービス氏は、マイクロソフトのSaaSモデルにはさまざまな課題があると指摘したうえで、以下のような見解を示す。

 「マイクロソフトは将来的にOSをWebベースで提供すると見られているが、そのビジネス・モデルは確立されていない。2007年度中に明確なビジネス・モデルを打ち出さなければ、同社の戦略に問題があることをユーザー企業も気がつくだろう」

ハードル3
相互運用性の強化と提携のアキレス腱

 マイクロソフトは今年11月、Linuxディストリビューターであるノベルとの提携を発表した。マイクロソフトのCEOであるスティーブ・バルマー氏は、「両社製品の相互運用性を確保することに努める」とコメントしている。しかし、この相互運用性を疑問視する声も多い。相互運用性を確保するには、Windows以外のOSが稼働しているシステムに対しても、マイクロソフトが積極的に関与しなければならなくなるからだ。

 その一方で、ECMA(欧州電子計算機工業会)に標準文書フォーマットだと承認されたOpen XMLは、相互運用性の強化という点では評価されている。バートン・グループのアナリストであるガイ・クリーズ氏は、「Open XMLが標準文書フォーマットとして承認されたことは、マイクロソフトが“オープン”な世界に足を踏み入れたあかしだ」とコメントしている。

ハードル4
バックエンドからフロントエンドまでの一気貫通

 マイクロソフトでは、SQL ServerやExchange Serverといったバックエンド製品と、Windows OSなどのフロントエンド製品との機能統合を強化している。特にセキュリティ、情報の共有化、リアルタイム・コミュニケーションなどの分野では、製品同士のシームレスな連携に注力しており、来年もその方向性は変わらないようだ。

 ベクテルのインフラストラクチャ・アーキテクトであるフレッド・ウェットリング氏は、「VistaやWindows Mobile、Windows Embeddedはいずれもコンシューマーを対象にしたOSだが、それぞれ独自の特徴があり、連携することができない機能もある」と語る。同氏によると、今後マイクロソフトが自社製品同士の機能統合を図っていくには、証明書ベースの認証機能やIPv6、ネットワーク・アクセス保護などのサポートを、より強固なものにする必要があるという。

ハードル5
ライセンス体系の見直し

 マイクロソフトのライセンス体系が理解しにくいという声は以前からあった。同社は2001年にボリューム・ライセンスを簡素化すべく、企業向けにライセッシング 6.0とソフトウェア・アシュアランスを提供した。しかし、これだけでは不十分であるとして、多くの顧客は不満を漏らしていた。

 ところが、その不満が解消されないまま、同社は新たな取り組みを発表した。それが、ソフトウェア・プロテクション・プランである。

 ソフトウェア・プロテクション・プランとは、ソフトウェアの不正利用を防止するためのものだ。正規のWindows XPが稼働していることを証明できなかった場合にPCを強制的に停止させる「電源切断(kill switch)」はその一例である。同機能はライセンスに包含されて提供される予定だ。しかし、これらは正規ユーザーにとって不要な機能以外の何物でもない。

 こうしたマイクロソフトの取り組みに対し、一部のユーザーからは反発の声が上がっている。ライセンス体系の抜本的な見直しも含め、今後、マイクロソフトをユーザーの声にどのようにこたえていくのだろうか。

(ジョン・フォンタナ/Network World オンライン米国版)






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